はじめまして。経理職として4年の実務経験がある35歳男性です。
コロナによる会社の業績不振で経理から営業に異動させられる内示が出ました。私は経理から異動したくないので、転職活動をしてでも経理職を続けたいです。しかし、コロナ禍での転職活動は不利になるのでしょうか。今は転職は我慢し、一度営業職としてコロナが落ち着くのを待ってから転職活動して経理職に戻ったほうが良いでしょうか。
年齢も35歳ということで転職もギリギリの年齢ということで焦っています。何かアドバイスをください。よろしくお願い致します。
一般的にはコロナ禍の転職は不利と考えるのは妥当な考えです。先行きが見えないコロナ禍の中で中途採用で新たな人材を雇用するのは企業側からすると大きなリスクを抱えることは事実です。
それでも、結論から言えば「今すぐにでも転職活動をスタートしたほうが良い」と断言します。
質問者の男性はコロナ禍で既に転職を成功させ、年収アップかつ残業削減まで成果を得ています。
当記事ではこちらの質問者の男性の転職成功についてまとめます。
Contents
質問者のプロフィールは?
まずは今回質問をいただいた森川さん(仮名)のプロフィールについてまとめます。
■転職前プロフィール
年齢:34歳
職歴:経理4年、営業8年
業界:不動産
年収:460万円
役職:なし
マネジメント経験:なし
主な業務:主計
資格:日商簿記2級、TOEICスコア600
残業:月平均30時間
コロナ禍で会社の売上は激減。それに反して店舗の家賃や人件費は掛かる為、毎月赤字。
このままでは会社が潰れてしまうので管理部門である経理から営業に配置転換を進め、少しでも売上獲得を目指したいのが会社の方針。ある意味では全うな経営指針です。
コロナ禍の転職市場は悪化する?
2020年上期の転職市場は劇的には悪化しません。
何故なら2020年上期予算はコロナ感染拡大前に作られたものだからです。
採用計画も予算に組み込まれている為、企業の採用担当者としては採用費を使い切りたいのが本音です。
このままコロナ感染が長続きすれば今後の採用費も縮小される恐れが高いので、何としても上期中に中途採用で良い人材を確保しておきたいのです。その為には年収を上乗せしてくれる可能性もあります。
上記の傾向は大企業やそれなりの資本力のある企業はに多いです。一方、資金調達がギリギリの中小企業やベンチャー企業は既にコロナの影響で採用をストップしているケースも多いでしょう。
コロナ禍の経理の転職市場は?
経理実務経験があれば転職市場は決して悲観する必要はありません。
コロナの影響で各業界の経理職が転職活動をしています。これは、スタッフレベル、マネージャーレベル共にです。
転職によって退職する人が各社増えていけば、それだけ空いたポジションへの採用も増えます。
経理の実務経験が5年あり、決算の流れを一通り理解できている森川さんであれば即戦力としてお迎えしてくれる企業は多いでしょう。
34歳という年齢も企業側が欲しがるゾーンであり、将来の管理職(経理マネージャー)候補としてのポテンシャルを買って採用してくれるでしょう。
コロナ禍は今まで以上に「即戦力」がキーワードとなるので、経理未経験者や経理実務経験1年程度での転職活動は厳しくなるでしょう。
コロナによる年収や待遇への影響は?
現時点ではそこまで悲観しなくて良いでしょう。
経理経験者であれば、転職先でも現年収をベースに査定してくれます。
現年収キープもしくは10%~15%アップの年収は実現可能です。
コロナで逼迫した状況だからこそ、社内で経理担当をイチから教育するよりも即戦力の中途採用経理担当を高年収提示してでも欲しい企業も沢山あります。
転職エージェントを通じて年収について相談してみると良いでしょう。
今はコロナが落ち着くまで転職は控えたほうが良い?
先行きが見えないコロナ収束を待つより、今から転職チャンスです。
たとえコロナが収束しても日本経済へのダメージは継続するので、収束後に転職市場が活発化するとも言い切れません。
経理の場合は、コロナが感染拡大しようがしまいがなくてはならないポジションである為、世間一般で言う転職市場とは少し毛色が変わります。
また、森川さんの場合には営業に配置転換されるとのことで、「今すぐ転職」しましょう。何故なら、営業に配置転換されてからでは直近の職歴は営業職になってしまう為、経理職としてはブランク期間になるからです。
面接官に必ず聞かれる転職理由としても「コロナによって営業職に配置転換される為、経理一筋で頑張りたい私にとっては転職せざるを得なかった」と言えば筋の通った転職理由になります。むしろ、経理職への強い想いを感じさせられますが。一方、営業職に異動してしばらくしてから転職ではこの転職理由は通用しません。「営業職がツラくて逃げだして経理に戻ってきたのではないか。またイヤなことがあったら転職するのではないか」と採用を躊躇されてしまいます。
コロナ収束後、いわゆる「アフターコロナ」に転職市場がすぐに売り手市場になるとは思えません。
3年以上待てる覚悟があるなら別ですが、そうでないなら今すぐ転職活動をスタートすべきです。
コロナ禍の転職活動の特徴は?
