経理コラム

ベンチャー経理のキャリアパスは?CFOになる人の特徴とは

ベンチャー経理のキャリアパスは?CFOになる人の特徴とは

「ベンチャー企業の経理って、その後どんなキャリアになるの?」
「CFOになるには、どんなスキルや経験が必要?」

こうした疑問を持つ方は少なくありません。
筆者自身も大手企業の経理からベンチャーに転職し、スピード感ある環境でキャリアを築いてきました。 実際に働いてみると、ベンチャー経理は“プレイヤーで終わらないキャリア”を作るチャンスがあると感じています。これは大手企業では非常に難しいベンチャー経理ならではのメリットです。

ベンチャー経理のキャリアパスとは?

ベンチャー企業の経理職は、入社時点では仕訳や月次決算といった基本業務からスタートします。 しかし、会社の成長フェーズが進むにつれ、業務の幅が一気に広がっていきます。

主なキャリアステップは以下のようになります:

  • ① 経理担当者: 日次仕訳・請求処理・月次決算を担当
  • ② 経理リーダー/マネージャー: チームの管理・監査対応・会計方針の策定
  • ③ 管理部長/CFO補佐: 経営資料作成・資金繰り・投資家対応など経営寄りの業務
  • ④ CFO: 資金調達・上場準備・経営戦略の数字面を統括

特にスタートアップでは、組織の拡大スピードに人材の成長が追いつかないため、実力次第で20代・30代でもCFOに抜擢されるケースもあります。

なぜベンチャー経理は成長スピードが速いのか

大企業では、経理業務が細分化されており、同じ仕事を何年も担当することが多いです。 一方ベンチャーでは、経理・財務・労務・法務が明確に分かれていないため、自然と幅広いスキルを身につけられます。

たとえば、

  • 税理士や監査法人との折衝
  • 資金調達(銀行・VC対応)
  • 上場準備のための内部統制構築
  • 経営資料(予算実績・KPI分析)の作成

これらを1〜2年で一通り経験できる環境は、他ではなかなかありません。 つまり、“幅”と“スピード”を両立できるキャリアがベンチャー経理の最大の魅力です。

CFOになる人の特徴とは?

ベンチャー経理からCFOへステップアップする人には、共通した特徴があります。

  • ① 数字に強いだけでなく「事業を理解している」
    単なる会計処理にとどまらず、数字の背景にあるビジネスモデルを理解している人が多いです。 経理+経営企画の視点を持てることがCFOへの第一歩です。
  • ② 外部対応が得意(投資家・監査法人・銀行など)
    CFOは「社外に会社を説明する」仕事でもあります。 数字を正確に話せることはもちろん、相手に信頼されるコミュニケーション力が重要です。
  • ③ 不確実性を楽しめるタイプ
    ルールやマニュアルがない中でも、自分で決めて前に進める。 そうした意思決定のスピードと胆力を持つ人が、最終的にCFOへと成長していきます。
    勿論会計基準や税法には従わなくてはいけませんが、社内ルールはありません。
    とにかくルールを遵守するイメージの経理職ですが、ベンチャー経理はルールを作る側の人間になるのです。

筆者の体験談:CFO補佐を経て見えた“経理のその先”

私自身も、最初は「経理担当」としてベンチャーに入社しました。 ところが、半年後には管理部長、1年半後にはCFO補佐として資金繰り・採用計画・IR資料作成まで担当。 大手企業では考えられないスピードで、経営に直結する仕事を経験できました。

この経験を通じて痛感したのは、「経理スキルだけではCFOになれない」ということ。
財務や戦略の視点を持つことが、経理キャリアの次のステージを切り拓く鍵です。
大手企業の経営企画に近い管理会計の視点で常に仕事をすると良いでしょう。

ベンチャー経理に向いている人・向かない人

向いている人:

  • スピード感のある環境を楽しめる人
  • 自分でルールを作るのが得意な人
  • 「経理=安定」ではなく「経理=挑戦」と考えられる人

向かない人:

  • 定型業務を着実にこなすことが得意な人
  • 上司の指示に従って動く方が安心できる人
  • リスクより安定を重視したい人

ベンチャー経理は、自由と混乱が表裏一体。 ただ、その中で自ら仕組みを作り出せる人こそ、最終的にCFOに最も近づけるタイプです。

まとめ:ベンチャー経理は“CFOへの最短ルート”

ベンチャー企業の経理職は、ルールが未整備で大変な面もありますが、 経営と数字の両方を学べる最高の環境です。

「大企業の経理で物足りなくなってきた」 「いつかCFOになりたい」 そんな方には、ベンチャー経理はキャリアの跳躍台となるはずです。