経理の仕事Q&A

希望してない経理に異動!左遷?栄転?会社の狙いは?

希望してない経理に異動!左遷?栄転?会社の狙いは?

新卒5年目。27歳メーカー勤務男性です。
新卒入社以来営業職をしていました。
このままキャリアを積んで、営業として管理職を目指すか、企画職に就くことを目指していました。
しかし、春の異動で全く希望していなかった財務経理部に異動が決まりました。
商学部や経済学部出身でもなく、簿記などの資格もありません。
経理知識がない上に、数字を見たり地道な作業をするのはタイプ的に向いていないと思います。デスクワークより動き回りたいタイプです。

営業としての同期内の成績は平均か中の上くらいと上司から面談で言われていました。問題や目立ったミスを起こしたこともないので、そこまで悪い評価ではないと自負していました。ただし、突出した成績を残したこともない平凡な社員だと思っています。

それなのに、希望していない経理に異動。正直、まったく興味がわいていません。退職(転職)すら考えてしまっています。会社の狙いは何なのでしょうか。左遷なのでしょうか。

営業所から本社への異動ということもあり、同期から(とはいえ、一人だけですが)「本社経理に異動なんて栄転だね」と言ってもらえましたが、希望もしていない経理に異動するのは栄転なのでしょうか。左遷なのでしょうか。私はこの先どのようにしたら良いのでしょうか。教えてください。
(20代男性 メーカー勤務 中村(仮名))

春は異動シーズン。希望した職種に異動する人もいれば、そうでない人も大勢いる。いや、後者のほうが多いかもしれない。
そんな中、希望していない経理に異動となる人。ましてや新卒から5年間営業を頑張ってそれなりの成績を残してきたとのことであれば、
結論から言えば「会社が期待して異動させた」ことはほぼ間違いない。
こちらの質問に回答するのは、同じように希望していない経理に異動となり、その後経理のスペシャリストとして活躍する現役経理マンの当サイトライター。
気になる質問と回答をまとめた。

希望していない経理に異動することはある?

十分にあり得えることだ。

恐らく社内には経理に異動したがっている人もいるだろう。
そのうちの多くは、「デスクワークは楽そうだから」とか「営業に疲れたから」
などだ。

もちろんそこまでダイレクトな理由を人事や上司に伝えていなくても、見破られている。
こういった人材はいくら経理異動を希望しても、中々異動できない。

その為、異動希望していなくても経理に異動となることは多々ある。

希望しない経理に異動は左遷なの?

左遷ではないことは確かだ。

経理という職種は会社のお金を取り扱う根幹部署。下手をすれば、会社の存続を揺るがすような問題になりかねない。
左遷すべき人間を本社の経理には置かない。
※ただし、営業所の経理担当などはその限りではない。

会社が信頼おける人材と見なされていることは確かだ。
質問者の中村さんは「目立ったミスはしていない」というのも評価されたのだろう。
目立ったミスをしていないというのは、新卒であれば少なからずミスはあると思うが、たとえミスをしても早期に上司に報告をして大きなミスになる前に防げたのだろう。
こういった社員は会社から信頼される。
経理も報連相は大切だ。

本社の経理異動は栄転なの?

本社イコール栄転ではない。

世間的には本社異動は栄転とのイメージは強いが、必ずしも栄転というわけではないので勘違いしてはいけない。

実際に会社の売上にダイレクトに貢献するのは本社の人間ではなく、営業だ。
本社の経理部も非常に重要な役割だが、あくまでも間接部門なのだ。

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本社異動は栄転?エリート街道に潜む意外な落とし穴ビジネスマン憧れの本社勤務。都心に立派なオフィスを構え、キラキラしたエリート達が仕事をする夢の舞台、本社。郊外の支店から本社異動内示が出た夜は「よし!栄転だー!」と祝杯をしたのを今でも覚えています。しかし、いざ本社異動になると、イメージとのギャップに苦しみました。 「こんなはずじゃなかったのに...これなら支店にいたほうが良かった。」落とし穴にハマってしまうとこうなります。...

経理の適性があると判断されたから異動?

経理適性があるから異動とは限らない。

営業から希望しない経理に異動した社員によくあるパターンは以下のようなもの。
「彼は営業としては優秀で十分に経験を積んだ。ただし、採算管理は苦手だ。将来の幹部候補として、お金を見れるようにならなくてはならない。経理で修行を積ませて管理職に昇進させよう。」

こんな狙いがあることも多い。
得意分野を伸ばすことは大切だが、上の役職に就くためには嫌でも採算管理ができなくてはならない。適性はないが、苦手分野克服の為に経理異動させるケースは往々にしてあるのだ。

ずばり、会社が期待する狙いは?

間違いなくキャリアアップだ。

将来的にどの部署で活躍するにしても経理のキャリアはプラスになる。
営業でも企画でも、経理経験は役に立つ。

会社は、全く期待されていない人間、信頼されていない人間に経理は任せない。
希望していない経理に異動はキャリアアップのチャンスだと思って間違いない。

何年で経理から他の職種に異動できる?

3年は経理にいる覚悟が必要だ。

営業職や企画職以上に専門性が高いのが経理職。どれだけ優秀でも、経理としてキャリアを積むのに値する実務経験は3年だ。

経理異動1年目は仕訳の基礎を学び、支払、売上管理などの基礎を身につける。
2年目は、キャッシュフロー、固定資産管理、税務などのよりレベルの高い経理業務。
3年目になってようやく経理マンとして1人前。ルーティン業務だけでなく、業務改善、経営への提言などができるようになる。ここまでいけば経理マンとして1人前のキャリアだ。
ただし、これは順調にいったパターンの目安と考えてもらいたい。また、会社によっても大きく異なる。

ちなみに、経理で3年実務経験があれば他社経理職として転職し年収アップも狙える。今回の希望しない経理への異動がどんなに嫌であっても3年は我慢しよう。

異動は受け入れて経理で頑張るべき?

絶対に異動を受け入れるべきだ。

20代から本社経理を経験できるのはラッキーだ。この先、営業で管理職を目指すにも企画職に異動を狙うにも経理経験は役立つ。
経理未経験で中村さんが別会社の経理に転職するのは至難の業だし、年収相場も下がる。ましてや即戦力が期待される中途採用経理はたとえ入社しても甘い世界ではない。

経理で3年実務経験を積んだのち、再度行きたい部署への異動希望を出そう。もしくは、他社へ転職しても良い。

ちなみに当記事ライターの私は、希望せず経理に異動したが天職となった。
前向きに経理に異動を受け入れたのが人生の好転チャンスとなった。
是非とも前向きに経理異動を楽しんでもらいたい。
(ライター:Matsuoka Hiroshi)