BATICコラム

30代でも遅くない!経理転職・昇進に本当に役立つ注目資格4選

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終身雇用制が崩壊し、もはや転職に年齢も関係なくなりました。30代や40代でも転職は当たり前となりました。
会社に依存せず、チャンスがあれば他の企業でも活躍することができる「転職力」が求められる時代です。これは、転職しやすい経理職なら尚更のこと。

転職力を高める為には、まずは自分自身の価値を高めることが重要です。
今の会社でしか通用しないスキルは重要ではなく、他の会社から見ても魅力的に見えるスキルこそが重要なのです。
わかりやすく例に取ると、「自社サービス知識に関する社内テストで全社一位に輝いた」ことは他社からすれば不要な知識どころか凝り固まった考えが身についてしまっていると敬遠される可能性すらあります。

では、転職力とは何なのか。その答えのひとつは間違いなく資格取得です。資格は第三者から見ても公平な評価を得ることができる強みになります。
経理職においては実務経験と資格取得相乗効果で転職力が高まります。これはどちらかが不足してもいけません。たとえば、経理実務未経験なのに税理士資格を持っていても単なる「頭でっかち」と評価されむしろマイナス評価にもなり得るでしょうし、経理経験が10年以上あるのに履歴書には日商簿記3級の資格しかなければ「勉強不足」もしくは「向上心のない人」と見なされるので書かない方がマシと言ったところでしょう。

当記事では転職力を高める為に、30代からでも取得したい注目資格を特集します。ライターは現役キャリアアドバイザーと各取得資格済の現役経理マンライターが担当します。

日商簿記検定1級

経理職の共通ルール、簿記検定の最高峰である日商簿記検定1級は経理キャリアを積んだ30代以降だからこそ取得することで転職力が高まります。
もし経理や財務などの会計職として一生勤め上げたいという気持ちがあるなら、日商簿記1級は取得しましょう。会社経営において最も重要な財務に関するエキスパートとして活躍できます。

その知名度の高さ故、「一生モノの人に誇れる資格」となります。
経理職でなくとも、簿記を知らない人はまずいないでしょう。簿記1級は合格率わずか10%程度の難関資格とは言え、資格学校で1〜2年しっかりと勉強すれば合格できる資格です。
長い人生において1〜2年など大した時間ではありません。30代で経理経験があれば実務との相乗効果でスムーズに勉強が進みます。30代から他社の経理転職で年収アップしたい人は勿論、社内で評価を上げて昇進を目指したい人にも絶対にオススメです。

もし仮にあなたが日商簿記2級レベルで満足していたら、大学生レベルです。
意識の高い大学生なら就活に備えて簿記2級くらい取っています。
来年入社する空気の読めないイマドキの新入社員に「簿記2級なら僕も持ってますよ!同じですね!」と言われてしまっても反論はできませんよね。事実ですから。

合格者からは「大変だったけど勉強して良かった」という声が多いのが日商簿記1級です。まずは、難関資格だからと逃げずにチャレンジできるかも重要です。簿記検定には日商簿記の他に全商、全経がありますが社会人として評価が圧倒的に高いのは日商簿記です。難易度が低いからという理由で全商や全経に逃げてはいけません。

日商簿記1級合格者の声

簿記1級は世間が思うより簡単です。簿記2級とのレベル差が高い故に難関資格と認知されていますが、それは簿記2級が学生や経理志望者など実務経験がない人が多く合格できる試験だからです。
経理実務経験のある30代なら真剣に勉強すれば十分合格できる資格です。合格後は家族や友人からも「簿記1級合格なんてすごい!」と褒められました。これまでの人生何も誇れるものがなかった私にとって大きな自信になりました。

税理士科目(簿記論)

難関資格の税理士は、全科目ではなくとも科目合格だけでも素晴らしい評価を貰えます。
税理士として独立開業するのであれば税理士資格が必須となりますが、経理職として転職するのであれば科目合格でも十分です。税理士資格まで持っているに越したことはありませんが、企業側からすれば「独立して辞めてしまうのではないか?」と過剰に心配され敬遠されてしまうケースもあります。

税理士科目合格した時点で転職活動して大企業経理で高年収を狙い、コッソリ税理士勉強を進めて少しずつ合格して税理士を目指す手もあります。
税理士になるまでアルバイト生活をしていれば低収入が続きます。30代経理経験あり・税理士科目合格であれば大企業への転職も可能で高年収をもらいながら税理士の勉強ができるので余裕が生まれます。実際に税理士合格達成できれば独立開業をするプランがオススメです。

経理畑から独立するのは難しいですが、税理士資格があれば夢の独立開業は可能です。
まずは簿記論だけでも取得し、独立へのモチベーションを高めておきましょう。

税理士簿記論合格者の声

日商簿記1級取得ができたらそのままの勢いで簿記論を目指すのがオススメです。税理士試験といえば、学生の頃から勉強していないと合格できないイメージがあると思いますが、社会人で経理部門で働きながら少しずつ勉強できます。
私は簿記論取得したことで転職が有利になり年収アップに成功しました。今は結婚して子どももいますが、少しずつ勉強して科目合格を増やしています。最終的に税理士合格できれば独立も考えています。

BATIC subject2廃止による資格価値の将来性は?
【30代男性】経理経験者転職の年収相場は?Q:経理職をしている者です。今の会社ではなかなか昇給チャンスがなく、将来の為に転職を検討しています。転職するにあたり年収アップができるなら頑張りたいのですが、今の年収が高いのか低いのかわかりません。経理経験者の年収相場について教えてください。...

