経理コラム

資格マニアは転職不利!自己満にならないアピール術

【経営企画資格】企業経営アドバイザーは役立つ?TACセミナー体験談

資格を取ることでスキルアップした気になり、次々と資格を取得して自己満足する資格マニア。
趣味としての資格マニアは大いに結構ですが、転職には資格マニアは不利です。むしろ、嫌われてしまいます。

保有資格は、簿記3級、漢検2級、食生活アドバイザー、医療事務、インテリアコーディネーター、そろばん検定と…

こんな人は転職に成功しません。目指したいキャリアの方向性がさっぱりわかりません。
まずは「資格があれば転職できる。キャリアアップできる」という資格学校や通信講座の広告が生み出した洗脳から解かれなければなりません。当記事ではキケンな資格マニアが転職で不利にならない為のアピール術を書き綴ります。

資格マニアの特徴とは?

まず、資格マニアはどのような人を指すでしょうか。

資格マニアの定義(非公式)

・資格を5つ以上持っている
・カンタンに取れる資格ばかり持っている
・現職業務に関係ない資格を持っている
・資格ジャンルに一貫性がない
・ひとつひとつの分野の知識は浅い
・資格に合格したらまたすぐに次の資格にチャレンジする
・難関資格は持っていない。もしくはチャレンジすらしない

とにかく資格取得することに快感を覚えてしまい、役に立たない資格を次々に取得します。
一体、どこでそんな資格を使うのでしょうか。

資格マニアになりやすい人

・学歴にコンプレックスを感じている
・自分自身のスキルに自信がない
・現職の年収や待遇に満足していない
・勉強はそこそこできるが仕事はイマイチ
・頭が良いと思われたい
・問題を解くのが好き。答えがあるものが好き

こんな特徴がある人は資格マニアになりやすいです。
もしかすると、まったく自意識がない資格マニアもいるかもしれません…

中途半端な資格の羅列はマイナス評価

公認会計士や不動産鑑定士のような超難関資格は転職に有利です。
また、宅建士や美容師のように特定の業界では資格がないと仕事ができないような資格も重宝されます。

資格マニアは、誰も知らないような資格を羅列して自己満足します。
中途半端な資格を100個取得したところで、公認会計士の資格ひとつにも到底及びません。

ズバリ核心を突くと、資格マニアは自分に自信がないから資格でアピールしようとするのです。

特に○○検定は転職で評価されにくい

検定と資格は少し違います。
簿記検定や英語検定のように○○検定と名の付くものは、知識を証明するだけのものであり、持っていることで特別な仕事ができるわけではありません。
宅建士やファイナンシャルプランナーのような資格は名刺に載せることもできますが、検定資格はたとえ1級であっても名刺には書かないのが普通です。

履歴書や職務経歴書には保有資格欄に検定を書くことができますが、羅列に注意です。
検定の1級は評価対象になりますが、2級以下を沢山並べると「どれも中途半端な人」と思われてしまいます。
転職で評価されたいなら、難しくても検定の1級を目指すべきです。

業務に無関係な資格は不要

不動産会社員が宅建やFP資格取得するのは業務との関連性があって評価されます。
しかし、居酒屋店長が宅建やFPを持っていても評価されません。資格だけ持っていても不動産実務をしていないならその資格は無意味です。

転職で資格をアピールしたいなら、「資格取得をした理由」を明確にすべきです。
そして、その理由は職務経歴とリンクさせなくてはなりません。転職面接で資格について聞かれたときに理由を答えられるようにしておきましょう。

資格に一貫性がないのはマイナス評価

たとえ5つ以上の資格があっても、一貫性があるかどうかで見え方は変わります。

例:不動産会社営業マンAさん
保有資格:宅建士、簿記、秘書検定、医療事務、食生活アドバイザー

こちらのAさんの場合は保有資格のジャンルがバラバラすぎて資格マニアに見えます。
宅建は業務にも関連するので高評価ですが、他の資格に目がいってしまい薄れてしまいます。

