私が勤める会社もついにフレックスタイム制が導入されました。
今や多くの企業で導入されているこのフレックスタイム制。
必ず出社しなければならないコアタイム(通常10時頃から16時頃)を除き、社員が自由に勤務時間を設定できるもの。
「社員の働き方の自由を尊重した制度」…のはずでなくてはなりません。
私用で早く帰りたい日は朝早くから出社したり、病院や役所に寄ってから通勤したいときには遅く出社、ちょっと疲れているときにはコアタイムだけ出社なんてことも社員の自由。
ただ、フレックスタイム制が導入されたばかりの我が社はなかなか自由に使える風土もなく、余程の用事があるときに事前に上司に伝えて使用するという名ばかりフレックスタイム制。何とも無意味なもの。(まぁ導入当初はどこもそんなものかもしれません)
さて、ここからが当記事の本題です。
フレックスタイム制においてビックリしたことがあります。
普段通り定時の9時に出社しようとしたら人身事故で電車ストップ。身動きできず2時間経って11時に出社したところ…
なんとこの遅刻分はフレックスタイム制使用で11時から出社したということにさせられ、実質は人身事故により2時間分の給料カット!
こんなことが許されるのか!?社員はどうしたら良いのか?調べてみました。
Contents
そもそもフレックスタイム制での電車遅延の取り扱い方は?
たとえば、9時が定時の会社で予期せぬ電車遅延で10時に会社に到着したとすると…
やむを得ない理由であろうと遅刻した1時間は働いていない扱いになるのでしょうか。
【判決】電車遅延だろうとフレックスタイム制では会社に到着してからが勤務時間。
どれだけ電車遅延になろうと、フレックスタイム制が導入されている場合は会社到着から勤務時間開始となるのが原則です。
いくら電車遅延で遅刻したからといって、その社員が9時出社予定だったかどうかは会社は知りません。
あくまで働いた時間に応じて給料を支払うというのがフレックスタイム制の考え方なのです。
事情はさて置き、実際に働いていない時間は勤務時間とはならないのです。
会社によっては遅延証明書を持っていくことで交渉の余地あり?
とはいえ、必ずしも勤務時間にならないかと言えば会社の判断によります。
事情を説明した上で遅延証明書を持っていき、上司もしくは総務部などに相談してみましょう。勤務時間扱いになる可能性も十分あるでしょう。
ただし、申告しなければ勤務時間外の扱いになり給料ダウンするだけ。何もしないよりは申告してみるほうが良いでしょう。
フレックスタイム制で1時間電車遅延すると約2,000円の損失。
一般的な正社員の給料を時給換算すると1,500円から2,500円程度でしょう。
電車遅延が1時間発生するごとに実質こんなに給料が下がることを納得できるでしょうか。
フレックスタイム制導入前は電車遅延で1時間遅刻したのであれば遅延証明書などを会社に提出すれば出社していたのと同じものとしてみなされます。
これがフレックスタイムという制度を導入したおかげで、単なる遅刻と同等扱いになるのです。
2,000円の損失が月に5回起きれば1万円。年間にして12万円の給料ダウンになることも考えられます。
これは社員にとってフレックスタイム制は痛い制度です。
電車遅延なんてほとんど毎日のこと…フレックスタイム制によってこんなに損しているなんて…
フレックスタイム制は社員が自由に出社時間を決められるもの。その代わり電車遅延で遅刻しようと寝坊しようと謝る必要もないし評価が下がることもありません。
ほぼ毎日?都内の電車遅延率は驚愕!
電車遅延なんてそんなにしょっちゅう起こるものじゃないから気にしないという人もいるかもしれませんが、通勤時に使用する路線によって大きく異なります。
特に都内の電車遅延率は異常なほど高いです。
中央・総武線の電車遅延率はなんと95%以上!
驚きの電車遅延率です。
これは国土交通省の調査によるデータで、平日20日のうち遅延証明書(5分以上の電車遅延があった際に発行)を発行する日数は平均で19.1日だったそうです。
中央・総武線だけが異常な電車遅延率かというとそうではありません。
都内を走る45路線中29路線が50%以上の電車遅延率。
朝の通勤ラッシュの時間は電車遅延しないほうが異常なのです。
それにも関わらず、電車遅延することによって給料ダウンするのがフレックスタイム制の実態なのです。
※数値は記事掲載時点のものです。
外出中の電車遅延は給料ダウンしない不公平さも問題。
営業職が外回り中に電車遅延に遭遇。
会社に戻る時間が想定よりも30分遅くなったからといって、30分が休憩時間扱いになることはありません。
同じ電車遅延なのに、遭遇するタイミングで給料ダウンになったりそうでなかったりするのです。
降雪などで早く帰った場合はフレックスタイム制になる?
