中小企業診断士コラム

女性中小企業診断士の比率は6%。転職、独立開業の道は?

財務会計と管理会計。高年収はどっち?出世するのは?

難関資格の中小企業診断士。女性の比率は圧倒的に少なく、わずか約6%しか存在しません。
他の士業と比較しても中小企業診断士の女性比率が少ないことがわかります。
同等レベルの社会保険労務士の女性比率は約35%。行政書士の女性比率は25%程度です。

確かに中小企業診断士講座の教室内は男性(特に40代以上のおじさん)ばかり。
大手資格学校では中小企業診断士合格者向けに祝賀会を開催しその写真を中小企業診断士セミナーのチラシやHPに掲載していますが、やはり男性ばかり。
とにかく女性中小企業診断士の比率は低いことがわかります。

そんな女性比率が少ない中小企業診断士だからこそ、女性が資格取得することに価値があります。
当記事では、女性中小企業診断士のメリットを紹介します。

【はじめに】中小企業診断士はこんなに学ぶことが多い。

数ある資格の中でも中小企業診断士が注目されるのは「ビジネスに関する総合的知識」を学べるからです。
まずは下記の中小企業診断士試験データをご覧ください。

受験資格:なし
1次試験出題範囲:経済学・経済政策、財務・会計、企業経営理論、運営管理(オペレーションマネジメント)、経営法務、経営情報システム、中小企業経営・中小企業政策
2次試験出題範囲:組織、マーケティング・流通、生産・技術、財務・会計
合格率:1次試験約20%、2次試験約20%
必要勉強時間:約2,00時間
試験回数:年1回

この試験内容に興味を持つのはどうしてもおじさんばかりになってしまいます。
大企業の管理職もしくは管理職候補の男性がマネジメントの為に取得するケースが多いです。
女性の中小企業診断士受験者は少ないのです。

主婦が独学で中小企業診断士合格は可能?

基本的に中小企業診断士は独学が難しい資格です。一次試験は知識の詰込みで合格出来ますが、二次試験はテクニックを要する為、資格学校への通学もしくは自宅での通信教育を受講することをオススメします。

正社員として勤務した経験のある主婦なら中小企業診断士の勉強がスムーズに進むかもしれません。
しかし、パート・アルバイト経験しかない女性や正社員経験があっても接客・販売などの経験しかない女性は中小企業診断士の勉強が頭に入りにくい可能性があります。

主婦が中小企業診断士に合格すること自体は可能です。
ただし、簿記検定やFP(ファイナンシャルプランナー)のようなレベルの覚悟では合格できません。
主婦業の片手間で取得できる資格ではないということは覚悟しておきましょう。

女性の管理職昇進に!中小企業診断士があれば有利に!

企業は女性の管理職を積極的に増やそうとしています。
男女平等な会社にすることは勿論、女性視点を経営に取り入れる上でも重要だからです。
とはいえ、女性で管理職になるのは簡単ではなく、何かトピックスが欲しいところ。

中小企業診断士はビジネスを総合的に学ぶ資格、チームをマネジメントする管理職にピッタリの資格です。
女性中小企業診断士であれば管理職昇進条件として申し分ないトピックスでしょう。

バリバリ働いて管理職を目指したい女性であれば、中小企業診断士を勉強しましょう。

女性中小企業診断士の転職は可能性が無限に!

ただでさえ希少価値の高い中小企業診断士。それが女性中小企業診断士ともなれば転職市場でもかなり珍しい存在となります。
転職してキャリアアップ、年収アップなどを目指す女性にも中小企業診断士はオススメです。

ちなみに中小企業診断士は以下のような転職先が候補に挙がります。

・コンサルティングファーム
・システムインテグレーター
・銀行
・商工会議所
・事業会社の経営企画
・事業会社の財務・経理担当
・事業会社の商品開発部
・店舗・施設マネージャー
・マーケティングリサーチ会社

独立開業!女性中小企業診断士として「女性視点」のコンサルタントに!