BATIC(国際会計検定)

まだまだマイナー資格ですが、BATICは国際会計基準IFRSの検定です。試験問題は全て英語で出題される言わば英語版簿記検定です。
30代になり、「若いうちから英語を勉強しておけば良かった」と後悔している人にオススメの会計資格です。
BATICでハイスコア取得するには英語力は必要ですが、全く英語が苦手という人でも理解できるレベルです。その理由は、会計英語に限定されているので過去問を繰り返していけば自然と身につくからです。

某大手資格学校のBATICガイダンスでも、BATICを英語力不足でつまずく人はいないと聞きました。
勉強をスタートした時点で英語力は心配しなくても大丈夫です。

国際化社会を生き抜く為に必要なのは英語力です。経理以外の他職種であればTOEICの勉強がマストですが、経理職ならBATICです。
経理職ならではの英語力アピールができます。英語力は転職において必ず問われるポイントです。BATICの勉強さえしておけば、経理としては十分でしょう。30代からでも十分間に合います。
特に大企業や外資系企業といった高年収を狙える経理職には英語力と会計力の両面が必須となります。BATICは高年収を狙うパスポートとなります。

BATIC(コントローラー)合格者の声

私自身英語が大の苦手でしたが、約1年で最上位ランクのコントローラーに合格できました。
出題論点が類似しているので勉強時間に比例して確実に得点力が付くので挫折しにくいです。
責任ある仕事や家庭持ちなどで勉強時間に制約のある30代社会人でも取得できる資格です。

中小企業診断士

さいごに紹介するのは経営コンサルティングの国家資格である中小企業診断士です。
まさにビジネス経験を積んだ30代以降だからこそ取得したい資格です。
前述の資格と比較すると会計と掛け離れているように思えますが、経営コンサルティングにおいて財務会計の役割は非常に大きなものであり、経理職として財務諸表を分析し経営課題を提言できるキャリアアップ資格となります。

財務会計のみでなく、法務、労務、経営学、経済学、システム、運営管理など様々な視点から経営を学べるゼネラリスト資格です。出題範囲が幅広いことから難関資格として認知されていますが、実は一科目ごとの難易度はそれ程高いものではなく、受験者から特に難関科目として知られる「財務会計」は経理職にとっては決して難しいものではありません。日商簿記1級や税理士科目と比較すれば足元にも及ばない程のレベルです。

中小企業診断士の財務会計は一次試験では日商簿記2級の商業簿記レベルです。さらに難関の二次試験でも財務会計における比重が大きく、経理職に有利な試験です。

中には意識の高い10代や20代で中小企業診断士の資格取得をする人もいますが、受験者の多くは30代以降であり50代・60代の社長、役員クラスの受験者も多いです。むしろ中小企業診断士は「30代でも遅くない」どころか、30代からスタートすれば十分早いスタートと言えます。
中小企業診断士を取得すれば管理職への昇進が視野に入ります。経理のエキスパートというよりはマネジメントに向いている資格です。また、経理から経営企画へ異動や転職をしたい人にも中小企業診断士はオススメです。

中小企業診断士合格者の声

中小企業診断士合格を経て改めて実感したことは、「会社経営において最重要なのは財務会計」ということ。
つまり、経理職が会社経営を支えているということです。

【まとめ】何を優先したいかで受験資格を決めよう。

経理職として一生食べていきたいと考えている時点で、「簡単だから」という視点で会計資格を選ぶのは後悔するのでオススメしません。
理由としては、当記事で紹介している資格はそれぞれ難関資格とはいえ、本気で勉強すればたかが1〜3年で合格できるレベルなので残りの経理マン人生への投資としてはそれほど大きなものではないからです。大きなリターンを得る為にはそれなりの投資は必要です。
その中でも何の資格を取得したいかは自分自身が優先したい価値観によって決めましょう。

・人に誇れる資格が欲しい→日商簿記1級
・独立開業したい→税理士
・外資系企業経理に転職したい→BATIC
・昇進やマネジメントをしたい→中小企業診断士

人生について、仕事について大きな差がつくターニングポイントとなる30代。資格勉強をしておいて絶対に損はありません。
「学生の頃にもっと勉強しておけば良かった…」と後悔している暇があるなら今勉強をスタートしましょう。5年後、10年後になってから後悔しない為にも資格を通じてキャリアデザインを見直しましょう。
(ライター:Nakanishi Hajime)