経理コラム

アフターコロナに経理は変わる!テレワーク、転職、資格取得

アフターコロナに経理は変わる!テレワーク、転職、資格取得

コロナウイルスによる真の影響は、コロナ終息後の「アフターコロナ」に起こります。経済活動がリスタートしたとき、これまでと同じような働き方や生き方をしていては時代に取り残されます。

当記事は経理職に限定した視点で執筆します。多くの企業が年度決算真っ只中の時期にコロナウイルス感染が急速化し、激務の中での決算業務を余儀なくなれました。急なテレワーク対応・営業停止による返金対応・予算の組み直し・運転資金確保の為の借入計画見直しなど、大きな変化がありましたが、本当の勝負はこれからです。
アフターコロナに経理の仕事はどう変わるのか。現役経理職の意見を反映して書き綴ります。

アフターコロナも経理のテレワークは当然に。

コロナウイルス感染拡大によってテレワーク導入は経理にとって働き方改革のチャンス到来となりました。

外出自粛要請により、急遽はじめてのテレワークを経験した経理職も多いはずです。慣れ親しんだやり方から離れ、自宅での経理業務。「紙の資料がないと仕事が進まない」とか「会計システムが思うように作動しない」なんて声もよく聞こえます。
しかし、何をするにも最初はそんなもの。慣れてしまえばテレワークは経理社員・企業側双方にメリットが多いのです。

経理社員のテレワークメリット

・通勤時間短縮
・満員電車回避
・職場ストレス軽減
・業務に集中しやすくなる
・ライフスタイルに合わせて出社できる

企業側からしてもテレワークが増えればオフィスの面積を縮小し、賃料、光熱費、通信費、通勤費などを抑えることができます。
「機密事項を扱う経理がテレワークなんて絶対に無理だ」と頑なにテレワーク拒否していた企業も、コロナで仕方なく導入したことでメリットを感じることが出来た企業は間違いなくアフターコロナも経理のテレワークを推進していくでしょう。

本来、経理職はテレワーク導入しやすい職種

内勤事務職の経理はテレワークが導入しやすいはずの職種です。クライアントと接することもなく、ひとりで出来る作業も多いのにも関わらずテレワーク化が進まないのは下記の理由が考えられます。

・お金に関する機密事項漏洩防止
・紙媒体での業務処理
・承認権限者の捺印が必須
・銀行への外出
・郵便物処理
・チームでの業務進捗管理が困難

これらの問題が経理のテレワーク化を阻止しているのです。逆に言えばこれらの問題が解決すれば経理のテレワークは一気に普及すると推測できます。

ペーパー問題、捺印問題は?

ペーパーレスを国が推進していかなければ大きな変化はなさそうです。

一部企業ではペーパーレス化、電子化されていますが、多くの企業では紙の会計資料保管となっています。
会計システムで電子上で行った処理をわざわざ紙に出力して処理しているのです。

捺印も完全電子化すべきです。
しかし、重要な資料ほど捺印があることが要求される古くからの日本の体質が邪魔をしているのです。ましてや、コロナウイルスのように外出自粛が出ている状況下で捺印を貰う為だけに出社するなんて馬鹿げた話です。
テレワーク導入と共に電子化を進めなければ非効率なだけのテレワークになってしまいます。

問題視されるテレワークサボり。経理は?

成果物が明確な経理はサボりにくいはずです。

裁量労働制とし、成果物のスピードや質によって評価していく仕組みにしていくことが経理のテレワークには望ましいでしょう。
むしろ問題はサボりよりも、自主的にサービス残業していく経理職員が出てしまう可能性があります。
パソコンの起動時間をチェックするなど、長時間労働にならないような監視体制をつくることが急務です。

子どもがいる家庭の経理マンはかえってテレワークしにくい

騒がしい環境で経理業務を行うことはミスに繋がりやすいです。

特に経理業務のミスはお金に関するミスとなるので許されることではありません。当然、「テレワークで子どもが邪魔してきたから支払金額を間違えた」では済まされません。
その反面では、仕事とはいえ家にいるのであれば育児放棄する訳にもいかないのです。テレワークを好まず、会社に出社したいと願う人が出るのも事実です。

間違いなく経理職の転職活動は活発化する。

コロナの影響で売上がゼロになり、今後も回復見込みが厳しい業界が存在します。

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キャバレー、ナイトクラブ、ダンスホール、バー、個室付浴場業に係る公衆浴場、ヌードスタジオ、のぞき劇場、ストリップ劇場、個室ビデオ店、ネットカフェ、漫画喫茶、カラオケボックス、射的場、競馬投票券発売所、場外車券売場、ライブハウス、大学、専修学校、各種学校などの教育施設、自動車教習所、学習塾、体育館、水泳場、ボーリング場、スポーツクラブなどの運動施設、又はマージャン店、パチンコ店、ゲームセンター、劇場、観覧場、映画館又は演芸場、集会場、公会堂、展示場、博物館、美術館又は図書館、ホテル又は旅館、生活必需物資の小売関係等以外の店舗、生活必需サービス以外のサービス業を営む店舗
※記事掲載時点の東京都の情報です。

これらの業界はアフターコロナも厳しい経営状況になる恐れもあります。昇給やボーナスも期待できないでしょう。
会員制スポーツクラブなどは辞めてしまった会員は戻ってくるのでしょうか…
反面、ITやEC(通信販売)などはコロナの悪影響どころか売上アップで今後も伸びが期待されます。

経理職にとって経理の仕事は他社でもできます。アフターコロナ後に景気が良い業界に転職したいと考えるのは当然のことです。会社の数字を見続けている経理マンならいち早く自社の状況と未来がわかります。
賢い経理マンは転職に向けた準備をすることでしょう。

