新型コロナウイルス感染拡大防止へ向けて資格試験の中止が相次ぐ中、2020年6月の第155回日商簿記検定も中止が決定しました。
司法試験や公認会計士試験などの難関国家資格ですら延期や中止が決定している中、日商簿記検定中止も当然かつ賢明な選択と言えるでしょう。日商簿記検定のような超メジャー資格の試験会場は当然にして「蜜」な環境となります。
気になるのは、合格率10%未満の難関資格である日商簿記検定1級について。
多くの受験正が相当な勉強時間や資格学校受講費用を費やして6月の試験に向けて努力している背景があるだけに、コロナによる受験中止は仕方ないとは言え、商工会議所のその後の対応が気になります。
「6月の試験は中止?延期ではないの?」「合格率は10%のまま?中止になった分、倍の20%にはならないの?」などネット上には日商簿記1級受験生からの悲鳴に近い声が挙がっています。
当サイトで調べてみましたので参考にしてみてください。
Contents
2020年6月日商簿記1級中止の情報は?
正式な情報は商工会議所HPをご確認ください。
リンク: https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping
2020年5月8日、商工会議所からは以下のリリースがありました。
2020年6月・7月実施 商工会議所全国統一検定試験の中止について
平素より商工会議所検定試験をご活用いただき誠にありがとうございます。
さて、6月と7月に施行予定の商工会議所全国統一検定試験(第155回簿記 検定、6月珠算能力検定(1~6級)、第86回リテールマーケティング検定)につきましては、新型コロナウイルス感染症が全国的に流行している状況にあっても、感染拡大防止に配慮しながら、当初の予定通り施行する方向で準備を進めて まいりました。
しかしながら、現時点で各検定試験施行日における感染収束の見通しが立って おらず、また、政府が全都道府県を対象に緊急事態宣言の5月31日(日)まで の延長を決定するなどの現状を踏まえ、全国統一試験の施行が極めて困難となったため、第 155 回簿記検定(6/14)、6月珠算能力検定(1~6級、6/28)、第 86 回リテールマーケティング検定(7/11)を中止とすることとなりました。
合格を目指し日夜学習に取り組まれている受験者の皆様、すでにお申込みいただいた受験者の皆様、そして受験者の学習支援に注力された指導者の皆様に対し、心より深くお詫び申しあげますとともに、何卒ご理解を賜りますよう、よろしくお願い申しあげます。
なお、8月以降の全国統一検定試験(簿記、珠算、リテールマーケティング)につきましては、施行日における感染拡大状況が見通せない状況ではありますが、現時点では予定通り施行する方向で準備を進めてまいりますことを申し添えます。
※ すでにお支払いいただいた受験料は申込先の商工会議所を通じて返金させていただきます。返金方法やスケジュールなどの詳細につきましては、後日ご連絡させていただきますので、お待ちいただきますよう、お願いいたします。 以 上
商工会所は簿記検定の他にも様々な検定試験を主催しています。当然、他の資格試験も軒並み中止になっています。
2020年8月以降の試験については実施方向のようですがコロナの状況を見ると難しいのではないでしょうか。
たとえ外出自粛が解除されたとしても通常どおりの受験生の人数を試験会場の教室に入れるわけにはいかないでしょうから、ソーシャルディスタンスを保ったイスや机の配置になることが想像できます。試験会場の確保が難しくなるでしょう。
当然、日本の経済活動の発展を担う立場である商工会議所としては主催する資格検定でクラスター発生して経済活動がストップしてしまうことなどは絶対に避けたい最悪のシナリオでしょう。
日商簿記1級の延期日程は?
残念ながら現時点では延期の可能性はなさそうです。
コロナウイルスが終息したとしても、延期での急な開催は厳しいでしょう。外出自粛解除後に再度自粛発令する可能性もありますから。また、こういった資格試験はなかなか柔軟な対応は難しいところです。
司法試験や公認会計士のように延期を検討することができない理由は、日商簿記は1級とはいえあくまで検定試験ということ。
ここに大きな違いがあります。資格取得したからといって特別何かができるような試験ではないのです。
弁護士や会計士の人数が不足してしまえば国が困ってしまいますが、簿記1級保有者が減少しても誰も困らないのです。
今のところ、日商簿記1級が延期日程を設ける可能性は極めて少ないと考えて良いでしょう。
唯一、救いがあるとすれば日商簿記検定受験者は非常に多く、中止によって涙を飲む人の多さが他資格よりも多いということ。
「中止ではなく延期してほしい」という受験生の声が商工会議所に届けば、延期もあり得るかもしれません。
商工会議所からしても簿記受験者の受験料は大きな財源となるでしょうし、中止は痛い判断でしょう。
2021年2月の試験に1級開催はあり得る?
