ビジネスコラム

【体験談】子会社プロパー社員が親会社に転籍できる可能性はある?

【体験談】子会社プロパー社員が親会社に転籍できる可能性はある?

子会社プロパー社員にとって、「親会社に転籍してキャリアアップできるのか?」は気になるテーマです。
そもそも子会社は親会社の経営支配下にあり、経営方針や人事の多くは親会社の意向で決まります。
そのため、役員や管理職のポジションには親会社からの出向者が多く、子会社プロパー社員は「上が詰まっている」と感じることも少なくありません。
また、親会社の知名度・社会的信頼性・年収・仕事規模の大きさなども魅力的に見えます。

では、子会社プロパー社員が親会社に転籍するケースは実際にあるのでしょうか?
子会社と親会社の関係性を理解することが出発点です。

子会社プロパーが親会社へ転籍するケースはかなり稀

結論から言うと、子会社から親会社へ転籍できるケースはかなり少ないのが現実です。
理由は大きく以下のとおりです。

  • 親会社は「出向による管理」を基本とし、子会社から人材を引き抜く仕組みを持っていない
  • 親会社の新卒採用・中途採用枠が明確に分かれており、子会社からの転籍ルートは設計されていない
  • 給与テーブルや人事制度が異なるため、統合は難しい

特に大手企業では、親会社のポジションは新卒採用組や中途採用枠で埋まるため、子会社からの転籍は「制度上存在しない」といえるケースが多いです。

例外的に転籍が実現するパターン

とはいえ、完全にゼロではありません。例外的に転籍が実現するパターンもあります。

・M&Aで親会社に統合され、人事制度が一本化されたケース
・親会社の新規事業に引き抜かれたケース
・グループ全体で優秀人材を登用する制度を持つ企業グループ

特にベンチャー企業を買収した場合や、グループ内で横断的な人事制度を持つ外資系企業では、転籍やグループ内異動が比較的柔軟に行われることがあります。

親会社と子会社の年収・待遇の差が壁になる

転籍が難しい大きな理由のひとつが、年収・待遇の格差です。
多くの場合、親会社の給与テーブルは高く、子会社プロパーの給与水準は抑えられています。
仮に転籍が実現しても、給与の逆転現象や人事制度の不整合が生じるため、企業側も消極的になる傾向があります。

また、年功序列の色が濃い大手親会社では、「プロパー社員より出向組の方が早く昇進する」という構造も強く残っています。

転籍を狙うなら「グループ内公募制度」に注目

もし親会社でキャリアを積みたいと考えるなら、グループ内公募制度やキャリアチャレンジ制度を活用するのが現実的です。
近年は「人材の最適配置」を目的に、親会社・子会社をまたいだ公募制度を持つ企業も増えています。

  • ホールディングス型のグループ企業
  • 外資系やベンチャーを傘下に持つ企業
  • DX推進などで専門性のある若手・中堅の登用を急ぐ企業

こうした企業では、スキルや経験が評価されれば子会社プロパー社員から親会社へのキャリアシフトも不可能ではありません。

親会社を目指すなら転職市場を活用するのも手

もしどうしても親会社で働きたいなら、転職活動を通じて直接応募するルートが最も現実的です。
子会社での経験(経理・経営企画・人事など)は親会社でも評価されるため、中途採用枠でチャレンジする方が可能性は高いです。

  • 転籍:制度や人事の壁が大きい
  • 転職:スキル次第で門戸が無限に開かれている

この違いを理解してキャリア戦略を立てることが重要です。
実際に子会社プロパー社員が親会社へ出向し帰任したのちに、親会社に転職したケースもあります。親会社としても全く知らない会社の社員を中途採用するよりも自社に出向して働いた経験がある人材のほうがミスマッチも少なく、採用ハードルが下がります。

子会社から親会社に転籍しやすい部署・職種・キャリアは?

一般的に、親会社が重視するのは「グループ全体で必要とされるスキル」を持っている人材です。

・経営企画や経理財務、人事といった本社機能に近い部署の社員
・親会社の新規事業や研究部門と接点があり、即戦力として期待できる専門スキルを持つ社員
・まだ若手で、親会社での教育を受け直しても十分にリターンが見込める人材

【体験談】子会社から親会社に転籍できた!キャリアアップ成功例

Cさんは、子会社で経営企画を担当していました。
グループ全体の予算調整や、親会社の経営陣に対する定期的な報告を行っていたことから、自然と親会社役員の目に留まりました。 あるとき、親会社の新規事業部門で人材が不足していたことをきっかけに、正式に転籍が決定。

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さらに、親会社ならではの大規模プロジェクトに携われるようになり、キャリアの幅も大きく広がりました。
Cさんは「グループ内での人脈づくりと、親会社との接点を持ち続けたことが転籍成功につながった」と語ります。

【体験談】親会社への転籍を希望したが叶わなかったケース

一方で、Dさんは希望が叶わなかった例です。
子会社で10年以上、営業部門のマネージャーを務めており、業績も優秀。
「この実績なら親会社でも通用するはず」と転籍を打診しましたが、結果はNG。

理由は「親会社に営業部門はあるが、子会社とやり方が違いすぎる」「即戦力としてのイメージが湧かない」ことでした。
Dさんは「転籍を目指すならもっと早い段階で親会社と関わる部署に移るべきだった」と振り返っています。

まとめ|子会社から親会社への転籍は「レアケース」。転職活動で可能性を広げよう

子会社プロパー社員が親会社に転籍できる可能性は、制度上かなり限定的です。
例外はあるものの、年収格差や人事制度の違いが大きな壁となっています。

現実的な選択肢としては、以下の方法があります。

  • グループ内公募制度を探す
  • 転職市場を活用して親会社に直接応募する

キャリアを広げたいなら「転籍」にこだわらず、「転職」という選択肢も視野に入れることが、将来的な年収アップ・ポジション獲得につながるでしょう。