中小企業診断士コラム

中小企業診断士と1級販売士のダブルライセンスで独立という選択肢

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難関資格の中小企業診断士を取得するなら経営コンサルタントとして活躍したいと思いませんか。
とはいえ、現実には中小企業診断士を取得しただけで独立するのは難しいです。
コンサルタント実績がなく資格取得だけでコンサルティングを依頼するクライアントなど殆どいません。

「何でも屋の経営コンサルタント」ではなく「●●専門経営コンサルタント」になることです。

中小企業診断士資格者が独立するのにオススメなのが小売業の経営コンサルタント。その為に必要な資格が1級販売士です。
当記事は中小企業診断士×1級販売士のダブルライセンスを取得し、小売業専門経営コンサルタントとして独立するビジョンについて書き綴ります。

何故小売業専門経営コンサルタントなのか

中小企業診断士の活躍の幅は様々な業界に広がります。
しかし、難関資格ながら「浅く広く」知識を習得する資格でもある為、専門性がないのが弱みです。
経営コンサルタントとして活躍するには強みが必要です。

企業経営に必要な土台として、財務、税務、法律、労務、マーケティング、セールスなどがあります。

財務や税務なら税理士や公認会計士。法律なら司法書士や弁護士。労務なら社会保険労務士。マーケティングなら専門にしている会社は無数にあります。そんな中で、セールスがスキマです。
プロフェッショナルである販売士がコンサルタントとして活躍できるステージがあります。

小売専門経営コンサルタントは他有資格者に競合がいない為、ニーズを得ることができるでしょう。

意外と知られていない「1級販売士」はどんな資格?

販売士(リテールマーケティング検定)は日本商工会議所が実施する小売業・流通業向けの検定試験。
商品を流通・販売する知識を習得することができます。

販売士試験は3級から1級まであります。
1級は最高レベルの難関資格であり、管理職・経営者クラスの高度なマネジメント知識が出題されます。

1級販売士試験データ

出題分野:小売業の類型、マーチャンダイジング、ストアオペレーション、マーケティング、販売・経営管理
試験時間:120分(午前)、80分(午後)
合格基準:筆記試験の得点が平均70%以上、1科目ごとの得点が50%以上
合格率:約20%
試験回数:年1回(2月平日開催)
受験料:7,850円(税込)
商工会議所HP
※データは記事掲載時点のものです。

合格率だけを見れば、同じ1級の「日商簿記検定1級」や「ビジネス法務検定1級」よりも難易度は低いです。
でも、会計資格にはさらに上位の公認会計士や税理士があります。法務資格では弁護士や司法書士がいます。

販売資格では1級販売士が最高資格なのです。これ以上勉強しようがないのです。
小売業や流通業では1級販売士以上の資格がないというところが大きなポイントです。

1級販売士になると講師になれる!

なんと、1級販売士に合格すれば講師登録ができます。

合格後、販売士養成講習会等講師登録研修会を受講する必要があります。
販売士講師になれば、商工会議所が主催する研修・セミナー講師ができます。販売士受験対策講座や販売士(2級・3級)資格更新講習会等の講師になれます。

講師ができるのは貴重な経験ですね。もう立派な「先生」です。独立してコンサルタントとして活躍したいなら講師経験もプラス実績になるでしょう。

中小企業診断士と1級販売士の出題範囲が被る

ラッキーなことに中小企業診断士一次試験の運営管理(オペレーションマネジメント)と販売士の出題範囲が丸かぶりです。
つまり、余計な勉強時間をかけずに資格取得することができます。

1級販売士出題範囲は、中小企業診断士一次試験運営管理の出題範囲によりコアな小売業専門知識を加えたもの。
診断士のほうがカンタンなので、先に勉強しておくとスムーズでしょう。

中小企業診断士と1級販売士。難しいのはどっち?

総合的に考えると断然中小企業診断士のほうが難しいです。

やはり試験範囲の膨大さや二次試験の難しさで中小企業診断士が勝ります。
しかし、中小企業診断士の運営管理(オペレーションマネジメント)と1級販売士を比較するのであれば、1級販売士のほうが難しいです。

小売業出身者なら有利!

やはり、業界の実務経験は必要です。
小売業の店長、スーパーバイザー、管理職クラスの経験があると良いでしょう。
フランチャイズオーナー、小売業起業経験もコンサルティングに役立つでしょう。
独立して経営コンサルタントとなると、名刺やホームページに自身の経歴を掲載することで信頼を得ることができます。

まったく小売業で働いた経験がない小売業専門経営コンサルタントの成功は厳しいでしょう。
販売士講師としての実績を積めば仕事の依頼はあるかもしれませんが、やはりコンサルティング実務でわからないことが出てボロが出るのがオチですね。

小売業のコンサルティングには無限のチャンスあり!

小売店は個人開業も容易で次々に出店される為、チャンスは無限にあります。
新規開業の小売店には出店計画、コンセプト策定、仕入先選定、販促計画、ホームページ作成、資金調達計画、人員確保などの課題にコンサルティングチャンスありです。他業界と比較しても経営初心者が出店することが多いのもチャンスです。

また、古くから経営されている小売店であっても課題がたくさんあります。
リニューアル、システム化、ホームページ作成、後継者問題、経営不振など困っている小売店経営者は山ほどいます。

チャンスが沢山あるということはコンサルティング収入を得られることは勿論ですが、コンサルタントとしての実績を積み上げることができます。
実績を積むことで他の案件を依頼されることも多くなります。

中小企業診断士と1級販売士のダブルライセンス評価は?

難関国家資格である中小企業診断士ということで、経営コンサルティング知識については評価を得ることができます。
また、小売業界・流通業界で最高峰の資格である1級販売士は業界内では評価を得ることができます。

ダブルライセンスによって世間的な評価が高まることは間違いありません。
しかし、コンサルタントとして独立して高収入を得ることはカンタンではありません。
黙っていても仕事が飛び込んでくることはなく、地道な営業活動も必要となるでしょう。

実績を積んで起動に乗るまではサラリーマン以下の収入は覚悟しなければなりません。
もちろん、起動に乗れば年収1,000万円以上を稼ぐことも夢ではありません。

【まとめ】ダブルライセンスで独立チャンスあり!

経営コンサルタントとして独立するのが厳しいことはどんな業界のコンサルタントでも同じです。
その中では、小売業専門コンサルタントおして独立することは比較的チャンスが大きいと考えられます。

さいごに、小売業専門コンサルタントとして独立成功する為の手段をまとめます。

・中小企業診断士×1級販売士のダブルライセンス取得
・名刺やホームページなどにダブルライセンスをアピール
・自身で小売業の管理経験や立上げ経験をつくる
・販売士講師の実績をつくる
・コンサルティング実務経験を積む
・口コミで顧客拡大を目指す

小売業のコンサルタントとしてお店が成功し、クライアントの笑顔を見ることができるのは非常にやりがいのある仕事でしょう。
せっかく難関資格の中小企業診断士を取得したのなら企業内診断士に留まることなく、経営コンサルタントとして独立の夢を叶えましょう。
そのひとつの手段として、1級販売士のダブルライセンスへチャレンジをオススメします!
(ライター:Takahashi Shuta)