経営企画、経営管理、FP&Aなど企業の管理会計に携わるビジネスパーソンもしくはこれらの職種に異動や転職をしたいビジネスパーソンにとって面白そうな資格が誕生した。FP&A検定(経営企画スキル検定)だ。
こういった職種は社内でもエリート部署と呼ばれる為、検定が簡単ではないことは想像がつくだろう。
とはいえ、FP&A検定はたかが検定試験に過ぎない。
果たして、FP&A検定はどれほどの難易度なのか。他の会計や経営資格と比較して難易度は高いのか、低いのか。
当サイトライターが実際にFP&A検定を受験した。結果は、最高ランクのAランク(780点/800点満点)。
感想と難易度について報告する。
Contents
【前提】受験者ライタープロフィール
まずはじめに私自身のプロフィールを紹介する。
・年齢:37歳
・職種:経営企画(経験5年)
・役職:主任
・資格:日商簿記2級他
※FP&A検定受験時のデータ
FP&A検定を知ったキッカケはネットサーフィンしている最中に知り調べてみた。
新しい資格(検定試験)であることと、経営企画に特化した資格であることから興味を持った。
テレワークが多くなり、通勤時間など浮いた時間で何か勉強したくなった。
特に転職や昇進に役立つとか、対外的に自慢することは考えず、「何となく経営企画の仕事に役立つことがあれば良いなぁ」と思い軽い気持ちで受験を決めた。
FP&A検定の試験内容は?
まずはFP&A協会HP情報から試験出題範囲をお伝えしておく。
・FP&Aとは何か、組織としてのFP&AとプロフェッションとしてのFP&A
・戦略、組織及び業界
・予算管理(計画と統制)
・財務モデリングのプロセス
・財務予測の作成
・投資決定のプロセス
管理会計に必要な知識を問われる。
経営企画スタッフなら知っていて当然…といった知識ばかりではない。
(私が勉強不足なのかもしれないが)
実務だけでは得られない経営戦略のベース知識は勉強になる。
また、経営企画としては特に重視される財務分析について。割と知らない内容もあり、覚えることも盛り沢山。
FP&Aとして今後活躍していきたいなら、学んでおくべき知識が網羅されている他の資格検定ではない新しい視点の資格だ。勿論、一部の内容は簿記検定、FP検定、中小企業診断士等の資格とも被っているが、全く同じには感じられない。
FP&A検定試験に計算問題はある?
試験問題全体の5%ほど計算問題がある。
しかし、難しい計算はなく電卓不要のレベルだ。実際、FP&A検定のテストセンターに電卓持ち込みは許可されていない。即ち、手計算でできるレベルの簡単な計算問題のみとなる。
Excelや電卓計算ばかりに慣れてしまっている人は経営企画や経理の人間でも意外と多いので、自信がない人はFP&A検定前に電卓を使わずに計算練習してみると良いだろう。特に苦手意識がない人は不要だ。
財務分析に必要となる数式は抑えておいたほうが良い。
特に損益分岐点や安全余裕率などは頻出される。
FP&A検定の試験時間は短い?
私は見直し含めて20分で終わった。試験時間は余るはず。
ここについてはあまり心配する必要はないと断言できる。
FP&A検定の試験時間は90分間あるが、こんなに時間に余裕のある資格試験も珍しい。
焦らずにじっくりと問題を解き、見直しまでする時間は十分にあるだろう。
【主観あり】FP&A検定の難易度偏差値は?
非常に簡単。しっかり勉強すればAランク、いや満点も夢ではない。
試験だけの難易度で言えば、日商簿記3級より簡単だ。個人的な感覚もあるが。
その理由としては、FP&A試験問題がすべて4択式の選択問題であること、そして何より大きいのは試験問題のすべてがFP&A検定講座の演習問題の使い回しということだ。今後見直される可能性はあるが、少なくとも現時点では使い回しである。
つまり、FP&A検定は演習問題さえ繰り返し解き続け、問題や答えを丸暗記できるレベルまでになれば誰でもAランクを取れるのだ。
丸暗記でAランクを取る事に本当の価値があるかはさておき、せっかく試験を受けるのだからどんな手段でも高得点、高ランクを取りたいのは当然だろう。少なくとも私はそうである。
FP&A検定Aランク取得に費やした勉強時間は?
約40時間。資格試験にしては非常に短時間だ。
受講時間を含めた勉強時間だ。
40時間の勉強時間をかければ最高ランクのAランクが取れる。
FP&A検定は非常にコスパの良い試験である。
簿記知識がなくてもFP&A検定は簡単?