可能性は低いでしょうが、あり得るかもしれません。
日商簿記2級・3級は年間3回開催(2月・6月・11月)がありますが、1級だけは2月開催がなく年間2回開催です。
これには、合格者数の調整を行い日商簿記1級を難関資格としてのブランドイメージを保つ意味合いも考えられます。
現時点では2021年2月への振替開催予定のリリースはありませんが、今回のように不足の事態で開催数が減ったケースであれば振替開催も考えられないわけではありません。
考えたくはないですが、もし仮にこのままコロナウイルスの感染拡大が収まらず2020年11月の日商簿記1級試験も中止となった場合にはさすがに振替は可能性が高まるでしょう。
合格率調整の可能性は?
次回開催(現段階では2020年11月)の日商簿記1級は合格率が高まると予測できます。
これは、単純に2倍の合格率になって20%前後の合格率になるわけではありません。
6月の開催が中止になったことで、本来6月に合格見込みだったレベルの受験者が次回の検定に流れ込みます。
つまり、11月試験では本来の合格レベル(全受験者の上位10%レベル)の受験生が増えるはずです。
第155回の6月検定が延期になったことのお情けで次回検定の合格者が倍増するわけではなく、本来合格すべきレベルの受験生を合格認定する為に合格率が引き上げられると考えられます。
これは、合格率調整ではなく本来の「70点以上」の受験生が合格するという考え方です。
採点基準は定かでなくとも、8割以上正答している受験生を不合格にするわけにはいきません。そんなことをすれば、過去の受験生との不公平感が高まります。
あくまで私見ですが、11月の日商簿記1級試験の合格率は15%程度になると予想します。
次回開催の簿記1級の難易度は上がる?下がる?
試験問題自体のレベルは変わりませんが、合格への難易度は高まるでしょう。
ご存知のとおり、日商簿記1級は相対評価の試験です。70点以上で合格とはいえ、調整が入ります。
6月の受験生が次回に流れ込む為、上位レベルの得点は高くなるでしょう。
確実に合格する為には過去問は確実に合格できるレベルでないといけません。
少なくとも、通常の簿記1級以上に苦戦することが予測できます。しっかりと準備しましょう。
就活や転職に向けて簿記1級を受験しようとしていた人は?
2020年6月試験受験予定だったが、コロナで中止になったと履歴書・職務経歴書に書きましょう。
今回のコロナウイルスによる検定中止は不測の事態です。
就職先・転職先企業も検定中止によって合格できなかったという言い訳はある程度通用します。
履歴書や職務経歴書には「日商簿記検定1級受験予定(2020年6月試験はコロナウイルス感染拡大防止により中止)のように書きましょう。そして、面接ではこんな風にしゃべると良いでしょう。
日商簿記1級に向けて具体的に行動(資格学校通学等)し、合格は現実的なラインだったが不測の事態で受験できなかったとなれば合格同等の票かとまではいかなくても、近い評価を得られるでしょう。日商簿記1級レベルの難関資格は受験中であっても就職や転職で高評価を得ることが出来ます。
ただし、第三者である企業の面接官から見て合格レベルと判断されなくてはマイナス評価です。
たとえば、日商簿記3級しかもっていないのに「日商簿記1級受験中」と言っても合格可能性は見込めないでしょうし、「独学で勉強して自己採点で70点取りました」では信憑性が薄いです。
今、簿記1級受験生がすべき行動は?
次回開催の検定に向けて勉強を進めることです。
いくら日商簿記1級は難関資格とはいえ、努力すれば絶対に合格できる試験です。
外出自粛や働き方改革によって多くの受験生が勉強時間を確保しやすい状況にあります。
その反面、検定中止になってモチベーションを失って勉強がストップしてします人や、資格学校の生講義ができなくなってしまったことで勉強しなくなってダラダラ過ごしてしまう人もいます。
この期間だからこそ、次の日商簿記1級受験に向けて自宅学習を進められる人が合格するでしょう。
過去問、DVD講義、独学勉強などでも十分に合格レベルまで達することはできるはずです。今できることを徹底的にやりましょう。
6月の日商簿記1級中止は残念なニュースではありますが、ピンチをチャンスに変えて頑張りましょう。
日商簿記1級は一生の宝物になるしかくになることは間違いありません。
※当記事の情報は掲載時点のものです。変更がある可能性もございますのでご了承ください。
(ライター:Nakanishi Hajime)