例:不動産会社経理マンBさん
保有資格:簿記、BATIC(国際会計)、ファイナンシャルプランナー、宅建士、建設業経理士

こちらのBさんは不動産経理マンとして必要な資格を取っています。
簿記だけでは国際会計対応ができないのでBATICも取り、税務に対応する為にファイナンシャルプランナーも取る…もちろん、業界特有の知識を得るために宅建士や建設業経理士も取得している。
きちんとした理由が見えます。仕事内容と保有資格が完全にマッチしています。5つも資格を並べていますが”資格マニア”という印象は全く持たないでしょう。

資格取得する前に、客観的に見て一貫性があるかをチェックしましょう。

実務経験なく資格だけ持つ頭でっかちは一番嫌われる

実務と資格は違います。
たとえば全く経理経験のない日商簿記2級資格者がすぐに経理の仕事が勤まるかといえばそんなことはありません。
実務経験もないクセに資格で勉強した知識だけを振り回す頭でっかちタイプは最も敬遠され、転職でも評価されません。

実務と資格はあくまで別物。実務経験あってこその資格ということを頭に入れておきましょう。

実務経験のない人は資格がないほうが良い?

そんなことはありません。進みたいキャリアに向けた資格は取った方が良いでしょう。
たとえば経理の仕事に転職したいけど実務経験がない…
そんな人は日商簿記2級まで資格を取っておいたほうが良いでしょう。

何も行動せずに経理に転職したいといっても採用してくれる企業はありません。
一応、簿記2級レベルの知識があれば「イチから教えても理解は早そう」とか「経理の仕事のイメージはわかるだろう」というくらいの評価は受けるでしょう。

ただし、あくまで経理未経験者扱いであることは変わりありません。資格を持っているから即戦力なんてことは絶対にありません。
「まったくわからない。イチから勉強したい!」というスタンスでいましょう。実務経験を積みたいなら資格の勉強をしながら派遣やアルバイトの実務経験からはじめるのも良いでしょう。

せっかくの良い資格のイメージが薄れる

たとえば、日商簿記2級は転職市場でも一定の評価を得られる資格です。
そんな日商簿記2級であっても、数多くの資格の中に紛れてしまってはイメージが薄まってしまいます。

例:資格マニアCさん
保有資格:日商簿記2級、ITパスポート、英検2級、ビジネス実務法務検定2級、危険物取扱者

これだけ沢山の資格があるとせっかくの日商簿記2級があっても「会計に強い人」という印象は薄れるでしょう。
何がアピールポイントなのかブレてしまい、人物像が見えにくくなります。

昔取った資格、本当に覚えてる?

転職では5年以上前に取得した資格は評価されません。

たとえば5年以上前に簿記を取り、ずっと経理業務をしているのなら評価対象になるでしょう。
しかし、5年前に簿記を取りその後まったく経理業務に携わっていない場合は「過去の資格」として見なされます。
5年以上前に取った資格、本当に覚えているでしょうか。
難関資格ならともかく、カンタンな資格なら短期間で丸暗記して取れる資格もあるでしょう。「持っている資格の専門家であり、質問があれば何でもお応えします!」と胸を張って言えるでしょうか。大抵の資格マニアは資格取得することがゴールになり、取得後に勉強を続けることなく別資格の勉強をはじめます。

過去の資格はとっくに忘れてしまっているのは転職の面接官もわかっています。
新しいことを勉強するのも結構ですが、ひとつの専門性を極めましょう。

カンタンな資格の羅列より難関資格ひとつで十分

資格マニアはカンタンな資格を羅列して自己満足します。
資格数が多いことはスゴイですが、5個を超えたあたりからただの資格マニア臭がします。

難関資格取得者は資格を羅列しません。
弁護士、公認会計士、不動産鑑定士などの超一流資格を持つ人は資格はひとつで十分です。

あれこれ資格を羅列するより、難関資格ひとつのほうがカッコよくないですか?
弁護士などの資格取得は難しいですが、検定試験の1級はどうでしょう。
簿記、FP、建築士、販売士など…2級や3級は大した評価にならなくても1級になるとグンと評価が高まります。
資格マニアの特徴として検定資格の2級や3級を沢山持っていることも挙げられます。

