「経営企画って、結局どんなことしてる部署なの?」 企業で働いていると、部署名は知っていても具体的な仕事内容がイメージできない人は多いです。しかも経営企画部の中にいる本人ですら、「えっと…」と一瞬言葉に詰まることも珍しくありません。
なぜなら、経営企画の仕事は非常に幅広く、会社や業界によって役割も微妙に異なるからです。そこで今回は、経営企画の役割・仕事内容・やりがい・向き不向きまで、初心者でも分かるように丁寧に解説します。社内で「何してるの?」と聞かれたときに、自信を持って答えられるようになります。
経営企画のざっくりした役割
経営企画部は、一言で言うと「会社の未来を設計する部署」です。 経営陣とともに長期的な方針を決め、その方針を達成するための戦略を立案し、進捗をモニタリングします。現場の営業や製造とは異なり、「今すぐの売上」ではなく「将来の成長」に焦点を当てています。
たとえば、新しい市場に進出するかどうかを判断する場合、経営企画は市場調査を行い、競合や需要予測、必要な投資額、リスク要因などを洗い出します。そして経営陣が意思決定できるよう、数字と根拠をそろえた提案を作るのです。
経営企画の主な仕事内容
経営企画の業務は会社によって差がありますが、代表的なものは以下のとおりです。
- 中長期経営計画の策定:3〜5年先を見据えた成長戦略や数値目標の設定。海外展開や新事業進出など大きな方向性もここで決まります。
- 年度予算の編成:各部門からの予算要求をとりまとめ、全社としての売上・利益計画を作成します。数字の整合性をとるために、各部門との交渉も必須。
- 業績管理・分析:月次・四半期の実績を予算と比較し、原因分析を行います。「売上が落ちたのは市場全体の影響か、自社の営業力不足か」などを明確化。
- 新規事業や投資の企画:市場規模や採算性の分析、投資回収シミュレーション。アイデアベースではなく、数字ベースで事業化の是非を判断します。
- M&Aや資本政策:買収候補企業の選定、デューデリジェンス、条件交渉など。財務・法務の知識も必要。
- 全社プロジェクトの推進:コスト削減、業務効率化、デジタル化(DX)など、部署を横断したプロジェクトを主導します。
会社によっては、広報やIR(投資家向け広報)も経営企画の管轄になっていることもあります。
経営企画と他部署との違い
営業部は「売る」、製造部は「つくる」、経理部は「お金を管理する」。 一方、経営企画は「会社全体を設計し、動かす」役割です。
現場の部門は、日々の業務や目標達成に集中していますが、経営企画は一歩引いた立場から「会社全体の健康状態」を見ています。そのため、特定の部門に肩入れせず、全社最適の観点で判断することが求められます。
経営企画のやりがいと大変さ
やりがいは、会社の方向性に深く関われること。自分が提案した戦略や施策が承認され、実行され、売上や利益に結びつくと、大きな達成感があります。経営陣と同じテーブルで議論できることも刺激になります。
一方で大変なのは、常にロジックとスピードを求められるプレッシャーです。提案が感覚や思いつきだけでは通らないため、膨大な情報収集と分析が欠かせません。また、経営層と現場の両方を相手にするため、調整力や交渉力も必須です。
経営企画に向いている人の特徴
- 数字やデータ分析が好きで、エビデンスを重視する
- 全体像を見ながら細部も詰められるバランス感覚がある
- 経営層にも現場にも、立場を変えて説明できる
- 新しい情報をキャッチし、咀嚼して活用するのが得意
- 短期間で結論を出すための判断力がある
【まとめ】経営企画の仕事をひとことで言うと…
経営企画は、会社の未来をデザインし、その実現に向けて戦略を組み立て、実行を支える部署です。華やかに見える一方で、地道な調査や調整も多く、冷静な判断力と強い責任感が求められます。
もし社内や面接で「経営企画って何してるの?」と聞かれたら、こう答えてみてください。 「会社の未来を考え、実行までつなげる部署です」と。