中途採用面接はオンラインで

コロナウイルス感染拡大を機に、ZOOMなどでオンライン面接を行っています。

これは一時的対処ではなく、アフターコロナも有効な採用手段です。
特に経理職は平日の日中は仕事で転職面接の時間確保が難しかったところをオンライン面接であれば土日や平日夕方以降でも気軽に行うことができます。それこそ、テレワークの休憩時間中に面接も可能です。
優秀な経理人材を確保する為にはオンライン面接は有効です。

地方から優秀な経理マンの採用も

テレワーク主体の企業なら本社の遠方に住んでいても仕事ができます。

東京都心に本社があれば、せいぜい通勤時間1時間半以内の人材しか確保することができませんが、テレワーク主体なら固定概念を取り払った採用ができます。
そもそも、経理部門がある本社自体も郊外に移転する可能性もあります。テレワークが主体となる世の中において、高額な賃料を払い続ける意味はありません。

テレワークができない経理は人材確保困難に

アフターコロナの中途採用の求人票にはテレワーク可否が明記されるでしょう。

優秀な経理マンも必要に応じてテレワークができることを望むでしょう。テレワーク可否で転職先を決めるはずです。
テレワーク不可能な会社は、企業としての信頼度が下がります。働き方の自由度が低い、ITシステムに弱い、社員を大切にしていないなどマイナス評価を受けることでしょう。

あらゆる経理業務がオンライン化

アフターコロナはオンライン化が急速に進みます。
経理の仕事でオンライン化されることが期待されるのは以下のとおりです。

銀行支払はネットバンクで

経理部員が銀行窓口に行く必要性はありません。
私自身、コロナウイルス外出自粛期間に仕事で都心部のメガバンクの窓口に行きました。これまではスーツを着た経理担当者、現金扱いのある店舗ビジネスの制服を着た社員などが多く並んで激込みだった銀行も嘘のように空いていました。

ミーティングもオンライン化

顔を見て話すことで生まれるものは多い為、ミーティングは必要とされていました。
経理職のミーティングや打合せは大半が社内であり、クライアントとの打合せは少ないはずです。アフターコロナのミーティングはオンラインで最短時間で行うことがメインになります。
このタイミングでミーティングの在り方が問われます。本当に必要なのか?長時間なミーティングになっていないか?考え直すこととなります。

残業時間削減、有給取得が積極的に!

経理でも本当の意味で働き方改革が始まります。

特にテレワークでは残業管理がしにくい為、基本的には残業なしの方向で仕事の割振りが決まることでしょう。
これまで残業過多になりがちだった経理職も、ワークライフバランスの取れた職種に改善される可能性は十分にあります。

経理関連の資格取得が活発に!

残業削減で時間ができれば、今度は空いた時間で資格取得の勉強をしようとする人が増えます。

余暇時間の使い道は自由ですが、中でも意識の高い経理マンはアフターコロナに向けて資格勉強などを行うことが考えられます。
日商簿記1級や税理士など、コロナウイルス感染拡大前には時間確保ができずに躊躇していた資格取得に向けて行動するでしょう。
外出自粛期間にだらだら過ごすのか、資格勉強などキャリアアップに向けた行動を取るのかで差がつきます。

経理で中小企業診断士を取れば役立つ?昇進や評価される?
経理で中小企業診断士を取れば役立つ?昇進や評価される?私はメーカー経理部門で係長をしています。経理職歴は13年になります。この度キャリアアップを目指して資格取得を考えております。日商簿記2級は合格済で、次の資格として日商簿記1級と中小企業診断士で悩んでいます。難関資格取得ができれば昇進や転職で年収アップしたいと考えています。経理で中小企業診断士は役立ちますか?...

アフターコロナに生き残る経理マンは?

コロナウイルス感染拡大によって経理の今後も大きく変わります。
アフターコロナでも生き残る経理マンは以下の様なタイプです。

システムに強い経理マン

テレワーク導入により、よりシステム化が進みます。
オフィスに出社せず、リモートでもこれまでどおりの業務をこなすにはあらゆるシステムを使いこなさなくてはなりません。
コロナウイルスにより衰退した事業の多くは、IT化ができない事業です。アフターコロナはITへの関心がより高まることとなり、経理も例外ではありません。

変化に対応できる経理マン

アフターコロナはオンライン化、働き方改革、テレワークが急速に進みます。
固定概念にとらわれず、新しい経理業務のやり方に順応しながら業務改善を提案できる経理マンは生き残れます。

タイムマネジメントができる経理マン

アフターコロナは残業削減や有給取得意識がより高まります。

「やらなきゃいけないから」という正義感だけで深夜残業、休日出勤を繰り返す経理マンは評価されません。
いかに効率的に働き、早く帰れるかが評価ポイントとなります。本当に仕事のできる経理マンはタイムマネジメントを徹底的に行い、残業時間削減によって会社のコスト削減に貢献します。

【さいごに】アフターコロナに備えて経理マンがすべきこと。

様々なアフターコロナ経理の世界を想定して書き綴りましたが、アフターコロナに向けて経理マンが今すべき行動は何でしょうか。

・テレワーク体制づくり
・ペーパーレス化促進
・業務の棚卸し
・転職に向けた資格取得

経理部門全体ではなく、個人として何ができるかを考えていく必要があります。会社に依存していてはいけません。
アフターコロナで生き残れる経理マンになる為に、今はキャリアデザインを見直す良い時期だということを念頭に置いて行動しましょう。
(ライター:Nakanishi Hajime)