中途半端な資格を5個取る時間があれば、1級資格1つ取れるのではないでしょうか。

履歴書に書く資格数は5個まで

既に沢山の資格を持つ資格マニアが良い転職をするたったひとつの方法は、資格の断捨離をすることです。

持ってない資格を履歴書に書くのは犯罪ですが、持っている資格を履歴書に書かないのは本人の自由です。詐称には当たりません。
あまりに資格数が多いのは逆に印象が悪いです。
たとえ難関資格であっても資格数が多すぎるのを見ると「この人は自分に自信がないから資格に頼ってるんだなぁ」と思われてしまいます。

資格マニアが断捨離すべき資格一覧

では、どんな資格を断捨離すべきかを考えましょう。
履歴書や職務経歴書に載せる資格は5つ以内に絞ったほうが良いと思います。
その中で、業務関連性、一貫性、資格難易度、資格知名度を考慮して不要な資格から断捨離していきましょう。

断捨離すべき不要な資格まとめ

各検定の3級以下
「初級」がつく資格
趣味系資格(カラーコーディネーター、夜景観賞士、野菜ソムリエ等)
英検(1級除く)
漢検(1級除く)
ITパスポート
マイナンバー検定
秘書検定
パソコン検定
インターネット検定
基本情報技術者
個人情報保護士
珠算検定
消費生活アドバイザー

これらの資格は話のネタとして持っておくのは良いですが、転職に有利になることはありません。
基本的には学生でも頑張れば取れる資格は評価されないと思って良いでしょう。

履歴書や職務経歴書に資格を羅列したい気持ちはわかります。
何故なら少なからず資格取得に向けて努力し、合格した瞬間の喜びを覚えている為、無いものにするのは勇気がいります。
それでも、思い切って資格の断捨離をすることで転職が成功することもありますよ!

【余談】筆者が見た究極の資格マニア

私が出会った人の中に未だに忘れることのできない究極の資格マニアの男性がいました。

出会いは正に中小企業診断士の受講(これから受験する人向け)セミナー。資格マニアさんのほうから私に話しかけてきてくださり、名刺交換をしました。マニアさんは家電量販店でWi-Fiのセールスマンをしているらしい。
続けて自慢げにこう言いました。

実は僕、会社名刺の他に個人名刺を持っているんでそちらもお渡ししますね

個人名刺とはつまり、自分で作成した名刺のこと。
そこには日商簿記2級、FP3級、個人情報保護士、ビジネス法務検定、メンタルヘルスマネジメントなど10個以上の一貫性のない資格が羅列されています。

へー!資格たくさん持っていてスゴイですねー…

内心、「なんだこの人は!」と思ったのは言うまでもありません。
しかもよく見ると大した資格はひとつもない。3級まで自慢げに書いちゃってる…

Wi-FiのセールスマンならIT系資格や販売系資格ならわかるのだが…仕事で個人情報保護やメンタルヘルスマネジメントは必要なのだろうか…恐るべし!これが資格マニアなのでしょう。

【まとめ】資格マニアと思われないように注意を!

資格マニアに対して色々と物申しましたが、資格取得自体は素晴らしいことです。
当然、資格をうまくアピールできれば転職でも評価されます。資格マニアと思われない為には以下のことに気を付けると良いでしょう。

・一貫性ある資格取得をする
・資格取得した理由を明確にする
・職務経歴と関連する資格取得をする
・履歴書や職務経歴書に書く資格は5つまでにする
・不要な資格は断捨離する
・転職では資格はオマケとしてアピールする
・中途半端な資格取得より、難関資格にチャレンジする

資格を受験する前に、自分にとって本当に必要な資格取得なのかを検討しましょう。
カンタンに取得できる資格は魅力的ですが、価値も低いのが事実です。むしろ自分自身の評価をマイナスにすることもありますので注意しましょう。

さいごに、成功する人は何かを極める人です。色々なジャンルの資格を取ることは何も極めていないのと一緒です。
ただし、「資格マニアとして日本一多くの資格取得を目指す!」というのなら話は別です。これはある意味で資格を極めています。
こんな資格マニアがいれば応援したいと思います。
(ライター:Nakanishi Hajime)