BATICコラム

簿記1級かBATICか。日商簿記2級の次の資格は?

簿記1級かBATICか。日商簿記2級の次の資格は?

経理職として昇進や転職などのキャリアアップするには資格が必要です。
会計資格の取得は「経理マンとして正しい知識・スキルを備えている」証明になります。

日商簿記2級資格取得者が次に目指すべき資格として誰もが脳裏によぎるのは簿記1級でしょう。
確かに簿記1級の評価は古くから世間的に高いものです。
しかし、時代の流れ的には英文会計を学べるBATIC(バティック)の評価が高まりつつあります。
BATICはスコア別に称号が与えられ、最上級に値するコントローラーレベルは評価が高いです。

どちらも商工会議所が認定する会計検定試験です。
ともに受験資格はありませんが簿記2級の知識はマストとなる為、事実上は簿記2級合格が受験要件となります。
簿記2級取得後に、簿記1級とBATICコントローラーレベルの資格取得で悩んだら…

それぞれのメリット・デメリットを把握した上で取得すべき資格を選びましょう。

世間的評価が高いのは簿記1級

その圧倒的な知名度から世間的な評価が高いのは間違いなく日商簿記1級です。
※全商簿記や全経簿記は知名度が低いです。
経理職の人なら簿記2級取得者は多いですが1級となるとかなり稀少な存在です。
経理の人は勿論のこと、経理とは無関係の人でも簿記1級がスゴイ資格ということはわかります。
とにかく周りから「スゴイ!」と言われたいなら努力して簿記1級を取るべきです。

一方BATICはまだまだ知名度が低い資格。
経理職の間では多少知られていますが、残念ながら世間的には知られていません。
特に上の世代には知られていません。コントローラーレベルと言われても「何それ?」という反応になるでしょう。

難易度が高いのは簿記1級

難関すぎてなかなか手が出ない簿記1級。
東京商工会議所のホームページではBATICコントローラーレベルは「日商簿記1級レベル」と書かれています。

エッ!?BATICコントローラーレベルって日商簿記1級が英語で出てくるの!?
まさか!あくまでも簿記1級の論点が出題されるだけですよ!

実際の難易度は圧倒的に簿記1級が上です。(断言)
BATICで日商簿記1級の一部の論点が出るとはいえ、工業簿記は一切出題されません。

昇進に役立つのは簿記1級

経理マンとして課長や部長などに昇進を目指すなら簿記1級が有利です。
昇進を決めるのは経理部の上司だけでなく、人事部や役員です。
今も昔も経理部員の最高峰の資格は簿記1級というイメージが強いです。
BATICと比較し、経理部以外の人にも認知度の高い簿記1級は昇進に繋がる資格と言えます。

経理という職種は営業職とは真逆で、成果が見えにくい職種です。
経理実務経験にプラスして成果を表す1つの指標として、簿記1級取得はひとつの成果として昇進対象になります。

合格率はBATICコントローラーレベルのが低い!?

資格の難易度を表す指標として合格率が挙げられます。

簿記1級の平均合格率は10%前後。
BATICのコントローラーレベルの合格率は3%前後。

数字だけで比較すると圧倒的にBATICコントローラーレベルのほうが難易度が高く見えます。
しかし、BATICは全受験者のうちコントローラーレベルに認定される人が3%です。
はじめからコントローラーレベルを狙っていない人も含めての合格率です。

簿記は受験問題自体が各レベルごとに分かれています。
つまり、簿記1級を受験する人自体が稀なのです。
簿記全レベルの受験者のうちの1級合格者は1%程度とかなりの難関資格です。

つまり、実際の合格率は簿記1級のほうが低いと言えます。

試験の回数はどちらも同じ

簿記1級、BATICともに年に2回の受験チャンスがあります。
他の難関資格では年に1回しか試験日がないことも多いので、どちらもチャンスが多い試験と言えます。

簿記1級は毎年6月・11月の年2回。
BATICは7月・12月の年2回。

どちらも会計資格で論点が重なるところも多い為、頑張れば併願して2ヶ月連続資格取得も出来るかもしれません。

平均勉強時間が短く合格出来るのはBATIC

大手資格学校の講師に聞いたところ、圧倒的な開きがあるようです。
簿記1級合格までの平均勉強時間は約600時間
BATICコントローラーレベルの平均勉強時間は約300時間

