経理コラム

【転職】経理経験者の中途採用面接でよくある質問と回答例

経理職の転職における中途採用面接では、どの企業も同じような質問をされます。
新卒採用のようにイレギュラーな質問や回答に困るような質問は少なく、経理実務者として即戦力になるか否かを判断される為の質問の為、どうしても似たような質問になるのです。
特に経理という専門性の高い職種上、どの業界であっても職務経験をベースとした質問となります。

つまり、中途採用面接で聞かれるよくある質問だけ確実に抑えておけばどの企業でも使い回しができるのです。
当記事では、経理職専門キャリアアドバイザーが「経理の中途採用面接でよくある質問」について厳選して掲載します。

まずはじめに自己紹介をお願いします。

経理職に限ったことではありませんが、大半の企業は自己紹介からスタートします。

企業は予め履歴書や職務経歴書を見ています。その上で面接に呼んでいる為、自己紹介の内容はそれほど重要ではありません。
これまでの職務経歴をベースに、「何故転職するのか」までを簡潔にまとめることが必要です。

私は大学卒業後、食品メーカー2社で勤務しています。
1社目は株式会社●●で営業職からスタートし、希望していた経理に異動し主計として決算業務を担当しました。
2社目の株式会社●●では経理部主任として4人の部下を持ちながら決算業務する他、法人税申告や監査対応を担当しました。また、国際会計基準の導入においてはプロジェクトリーダーを務めました。
さらなるキャリアアップとして連結会計や管理会計を習得する為、転職活動をしています。以上です。

上記の自己紹介は約45秒程度になります。
ポイントは以下のとおりです。

・最初に「●社勤務している」と伝えることで冗長性がなくなる。
・無関連な営業の話は簡潔にし、経理職の話を中心にする。
・1社目→2社目でキャリアアップしていることを伝える。
・主任やプロジェクトリーダー経験などでマネジメントスキルを強みとしていることをアピール。
・転職理由がポジティブであること、そして明確な目標を伝える。

面接官は自己紹介のココを見ている!

ズバリ、コミュニケーション能力を見ています。

経理という職種は、営業職のようにクライアントと折衝することはありませんが、社内の他部署、役員などに的確に経営状況を伝えるシーンが多くコミュニケーション能力が問われます。
転職面接での自己紹介では以下のような点を見られています。

・面接官の目を見て話しているか
・伝わりやすいよう抑揚をつけて話ができているか
・表情豊かであるか
・聞き取りやすい声か
・語尾までしっかりと聞き取れるか
・手癖などがないか

自己紹介は中途採用面接のスタートを決める大切な時間です。印象を大きく左右します。
緊張せずに落ち着いて話しましょう。

録画や録音をして自分自身の自己紹介を見つめ直してみると良いでしょう。
転職エージェントのキャリアアドバイザーに聞いてもらうのもオススメです。

志望動機は?

経理職として何をしたいかを話せば十分です。

商品、サービス、企業理念などは経理では話す必要はありません。
面接官も、経理の人間が商品に惹かれて中途採用面接を受けているとは思っていないので、ここは仕事内容のどこに魅力を感じたのかを話せれば良いでしょう。

御社の経理職では、大規模組織での連結会計や管理会計にも携われるのが魅力に感じます。
これまで私が経験してきた子会社側の連結決算やプロジェクト収支分析を活かして活躍できると思い志望します。

ポイントは、転職活動の軸をブラさないことと、相手(企業)にとって採用するメリットをアピールすることです。

もし、商品・サービスについて聞かれたら?

稀に商品やサービスについて聞かれることはあります。

経理職であっても、会社という組織に所属する以上は商品やサービスについて聞かれることもあります。
正直に、勉強不足であることは伝えて問題ないと思います。
その上で、自分なりに企業の商品やサービスへの感想は答えられるようにしておくと良いでしょう。

これまで経験してきた仕事内容は?

経理職は多職種以上に業務の細かい内容について質問されます。

職務経歴書は経験してきた業務内容をしっかりと記載し聞かれたら答えられるように準備しましょう。
当然にして、幅広く経理業務に携わってきた人材が重宝されます。大手企業で分業化により一部の経理業務しか担当していなかった人材は転職市場での評価は下がります。
それでは、質問への回答例です。

私は子会社である株式会社●●の経理業務を一人で担当しています。特に資金調達が重要な会社であり、収支予測を徹底的に行い効率的な借入を遂行しました。
その他にもジョブローテーションで、職務経歴書に記載したような経理業務は一通り経験しています。

