経理の昇進Q&A

【体験談】経理管理職は激務。それでも辞められない理由とは?

【体験談】経理管理職は激務。それでも辞められない理由とは?

経理の管理職って、本当に激務なんです。
私は上場子会社で経理課長をしていましたが、
「人も時間も足りない」「ミスは許されない」「でも誰も理解してくれない」──
そんな現実に何度も押しつぶされそうになりました。

何度も会社を辞めたいと思ったけど、それでも不思議と辞められなかったのは、
“数字の責任を持つ立場”だからこそ見える景色があったから。
この記事では、経理管理職のリアルな激務体験と、それでも辞められない…経理管理職を続ける理由をお伝えします。

経理管理職の仕事は「プレイングマネージャー地獄」

経理の管理職というと、部下に仕事を振ってマネジメントする立場──と思われがちです。
でも実際は違います。多くの会社では、人手不足でプレイヤー兼任が当たり前。

たとえば私の場合は…

  • 月次・四半期・年次決算のレビュー+自分でも仕訳やチェック
  • 税務調査や監査法人の対応
  • 子会社の経理指導
  • 上層部への報告資料の作成
  • メンバーの教育・残業管理・面談

一日中メールとSlackが鳴り止まず、帰宅はいつも22時すぎ。
「管理職=楽」なんて幻想です。本当に激務で地獄です。
むしろ現場と経営の板挟みで、一番つらいポジションだと感じました。

管理職になると「守るべき数字」と「守りたい部下」がぶつかる

経理の数字は“会社の信用”そのもの。
たった1件のミスが、監査指摘や決算修正につながることもあります。

だからこそ、部下の作業も一つひとつ確認しなければならない。
でも、人間関係を壊さずに正確性を追求するのは本当に難しいんです。

ある時、若手が仕訳をミスして税金計算に影響。
深夜に再集計して翌朝までに修正を終えましたが、
「なんでチェックできなかったのか」と上層部からは叱責、
部下からは「そんなに詰めないでください」と言われ、
誰にも感謝されないポジションなんだと痛感しました。

繁忙期は“命を削る”レベル。決算期の睡眠時間は3〜4時間

決算・監査・税務申告・予算策定が重なる3月〜5月は、地獄のような忙しさ。
一番つらかったのは、深夜にExcelがフリーズして2時間分の作業が消えたとき。
あの瞬間、心が折れました。

社内では「数字のミスは許されない」「間に合わせて当たり前」。
でも現場のリソースは限られていて、精神的にも肉体的にも限界を迎えます。
この時期だけは、家族にも「寝顔しか見てない」と言われるほど。

経理管理職は“数字でしか評価されない”という孤独

営業なら「売上を上げた」「契約を取った」で評価されますが、
経理は「ミスがないこと」が前提。
つまり、どれだけ頑張っても“ゼロ評価”になりやすい仕事です。

管理職になると、その重圧はさらに倍増。
上からは「もっと早く、もっと正確に」、
下からは「仕事が多すぎる」、
結果的に誰にも褒められない仕事になります。

正直、「辞めたい」と思ったことは一度や二度じゃありません。

管理職に昇進したら残業代が出なくなり、年収が下がった…

経理職で昇進したのに、手取りが減った。
実はこれ、かなり多いパターンです。

私も課長昇進の辞令を受けたとき、最初は正直うれしかった。
「ようやく評価された」「これでキャリアアップだ」と。
ところが、実際の給与明細を見て驚きました。
残業代がゼロになったことで、年収はむしろ下がっていたのです。

経理職は、繁忙期になるとどうしても残業が増える。
主任やリーダークラスの頃は、その分の残業代がかなり支えになっていました。
ところが、管理職になると「管理監督者扱い」になり、残業代は一切支給されません。

しかも、仕事量は倍増。
決算説明資料のレビュー、監査対応、メンバー教育、経営報告など、
時間も責任も重くなるのに、実質の時給はむしろ下がるという皮肉な現実。

ある意味で「昇進=報酬ダウン」という逆転現象が起きる職種です。
そのため、管理職昇進を打診された際は、以下の点を抑えておくことが大切になります。

  • 管理職手当や基本給の上げ幅
  • みなし残業時間の扱い
  • インセンティブや賞与評価の基準

人によっては、「あえて主任止まりで働きやすさを取る」という選択もあり。
経理職は、役職よりも“働き方のバランス”を重視する人が増えています。

激務なのに、部下が残業すればするほど管理職の評価が下がる…

経理管理職をしていると、本当に理不尽だと感じる瞬間がある。
それは、「部下が残業すると自分の評価が下がる」という現実だ。

たとえば、決算期や監査対応など、どうしても長時間労働が避けられない時期。
「みんな頑張ってくれている」と感じる一方で、上層部からは冷たい一言。
「なんであなたのチームだけ残業が多いの?」
「マネジメントができていないんじゃないか?」

もちろん、経理の仕事量を減らせるような“魔法”は存在しない。
制度改定、開示要求、グループ会社からの問い合わせ対応など、
毎月・毎年、タスクは増える一方なのだ。

それでも会社は、「残業削減=管理職の力量」として評価してくる。
だから、部下の残業を減らすために、
結局は管理職自身が深夜まで帳尻を合わせるという構図になってしまう。

Aさん(経理課長・40代前半)もこう語る。

チームの残業を減らしたくて、自分が夜中まで資料を作ってた。
でも結局、自分の評価は上がらないし、疲弊するばかり。」

部下が残業しても怒られ、自分が残業しても評価されず、
チームが早く帰っても“業務が薄い”と見られる——。
地獄のような業務量の中、残業している部下達を置いて真っ先に帰るなんて出来ませんし、たまに早く帰っても残業している部下からの連絡が気になって仕方ない…

まさに「どう転んでも報われない評価構造」が、経理管理職の大きなストレス要因になっている。

5. それでも辞められなかった理由

そんな地獄のような日々でも、私が辞めずに続けてこれたのは「自分の判断で会社の数字を動かせる」責任感と達成感があったからです。

経営層との打ち合わせで、資金繰りや投資判断を左右する提案をしたとき、
「いい視点だね、助かったよ」と言われた瞬間、
すべての苦労が報われた気がしました。

経理管理職は確かに激務。
でも、「経営を支える」最前線にいるのは間違いありません。

激務を少しでも和らげるためにできること

経理の激務が劇的に改善されることは難しいですが、少しの努力で激務を和らげられる可能性も大いにあります。

・Excelマクロや会計システムの自動化で作業を効率化
・メンバーに「任せる勇気」を持つ(完璧主義を手放す)
・決算カレンダーを部門横断で共有し、社内全体で協力体制を作る
・自分自身の“働きすぎライン”を意識し、帰れる日は部下を置いてでも先に帰る

経理管理職は“正確さの奴隷”になりがちです。
でも、仕組み化・分担・可視化を進めることで、少しずつ負担を軽くできます。

まとめ:激務でも経理管理職を続ける価値はある

経理管理職は「人も数字も見る」最前線です!
どれだけ激務でも、経営に近い実感が得られることは大きなメリットですし、何と言ってもキャリア的にも市場価値が高く、転職市場では年収700万〜900万クラスが狙えるポジションなのです。

つらい。でも、やりがいがある。
そんな両極を行き来するのが経理管理職のリアルです。

もし今、「きつい」と感じているなら、それは本気で会社を支えている証拠かもしれません。