およそ2倍の勉強時間差があります。

簿記2級合格者が両試験に望んだ場合、1級は合格まで早くて1年。通常2〜3年は必要です。
BATICコントローラーレベルは早ければ半年。通常1年で合格できます。

また、BATICは問題文がすべて英語です。
TOEICスコア保有者など英語が得意な人であればわずかではありますが勉強時間も短縮できます。

挫折しにくいのはBATIC

難題の上に論点が非常に広い簿記1級。
膨大な勉強量を積んでも出題される論点は全体のごくわずか。
その為、どれだけ勉強しても点数が伸びなかったり何年も不合格が続いてしまい挫折する人もいます。

その点、BATICは毎回論点が似ています。
繰り返し問題を解いていけば、論点はパターン化して覚えることが出来ます。
勉強時間に比例して得点力も上がっていきます。
最上級のコントローラーレベルでも真剣に2回連続受験すれば合格できると言われています。

経理実務で使えるのはBATIC

簿記1級の論点は難しく、通常の経理実務で使うにはオーバースペックな部分もあります。
それなりの規模の企業であれば顧問税理士がいるので、専門的なことは顧問税理士が対応する為、簿記1級レベルの知識までは不要なことが多いです。
簿記1級で学ぶ工業簿記はメーカーなど一部企業でしか使いません。

BATICは英文会計です。
外資系企業はもちろんのこと、日系企業でも海外取引にあたり請求書や契約書を読み解くことにも使えます。これからの時代、経理も英語を使えなくてはなりません。

また、国際会計基準の重要性も高まっていくことでしょう。
特に将来的に経理実務で使えるのはBATICです。

経理の転職に役立つのはBATIC

転職市場で簿記1級は高い評価を受けますが、1級がなければ採用しないという会社は多くありません。
経理転職の採用要件は大抵は簿記2級です。
簿記1級は難関試験の割に実務への活用性が少ない為、努力に見合った評価は受けません。

今の転職市場で評価されるのは英語が出来るかどうか。経理も例外ではありません。
海外取引、海外支店設立、子会社設立などグローバル化を目指す企業は多いです。
国際会計基準を理解し、英文会計がわかる経理部員は転職で評価されます。
その知識の証明になるのがBATICです。

また、転職後に年収アップしやすいのもBATICです。
その理由は、英語力を求める企業が外資系企業や大手企業など高年収を狙える会社が多い傾向にあるからです。

将来性が高いのはBATIC

10年後、20年後の将来を考えたとき、英語ができない人材は淘汰されます。
社内公用語が英語になる企業も益々増えることでしょう。

英語が出来ることはもはや当然のステータスになる時代が来るでしょう。
しかし、英語と会計の両方を理解出来る人間は多くなく、将来的にも貴重な人材となるでしょう。

英文会計や国際会計基準の需要が高まればBATICの難易度が上がることも予測されます。
今のうちにBATICコントローラーレベルを取得しておくことは利口な選択と言えます。

資格取得後に更新不要なのは簿記1級

せっかく苦労して難関資格を取っても更新が面倒だったりします。
簿記1級は一度合格すれば永遠に更新は必要ありません。

BATICの上位2レベル(コントローラー、アカウンティングマネージャー)は有効期限が3年です。

BATICの資格更新には課題提出が必要。
これは最新の会計基準をきちんとキャッチアップしているかをチェックするのが目的。
郵送形式の課題の為、調べながら回答することが出来るのできちんと提出すれば資格喪失することはまず無いようです。

ただし、BATICの資格更新は6,690円(税込)が必要です。
そう高額な更新料ではありませんが覚悟はしておきましょう。

税理士や公認会計士を目指すなら簿記1級

さらに難関資格である税理士や公認会計士も見据えて勉強するなら絶対に簿記1級です。
日商簿記検定1級は税理士や公認会計士の難関資格の登竜門とも言われます。
ちなみに税理士試験の受験資格が与えられます。

税理士や公認会計士を目指すなら英語は不要なので、ストレートに日本の簿記を勉強するのが近道です。
BATICはあまり役立ちません。

USCPAを目指すならBATIC

当然ながらUSCPA(米国公認会計士)を目指すなら同じ英文会計資格のBATICが近道です。
BATICコントローラーレベルであってもUSCPAは遥かに難しい資格ですが、受験する為の知識の土台を作ることは出来ます。

日本の公認会計士と比較するとUSCPAは難易度が低い狙い目資格です。
外資系企業の経理や海外勤務を目指すならBATICコントローラーレベルからのUSCPA取得プランはオススメです。

名刺に書けるのは簿記?BATIC?