簡単だと思う。正直、簿記知識はそれ程必要ではない。
仕訳を切ることはない。PL、BSの成立くらいは知っておかないと厳しいだろうが。
まぁそもそも順番的には日商簿記2級くらいは取ってから経営企画やFP&Aを目指すのが当然な気はするが。
経営企画経験がなくてもFP&A検定は簡単?
未経験者でもFP&A検定は簡単なはず。
経営企画経験者のほうがイメージを掴みやすいのは間違いないが、未経験者でも十分にAランクは狙える。
これから経営企画で働く予定のある人、転職や異動で経営企画を目指す人にもFP&A検定はオススメする。
偏差値が低くてもFP&A検定は簡単?
前述の通り、Aランクを取るだけなら偏差値すら必要としない。
ただし、丸暗記だろうが試験で点数を取れる人間はある程度勉強や試験慣れした人間が有利だ。
偏差値ななければFP&A検定でAランク取る事が不可能ではないが、経営企画やFP&Aのような職種の人間は間違いなく偏差値は高い傾向がある。
そんな人間が受験するFP&A検定で最上位ランクに認定される為には、それなりには努力は必要だ。
FP&A検定の難易度が高いと感じる理由
講義内容が難しく、ポイントを押さえにくいことが難易度を高く感じさせる。
ハッキリ言ってFP&A検定は試験で点数を取ることより講義内容を理解することのほうが遥かに難しい。
先生の話は凡人の私には頭が良すぎてついていけない…
でも今思えば半分理解でどんどん授業を進め、復習していくごとに理解できるから何とかなる。
FP&A検定試験の今後の難易度は上がる可能性あり!
知名度が高まればFP&A検定の難易度は上がります。
現状は知名度の低いFP&A検定だが、徐々に高まることだろう。
企業における経営企画やFP&Aの重要性は高まることは間違いないだろうし、企業単位で検定に申し込むことも考えられる。会社が斡旋する試験となれば評価や昇進に繋がる可能性もあるし、FP&A検定全体のレベル底上げにもなる。
経営企画やFP&Aへのキャリアアップを目指す人間の受験も増えるだろう。こういった人間は意識が高い為、高得点を取る可能性も高い。
FP&A検定でAランクを取るなら、難易度の低い今のうちが狙い目だ。
思い立ったら受験してみよう。
FP&A検定の将来性は?
未知数だが、期待はできる。
あくまで検定試験に過ぎない為、限界はある。FP&A検定を受けなければ経営企画やFP&Aになれないわけではない。
現在は大抵の人がこの検定試験を知らない。
つまり、FP&A検定は将来的には知名度が上がる余地しかない。
転職や昇進において一定の評価をされる可能性はある。
ただし、日商簿記を超えることはないだろう、絶対に。
管理会計より財務会計のニーズのほうがしばらくは強いだろう。
FP&A検定でAランクなら経営企画に転職できる?
検定のスコアだけで転職できる可能性はない。
Aランクだろうが、満点だろうが同じだ。まぁFP&A検定に関わらず、資格だけでは経営企画に転職は難しい。
経営企画やそれに準ずる職務経歴があることが必須だ。
経営企画未経験者であっても、財務や経理などの関連部署の経験が豊富であれば転職できる可能性はある。
未経験者でも可能性はゼロではないが、経営企画への転職は極めて難しい。
FP&A検定Aランクは職務経歴書を少しだけ華やかにする付加価値はあるだろう。
採用する側からすれば、FP&A検定の内容や難易度はよくわからなくとも、経営企画へのモチベーションの高さや勉強意欲の高さをアピールすることは可能である。
FP&A検定は経営企画の仕事に役立つ?
理論や考え方は非常に役に立つ。
経営企画に多いプレゼン資料の作成には裏付けとなる理論は必要だ。社長や役員へのプレゼンでは強みを発揮できる。
特に財務視点で強くなれるのは大きなメリットだ。
現状、FP&A検定でAランクを取ったからといって社内の評価が上がったり昇進にダイレクトに響くことはないが、間接的には経営企画の仕事に役立つのは間違いない。
また、向上心さえあればFP&A協会が主催する勉強会などに参加することも可能だ。(私は参加していないが)
こうした機会から経営企画やFP&Aの横の繋がりができ、情報交換ができるのも大きなメリットだと思う。
【結論】FP&A検定でAランクは簡単!
個人的には受験をオススメする。
私がFP&A検定をオススメする理由は以下のとおりだ。
・簡単にAランクが取れる
・コスパ(お金、時間)が良い
・経営企画の仕事に役立つ
・勉強心の高さをアピールできる
・将来的に価値が上がる可能性がある
・履歴書や職務経歴書に書ける
今のうちにFP&A検定でAランクを取る事が勝ち組になるかもしれない。
まぁ例えならないとしても、受験してみる価値はあるだろう。
(ライター:Nakanishi Hajime)