経理コラム

経理職が副業したらこうなった。確定申告、こうすればバレない?

経理職が副業したらこうなった。確定申告、こうすればバレない?

はじめに:経理職の副業はなぜ話題になるのか?

経理職というと、「安定」「堅実」「コンプライアンス重視」という印象が強い職種です。毎月の経費精算や伝票処理、決算業務などをこなす姿から、「真面目で慎重な人」というイメージを持たれることが多いでしょう。 しかし最近では、会社の**副業解禁**や働き方の多様化を背景に、経理職でもライター、Webデザイナー、FP相談業務、ネットショップ運営など、多種多様な副業に挑戦する人が増えています。
一方で、「経理職が副業?」という響きは、社内外で妙に注目を集めるものです。理由はシンプルで、経理はお金の扱いに詳しい=確定申告もバッチリやっているはずという暗黙の期待があるから。
そして副業をする人の最大の悩みが、会社にバレるリスクです。このバレる原因の多くは、実は確定申告後の住民税にあります。
この記事では、私自身が経理職として副業を行い、確定申告をしてきた経験から、バレないための実務ポイントや落とし穴をかなり具体的にお伝えします。

経理職が副業を始めるメリットとデメリット

経理職が副業をするとき、まず押さえておきたいのはメリットとデメリットのバランスです。 安易に「収入が増えるからやろう」と始めると、予想外のトラブルに巻き込まれかねません。

経理職が副業を始めるメリット

  • 会計・税務知識を副業に直結できる
     例えばライター業をしても、税務や経理分野の記事は高単価になりやすく、本業の知識をそのまま価値化できます。
  • 収入源の多角化による安心感
     本業だけでは不安定な時代、副業があれば突発的な支出やリストラリスクに備えられます。
  • スキルの市場価値が上がる
     副業で身につけたスキル(マーケティング、営業力、SNS運用など)が本業にプラスになることも多いです。

経理職が副業を始めるデメリット

  • 就業規則で禁止されている可能性
     違反すると懲戒処分や評価への悪影響の可能性があります。
  • 時間と体力の消耗
     本業が繁忙期(決算期など)に入ると、副業を回す余裕がなくなり、両方に悪影響が出ます。
  • 確定申告での副業バレリスク

 住民税や支払調書など、経理ならではの落とし穴があります。

経理職は普段から会社のお金を扱っているため、副業に関しても「この人ならルールもきちんと守るはず」と見られがちです。その期待を裏切らないためにも、慎重な判断が必要です。

会社にバレる最大の理由は「住民税」

副業バレの最大の原因は、**住民税の額が跳ね上がること**です。 会社は毎年6月頃、従業員の住民税額を市区町村から通知され、その額に基づき給与から天引きします。
例えば、本業の年収が400万円、副業で年間50万円の所得(売上から経費を引いた後の金額)があった場合、住民税はおおむね5万円前後増えます。
経理担当者は数字に敏感ですから、総務や経理部に住民税のデータが届いた時点で「あれ、この人去年よりかなり増えてるな」と気づく可能性が高いのです。

さらに、副業先が給与支払いをしている場合は源泉徴収票が発行され、市区町村にデータが送られます。これも本業の住民税計算に反映されるため、ほぼ確実に会社に知られます。
つまり、住民税対策を怠ると、確定申告をしていなくてもバレることがあるのです。

確定申告でバレないための方法

副業が就業規則で禁止されていない場合でも、プライバシー保護のために会社に知られたくない人は多いでしょう。ここでは、確定申告時に取るべき具体的な手順を解説します。

ポイント1:住民税を「普通徴収」にする

確定申告書第二表の「給与所得以外の住民税の徴収方法」に普通徴収を選択します。

これにより、副業分の住民税は会社経由ではなく、自宅に納付書が届き、自分で支払えます。

ポイント2:経費をしっかり計上して所得を圧縮

副業収入から差し引ける経費(通信費、家賃の一部、光熱費、資料代など)をきちんと計上することで、課税所得を減らします。

経理職だからこそ、領収書や請求書を整理するのはお手のものです。

ポイント3:副業専用の管理体制を作る

本業の会計ソフトや帳票を使うと社内の誰かに見られた時に不自然です。

副業用はExcelやクラウド会計(freee、マネーフォワードなど)を別途契約し、完全に分けましょう。

これらを実行すれば、住民税経由でのバレるリスクは大幅に下げられます。

経理職だからこそ注意すべき落とし穴

経理職は税務や帳簿管理に慣れているため、「このくらいの収入なら問題ない」と油断しがちです。ですが、実際には税務署や副業先の動きが会社に情報を流すケースがあります。

典型的な副業落とし穴

・副業先が発行する支払調書(報酬の支払先と金額を税務署に報告する書類)

・報酬が源泉徴収されている場合、その情報が税務署経由で市区町村に渡り、住民税計算に反映される

・事業所得の赤字を本業の所得から差し引く「損益通算」を多用しすぎると税務署に目をつけられやすい

経理職であっても、「絶対にバレない」方法は存在しないと理解し、バレても問題ない副業内容にすることも一つの選択肢です。

私の副業経験と確定申告のリアル

私は経理職として働きながら、フリーライターとして副業を始めました。初年度は月3〜5万円程度の収入で、確定申告は手計算でやってみました。 住民税は必ず普通徴収にし、経費は通信費、資料代、カフェでの打ち合わせ費用を計上。帳簿はExcelで月別に整理し、領収書はスキャンしてクラウド保存。
結果、3年間会社にバレることなく副業を継続できましたが、その間も副業禁止の社内ルール改定や税務署からの問い合わせがないか常に神経を張っていました。
この経験から、副業はお金の計算だけでなく情報管理の戦いでもあると痛感しました。

【まとめ】経理職の副業は計画と管理が命

経理職の副業は、知識を活かせて収入も増やせる魅力がありますが、会社への影響リスクも常につきまといます。 特に確定申告と住民税の扱いを正しく理解し、帳簿や証拠書類をしっかり管理すれば、バレるリスクは最小限に抑えられます。 ただし、「100%バレない」ことは保証できません。副業を始める前に、規則と自分のリスク許容度を見極めることが重要です。