基本的には会社で使う名刺にはどちらの資格も載せません。
難易度の問題ではなく、あくまで両試験ともに検定試験ということ。

TOEIC990点は名刺に載せることはありませんが宅建士は名刺に載せますよね。
これと同じ理由です。

個人名刺であればどんな資格を書こうが自由です。
保有資格として「簿記1級」や「BATICコントローラーレベル」を記載しても良いでしょう。
会計知識や英語力の証明になりますし、話のネタにもなるでしょう。

履歴書に書けるのは両方

名刺には書けなくても履歴書には書けます。
どちらも転職や就職では高評価を得られる資格ですから、履歴書(職務経歴書)にはきちんと書きましょう。

ちなみに転職や就職で評価に値するのは日商簿記2級以上、BATICアカウンティングマネージャーレベル以上。
簿記1級やBATICコントローラーレベルではさらに高評価です。

情報量が多いのは簿記1級

テキストや講座も沢山あり勉強方法の選択肢は無限にあります。
講座は全国各地で開催されています。

また、ネットで調べても簿記1級の情報は沢山出てきます。
合格の為の勉強方法やテクニック等も沢山発信されているので、上手に活用すれば合格の近道になります。
オススメはしませんが、情報が多い分独学合格できる可能性が高いのも簿記1級です。

一方でBATICは知名度の低さゆえに情報量が少ないです。
講座は大手資格学校ではTACや大原が開講していますが、開講している校舎は共に都内一校ずつ。
多くはウェブ受講やDVD受講となります。高額な受講料を支払うならやはり教室で受講したいものです…

独学でも合格しやすいのはBATIC

BATICはスコア制の試験なので、最難関のコントローラーレベルの取得を合格とします。
どちらも難関資格なので独学よりも資格学校や通信教育でしっかりと勉強することが合格への近道です。

とはいえ、予算の都合などで独学で合格したいと考える人も多いでしょう。
市販のテキストを購入して独学合格することも不可能とは言い切れません。

独学合格可能性で言えば、BATICのほうが高いでしょう。
簿記1級は論点の難易度が高く、中身をしっかりと理解しないと得点できず合格まで数年かかる可能性もあります。
BATICは論点が類似している為、過去問を解き続ければパターンが理解できる為、得点可能です。

オススメはできませんが、どうしても独学でなくてはならない場合はBATICがオススメです。

受験料が安いのは簿記1級

次は金銭面で比較してみます。
簿記1級の受験料は7,850円(税込)
BATICの受験料は10,150円(税込)
※ただしSubject1のみ 5,400円、Subject2のみ 7,990円

単純比較では簿記1級の受験料のほうが2,300円安くなります。
まぁここまでの難関資格を受験するのに数千円を気にする人はいないと思いますが…

参考までにUSCPAの受験料は約24万円。※日本受験の場合
ココまでいくと受験料での生活費圧迫も考えられ、バカになりません…

トータルコストが安いのはBATIC

受験料や更新料はBATICのほうが高くても、講座受講料や教材費も加味して考えなくてはなりません。

簿記1級資格取得のトータルコスト目安は20万円。
BATICコントローラーレベルは10万円です。

これは大手資格学校に通った場合の受講料、教材費、受験料を含めた目安です。
難関資格を取るということはどうしてもそれなりのお金が掛かります。

ちなみにどちらも独学で合格は難しい試験です。絶対にムリとは言いませんが遠回りになり、勉強時間を無駄にするでしょう。
資格は将来に向けた投資です。そこまでして受講料を節約する意味はありません。

簿記2級までは独学で1級から資格学校通学。
BATICもsubject1だけ独学でsubject2を資格学校通学というのは現実的で合理的な合格プランでしょう。

【まとめ】コスパが良いのはBATIC

様々な比較をしましたが、トータルでコスパが良い資格はBATICコントローラーレベルだと思います。

BATICのコスパが良い理由

・会計と英語が両方学べる
・将来性が高い
・外資系経理やグローバル化を目指す企業の経理の転職に有利
・平均勉強時間が短い
・論点が類似している為、勉強時間に比例して得点力が上がりやすい
・挫折せずに確実に合格を狙える
・狙い目資格のUSCPAに繋がる
・トータルコストが安く済む

簿記1級は難関資格の割に費用対効果(勉強時間含む)が悪い資格としても有名です。
経理マンとしてのキャリアプランニングによってもどちらが良いかは変わりますが、当記事の比較ではBATICコントローラーレベル資格取得をオススメします。
(ライター:Nakanishi Hajime)