ビジネスコラム

親会社出向は地獄。仕事は親会社社員と同じなのに給与は低い…

親会社出向は地獄。仕事は親会社社員と同じなのに給与は低い...

親会社から子会社への出向は、多くの企業で当たり前に行われています。
人材育成やグループ経営の一環とされていますが、子会社から親会社への出向者の立場からすると「同じ仕事をしているのに給料は低い」という現実に直面することが少なくありません。ここでは実際の体験談風エピソードも交えながら、その実態を解説します。

同じ会議に出席しても給与は半分以下…出向の理不尽な現実

ある40代の子会社プロパー社員の男性は、親会社に出向しました。
仕事内容は以前とほとんど変わらず、むしろ人手不足の子会社では業務範囲が広がったそうです。 しかし給与は、同じを仕事をしている親会社社員の7割程度。

「同じ会議に出て、同じ資料を作っている。仕事に対するパフォーマンスも隣に座る親会社社員と同じレベルを求められる。なのに自分の給与は数百万円も低い」と語ります。

子会社プロパー社員と言えど、親会社に出向してしまえば周りから見れば「親会社の人間」。
名刺に「子会社からの出向者」と記載される訳でもなければ、親会社で仕事する際にいちいち「私は子会社の出身です」と自己紹介することもありません。
出向中はすべて「親会社の人間」として扱われ仕事を全うしなくてはなりません。
親会社の仕事のレベルは子会社社員からすると非常に責任が大きくレベルも高いものであり、苦労の連続です。

大きく違うのは、給与だけ。
仕事のモチベーションを維持していくのは難しいと言います。
「裁量の大きさ・責任は増えたのに、給与は減った」と語る親会社出向経験者もいます。
親会社という社会的な影響も大きい会社で働けることは家族や友達にも自慢のできることですが、あくまでも出向の為に給与は低い…
給与格差が頭から離れず「やりがいだけでは生活できない」と感じることもあるそうです。

なぜ親会社出向しているのに給与は上がらない?制度の仕組みを解説

給与が上がらない理由は、「仕事は親会社になるが人事制度だけは子会社のまま」という仕組みにあります。

逆に親会社に出向しているというだけで給与が大きく上がってしまえば他の子会社プロパー社員との不公平感が出てしまいます。
つまり、本人のスキルや仕事内容に関わらず、「子会社の給与水準」に強制的に合わせられてしまうのです。

出向をプラスに変えた成功事例:子会社での実績を武器に親会社で昇進

一方で、出向をキャリアに活かした成功事例も存在します。
ある30代の男性社員は、親会社で新規事業立ち上げをリードし、その実績を評価されて子会社に帰任後に昇進。

帰任後も「親会社の◯◯常務に承認を得るならこういうポイントを抑えなきゃいけない」とか「この仕事なら親会社の◯◯部の◯◯さんに聞けば良い情報持っているかもしれない。ちょっと電話してみるよ」など、親会社に出向していたからこそできる仕事ぶりを発揮できているようで子会社側でも特別な存在として重宝されているようです。

さらには帰任1年後に給与も大きくアップし、結果的にキャリアアップにつながりました。
つまり「親会社で実績を残せばその後のキャリアに跳ね返ってくる」ケースもあるのです。

どうすれば出向をキャリアに活かせるのか?

出向をプラスにするためには、次のような姿勢が重要です。
成果を数字で残し、実績を可視化する。

親会社での経験を「マネジメント力」「調整力」として整理しておき、出向先でも人脈形成を意識して働くとなお良いでしょう。

給与面では不満が残るかもしれません…
ただ、いくら不満を訴えても決まった出向は取り消せませんし、給与制度を変えるのは簡単ではありません。長期的に見て「貴重な親会社出向経験をどう自分のキャリアに繋げるか」がカギになります。