多くの企業でオンライン面接を取り入れています。
経理職の中途採用の流れは、書類選考→一次面接→最終面接が一般的です。
一次面接はオンライン。最終面接は対面面接という企業が多く、企業によっては最終面接さえもオンラインというケースもあります。
オンライン面接のメリットは時間調整のしやすさです。働きながらの転職活動は時間調整がネックとなりますが、オンラインであれば移動時間も不要の為に時間調整が容易になります。
また、在宅勤務を上手く活用してオンライン面接をしているケースも多いです。
そしてもう1点。選考スピードが遅い傾向があります。
書類選考から1ヵ月近くしても結果が出ないなんてこともザラ。
コロナ禍になって選考により時間をかける企業も多くなる一方、数日で結果の出る企業もあります。
一般的には中小企業・ベンチャー企業よりも大手企業のほうが選考に時間がかかります。これは、大手のほうが応募者も多い上に、どうしても社内稟議に時間がかかる為です。
こうなってくると難しくなるのは面接日程調整です。
仮に内定が出たとしても、他に希望する企業の結果がなかなか出ずに先行スピードが合わないパターンが生じます。
選考が遅い企業に事情を伝え、「他社が内定承諾待ちなので早めに結果が欲しい」旨を伝えるしかありません。
もちろん、転職エージェントを通じて応募している場合にはエージェントを通じて交渉してもらいましょう。
日商簿記や税理士などの会計資格取得してからの転職のほうが良い?
資格取得を待たずに、すぐにでも転職活動をすることをオススメします。
まず第一に資格は経理職の転職に有利に働くことは間違いありませんが、あくまでもオマケ程度です。資格がなければ仕事ができないわけではありません。
経理実務経験やスキルを補うためのものです。
とはいえ、資格取得に向けて自己啓発する姿勢は転職活動でも好印象を持ってもらえるポイントとなります。
コロナで資格試験自体が中止になっています。これは不可抗力です。
転職でこんな伝え方をすればアピールになります。
これで向上心は勿論、日商簿記1級に近い会計知識を持っている人材であると企業側は認識します。
コロナによる資格中止は考え方次第ではチャンスかもしれませんね。
今、経理職が狙うべき業界は?
やはりコロナの影響を受けにくいビジネスでしょう。
ITは今後も伸びる見通し。食品、インフラなどはコロナ禍でも「なくてはならないビジネス」の為、不況に強いと言えるでしょう。
一方で、サービス業、飲食業、ホテル、レジャーなどの業界はコロナの影響をしばらく引きずる可能性が高いです。賞与額がグンと下がる可能性があることは理解しておきましょう。
経理職の場合は業界が変わっても仕事内容は似ているので、転職して業界を変えるだけでも大幅な年収アップができる可能性があるのです!
コロナ禍でも年収交渉はオッケー?内定取消は?
過度な年収交渉でなければオッケーです。
転職面接は交渉の場。「少しでも高年収を狙いたい」と考えるのは、数字に強い経理マンなら当然のこと。
決して怯むことはありません。
しかし、自分の希望年収だけを押し付けるのはNG。企業側もコロナのダメージを受けている為、提示できる年収には限度があることを理解した上で双方が納得する年収で落ち合いましょう。
気になるのは「年収交渉することで内定取消にならない?」という点ですが、内定通知書を貰ったあとに交渉した場合は企業側は内定取消できないのが一般的です。
面接では企業側から年収の話があると思います。そこで合意した年収相場が初年度の年収になるのが常識の為、内定通知後に大きく変えるのはNGです。
たとえば、面接では年収500万円程度を希望している旨を伝え、企業からも年収500万円を提示されたとします。
内定後に年収520万円で交渉するのは余地がありますが、600万円を交渉するのは企業側からすれば「話が違う」ということになるのでNGです。
今後年収ダウン見込みの人は急いで転職を!
コロナの影響で賞与ダウンや残業代ダウンになっている人は多いと思います。
転職市場でのあなたの価値はズバリ前年度年収。前年度、たまたま会社の業績が良くてボーナスが沢山出たとか、残業が多かったとか理由は関係なく、源泉徴収票にある年収が転職市場価値です。
前年度年収を基準に企業側も年収査定をしてくれるのです。
森川さんのコロナ禍転職結果は?
応募22社、書類選考通過7社、一次選考通過2社、最終面接通過(内定)2社でした!
最終的に決めた転職先は以下のとおりです。
業界:不動産(同業他社)
職種:経理(専任職)
年収:500万円(40万アップ)
残業:月平均20時間(10時間削減)
役職:なし(管理職候補)
内定先の候補のうちのもう一社は、IT業界ベンチャーで年収520万提示をしてもらったそうですが、森川さんの場合はこれまでの経験を活かせる不動産経理として転職することを決めたそうです。
上記の条件だけを見れば、森川さんは完全に転職成功と言えるでしょう。
逆にコロナだからと言って転職をせずに過ごして30代後半になっていたら転職条件はさらに厳しくなっていたでしょう。
結論、コロナ禍でも経理経験者なら転職活動していったほうが絶対に良いです。
もし良い条件がなければ転職しなければ良いだけの話。まずは経理職専門の転職エージェントに相談してみても良いでしょう。
(ライター:Kitagawa Mai)