「中小企業診断士って、経理職に意味あるの?」
「簿記や税理士と違って、どう役立つの?」
経理職として日々数字を扱う中で、「もっと経営に近い仕事がしたい」と考える人は多いです。
そんなときによく検討されるのが 中小企業診断士。
しかし、実際のところこの資格が経理キャリアにどのような影響を与えるのか、疑問を持つ人も少なくありません。
本記事では、経理職が中小企業診断士を取得する意味・キャリアへの影響・転職市場での評価を、実例を交えながら解説します。
Contents
中小企業診断士とは?経理との関係性
中小企業診断士は、経済産業省が認定する「経営コンサルタントの国家資格」です。
財務・会計だけでなく、経営戦略、マーケティング、人事、生産管理など、企業経営に関する幅広い知識を学びます。
経理職との関係で言えば、特に次の領域が密接です。
- 財務分析・経営指標の理解
- 管理会計(予算管理、原価管理、KPI設定)
- 経営計画・中期経営戦略の策定
つまり、中小企業診断士資格によって「数字を作る経理」から「数字で経営を動かす経理」 へと進化するための知識が得られるのです。
資格取得でキャリアがどう変わる?
中小企業診断士を取得した経理職の多くが口を揃えて言うのは、
「経営の視点を持てるようになった」ということ。
日々の仕訳や決算業務から一歩引いて、
「この数字は経営判断にどう影響するか?」
「どの事業が利益を生み、どこが足を引っ張っているか?」
という視点が持てるようになるのです。
実際、資格をきっかけに以下のようなキャリア変化が見られます。
- 経理 → 経営企画への異動・転職
- 経理マネージャーとして経営層との距離が近くなる
- 将来のCFO候補として抜擢される
経理経験に診断士の知識が加わることで、「経営を理解できる数字の専門家」 という強みを持てるのです。
「診断士×経理」の転職市場での評価は?
転職市場でも「中小企業診断士×経理職」は一定の評価を受けます。
特に評価されやすいのは以下のような企業・職種です。
- 経営企画・管理会計・FP&A(財務企画)職
- 事業再生・M&Aコンサルティング会社
- IPO準備企業(将来のCFO候補)
一方で、一般的な経理ポジション(仕訳・月次・年次決算中心)では、資格自体よりも実務経験や業務スピードのほうが評価される傾向もあります。
つまり、中小企業診断士の資格だけで年収が上がるわけではないが、
キャリアの幅を広げる“武器”になるというのが実態です。
資格勉強で得られる実務的なメリット
中小企業診断士の学習範囲は非常に広く、単なる座学ではなく経理実務に直接役立つ知識も多く含まれます。
- 経営分析 → 決算説明資料や取締役会報告に活用
- 経営戦略論 → 予算策定や中期計画立案で活用
- 財務論 → 資金繰り・投資判断で応用
- 組織論・人事論 → 管理職登用後のマネジメントで役立つ
資格勉強を通して、経理職に不足しがちな「全社的な視点」を自然と養えるのが大きなメリットです。
中小企業診断士を取得して転職に成功した経理職の事例
ある30代後半の男性は、メーカーで経理主任を務めていました。
決算や税務対応には自信があったものの、経営判断に関わる機会が少なく将来に不安を感じていました。
そこで中小企業診断士の勉強を始め、3年かけて合格。
学習を通して管理会計や経営戦略の理解が深まり、社内でも経営企画プロジェクトにアサインされるようになりました。
結果、経営企画部へ異動。その後、同業他社の経営管理職として転職し、年収も約100万円アップしたといいます。
診断士資格を活かせる人・活かせない人の違い
中小企業資格を取った全員がキャリアアップできるわけではありません。
違いを分けるポイントは次の2つです。
- 資格の知識を業務に落とし込めるか
- 経営層と対話できる立場にいるか(または目指すか)
「資格を取った=すぐ昇進」という世界ではありません。
ただし、経営に興味を持ち、自ら提案・改善に動けるタイプの人にとっては、
中小企業診断士は経理キャリアを大きく伸ばす武器となるでしょう。
まとめ:経理職こそ“数字の先を語れる人材”に
経理職にとって中小企業診断士は、“経営を理解するための実践的な資格”です。
短期的に年収が上がる資格ではありませんが、
長期的には 「数字を作る」から「数字で経営を動かす」 へのキャリア転換を後押しします。
もし今、経理として「自分の仕事の先に何があるのか」迷っているなら、
中小企業診断士の勉強を通して経営の全体像を学ぶことは、確実にあなたのキャリアの糧になります。