特に強みとなる業務をアピールしつつ、それ以外にも幅広く経理業務ができることも伝えると好印象となります。

連結決算、管理会計、資金調達などのハイレベルな経理業務経験は重宝されますが、会計システムへの入力、仕訳、出納などのベースの業務ができることを求める企業も沢山あります。経理業務はどちらも大切なのです。

あなたの強みと弱みを教えてください。

新卒採用のような質問ですが、中途採用でも鉄板であり経理職でもよく聞かれます。

しかし、新卒採用とは少し意味合いが違います。中途採用では、「仕事を通じて自己分析をし、強みとなる部分をどう活かし、弱みとなる部分をどう改善しているか」を問われます。
ここで言う強みや弱みとは、「税務に強い」だとか「退職給付会計の論点に弱い」とかスキル面の話ではなく、よりパーソナリティな部分を答えるべきです。

私の強みは、学び続けられることです。今でも日商簿記1級や英語の勉強をしています。経理という仕事は学び続けることが大切なので武器になると思います。

私の弱みは、早とちりなところです。
良いと思うことはすぐに行動したくてウズウズしてしまうのです。しかし、経理の仕事では慎重さも必要な為、行動する前に周囲に意見を求めるようにして見切り発車しないことを心掛けています。

この回答例は、パーソナルな部分を出しながらも仕事をイメージさせています。
ポイントは弱みに対して、解決策を述べることです。自分だけではどうにもならないことは、周囲の力を借りてもよいのです。

なぜ経理の仕事をしたいのですか?

ちょっと意地悪ですが、仕事への想いを質問する企業もあります。

合否への直接的な影響は考えにくいですが、仕事への熱意を確認する質問となります。

経理という仕事は知識や経験を積むほどに会社経営の全体像が見える面白い仕事です。会計側面から会社を支える重要なポジションであり、会計知識を勉強するのが好きな私にとっては天職であると自負しています。

当然にして、ポジティブな回答でなければなりません。
ポイントは、「経理の仕事が好き」というだけにとどまらず、「経理の仕事は私にとって活躍できる」という点をアピールすることです。

将来のビジョンを教えてください。

中途採用面接でかなりの確率で聞かれる質問です。

3年後、5年後、10年後にどうなっていたいのか。また、その為にどんな行動をするのか。
回答できるようにしておくと良いでしょう。

まずは3年間で連結を含む決算業務を熟知したいと思います。
10年後には、中期経営計画や投資計画などに会計側面から携われるようになりたいです。

ここは素直に自分自身が経理としてどのようなキャリアを積みたいのか具体的に話せると良いでしょう。
現状維持で満足する人材は中途採用では評価されません。キャリアアップを目指す姿勢を見せましょう。

部長になりたいとかマネージャーになりたいなど役職だけを語るのはオススメしません。
役職を上げたいと考えるのは良いことですが、役職にとらわれずどんな仕事をしたいかを語れることが大切です。

マネジメントに興味はありますか?

非管理職として中途採用面接を受ける場合にはよくある質問です。

企業としては将来マネジメントを任せられる人材が欲しいはずです。
余程のことがなければ、興味があると答えたほうが有利になります。

マネジメントに興味があります。
経理部門のマネージャーは、会社経営に大きな裁量を持って仕事ができるものと考えています。
まずはプレイヤーとしてしっかりと実力をつけた上で、チャンスがあればマネジメント職にチャレンジしたいです。

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将来、経理以外の職種に異動になったらどうする?

総合職採用の企業ではよくある質問です。

大企業では総合職採用が多く、中途採用であってもジョブローテーションは考えられます。
意地悪な質問に思えますが、企業としては入社後の退職リスクを減らす為にこのような質問をします。
以下のような回答例が理想です。

私は経理の仕事でキャリアを積みたいと考えています。
もし異動して別の職種になっても、その経験を活かしてまた経理に戻れるチャンスがあるのであれば受け入れます。
しかし、異動後に経理に戻るチャンスがないのであれば退職も検討します。

自分自身のキャリアの軸の強さをアピールした上で、異動に対しても柔軟に受け入れる姿勢がベストです。
一度異動したら経理に戻るチャンスが全くないという企業は少ないので、このように回答しても問題ありません。

反対に、「何でもやります!」という姿勢は新入社員なら好印象ですが中途採用では「仕事のこだわりがない人材」としてマイナス評価にもなり得ます。

よくある質問への回答準備は念入りに!

転職は一生を左右する大切なイベントです。

面接は当日よりも事前準備が大切です。よくある質問は必ず準備しておきましょう。
繰り返して口に出して練習することで余裕を持って面接に臨めます。
転職エージェントに見てもらうこともオススメです。
(ライター:Kitagawa Mai)