では、大雪などで帰宅難民になることを恐れて早く帰った場合にはフレックスタイム制はどう働くのでしょうか。
定時が18時までの会社で15時に帰った場合、3時間分は働いたものとみなされるのでしょうか。
それとも、フレックスタイム制という名目で働いていないものとされるのでしょうか。
【判決】「帰宅許可」なのか「帰宅命令」なのか。
「雪が降っているから早目に帰ったほうがいいですよー!」くらいの感じで帰宅許可が出た場合は、強制ではありません。
あくまで自分の意思で帰宅したとみなされてフレックス早上がりの扱い。つまり3時間分は働いていないのと同じになります。
しかし、会社(通常は総務部などからの通達がメールやポータルサイトなどにアップ)からの通達で「帰宅命令」が出された場合には早上がり分は働いていたものとするのが通常でしょう。
ただし、天災など予期せぬ事態発生時に会社が社員に給料を支払う義務はないので必ずしも勤務扱いになるとは限りません。
これはもう会社の指示に従わざるを得ません。
では、逆に元々予定があってフレックスタイム制度を使い14時に帰った社員がいたとします。
その後大雪が降り、会社から15時に帰宅命令が出た場合は…
残念ながらその社員は普通に14時に退社した扱いになります。
(他の社員は15時から18時までも勤務時間扱いになります)
どうすればフレックスタイム制を有利に活用できるのか。
電車遅延でフレックスタイム制が損することはわかったと思います。
それなら、フレックスタイム制をうまく利用してやれば良いのです。
ラッシュ時間を避けたフレックス出社をする。
通勤ラッシュ時間は電車遅延発生率が高まります。
ただでさえストレスの高い通勤ラッシュ時間の電車に乗るのに、止まる度に給料ダウンしていくのはとてもイライラします。
それなら、はじめから電車遅延の発生しにくい時間に出社したほうが絶対に得です。
電車遅延があった場合は諦めてカフェなどで時間を潰す。
スマホで電車遅延情報をしっかりチェックしておきましょう。
運転見合わせやダイヤ乱れがある場合には間違いなく通勤時間が長くなります。
諦めて駅近くのカフェで読書をしたりコーヒーを飲んだりして仕事オフモードに気持ちをうまく切り替えましょう。
早く出社した分もしっかり勤務時間として申告すること。
フレックスタイム制は働いた時間に対して賃金が支払われるもの。
仕事の準備であろうと前日のやり残しだろうと早く来た分は勤務時間として正しく申告しましょう。
残業時間の過大申告は絶対NGですが、過少申告もコンプライアンス的にはアウトです。自信をもって申告しましょう。
フレックスタイム制を使ってプライベートを満喫すること。
フレックスタイム制は遊びの予定の為に早く帰ることも社員の自由なのです。
(もちろん、仕事に支障が出ないようコントロールはしましょう)
予定がある日はフレックスタイム制で早く帰ってリフレッシュしましょう。
フレックスタイム制を使って早帰りするとこんなメリットがあります。
・居酒屋やバーのハッピーアワーで安く飲める。
・カラオケを安い時間に楽しむ。
・平日料金のスパでリフレッシュ。
・一度帰宅して私服に着替えて友達も飲みに出掛ける。
・こっそり転職活動できちゃう。
・金曜日に早帰りしてそのまま旅行へGO!
フレックスタイム制を上手く使える人は仕事のリフレッシュも上手くできる人です。是非使ってみてください。
【まとめ】フレックスタイム制で電車遅延は勤務時間外扱い。上手く活用できるかがポイント。
記事タイトルの「フレックスタイム制は電車遅延が勤務時間外」ということに関しては違法ではありません。
こればかりは仕方ないことです。
しかい、本来はフレックスタイム制は社員が働きやすくなる為のものです。
フレックスタイム制を上手に使って得をする方向に持っていきましょう。
(ライター:Kitagawa Mai)