中小企業診断士の本分は中小企業の経営コンサルタントとして活躍することです。

独立開業して経営コンサルタントになることを夢見て中小企業診断士になる人も沢山います。
とはいえ、中小企業診断士の資格を持っているだけで企業からコンサルティングの依頼が来るほど甘くはありません。

ポイントは自身の経験と強みを活かし、得意分野がハッキリわかる経営コンサルタントになることです。
わかりやすく言えば、「なんでも経営コンサルタント」よりも「エステサロンの開業専門経営コンサルタント」のほうが仕事に繋がる可能性があるということ。
ただし、これは過去にエステサロン業界勤務の経験があり、開業に必要な資金調達や法務の知識に特に強い中小企業診断士であることが求められます。

エステサロンなどは女性客がメインターゲットとなる為、男性より女性中小企業診断士のほうが「女性視点」を持っている為にコンサルタントとして有利です。

他にもこんな業界が女性中小企業診断士のほうが有利になります。

・ネイルサロン
・美容サロン
・美容院
・ヨガ、ダンススクール
・ペットショップ
・雑貨屋
・カフェ
・ケーキ屋

女性客をメインターゲットとするサービス業や小売業などの店舗ビジネスが女性中小企業診断士の活躍ステージとして有利になりそうです。
特にネイルサロンなどは自宅開業もでき、女性が独立開業できる職種。開業希望の女性が多い為、うまく営業が出来れば女性中小企業診断士の活躍の幅が広がるでしょう。

また、女性の経営コンサルタントのほうが安心感を与えることも出来ます。特に女性のクライアントは女性中小企業診断士にコンサルティングをお願いしたいと考える人も多いでしょう。

女性中小企業診断士が並行して取得すべき資格

これらの店舗ビジネスの経営コンサルティングをするにあたり、中小企業診断士と併せて資格取得すべき資格があります。
1級販売士×中小企業診断士のダブルライセンスが有効です。

販売士は店舗経営のスペシャリスト資格で、経営ノウハウ、店舗運営、販売テクニックなどを学ぶことができます。
小売業界・流通業界などではかなり有名な資格です。

その中で最上位レベルの1級販売士は難関資格ではありますが、中小企業診断士の一次試験「運営管理」と出題範囲がかなり被る為、同時並行で勉強できる資格です。
合格すれば1級販売士と名乗ることができ、講師業を行うことができます。
独立開業を目指す女性中小企業診断士なら是非とも取得することをオススメします。

自身で起業も!女性中小企業診断士なら失敗リスクが少ない!

女性の起業家も増えています。
男性にはない女性ならではの独特の視点やアイデア、技術などで起業して成功している人も沢山います。

成功している女性起業家の華々しいエピソードがクローズアップされる裏では、勢いで起業して失敗し、借金まで抱える女性起業家だって沢山います。

失敗するパターンの多くは、技術やアイデアは素晴らしいものであっても、経営を知らずに見切り発車してしまうことです。
腕の良いカリスマ美容師が独立開業しても、経営センスがなくて失敗するのが良い例です。

経営とは、リスクも加味した事業計画の作成、資金調達やキャッシュフローの計画性、企業経営に関する法務知識、ホームページ作成やSEOの基礎知識など様々な知識が必要です。これらの知識は中小企業診断士の勉強で習得できます。

たとえば、ホームページ作成に関しては業者に依頼するとしても、基礎知識がなければ業者の自由な値段でスペックを提供され、騙されかねません。
無知なのを良いことに高い料金をふっかけてくる悪質業者も沢山存在します。
中小企業診断士になれば自分でホームページ作成が出来る訳ではありませんが、最低限業者と打合せをするだけの知識を得ることが出来ます。

結婚や出産で仕事を離れても、女性中小企業診断士なら再就職できるから。

働く女性の悩みと言えば、結婚や出産を経験することでキャリアがリセットされて再就職しにくくなることです。
確かに採用する企業側からしても、離職期間のない人材を採用したいと考えるのは当然のことです。
残念ながら、結婚や出産が再就職には不利に働きます。

しかし、女性中小企業診断士なら話は別です。資格は普遍的な価値があり、中小企業診断士はどんな業態でも一定の評価が貰える資格です。
現在は結婚や出産の予定がない女性も、将来に備えて中小企業診断士の勉強をしておくことは賢い選択と言えるでしょう。

中小企業診断士の財務会計は難しい?簿記2級より簡単?
中小企業診断士の財務会計は難しい?簿記2級より簡単?経理の仕事をしている40代男性です。キャリアアップの為に中小企業診断士の資格勉強をはじめました。一次試験では財務会計が難しいと聞きますが、経理職の人でも難しく感じるのでしょうか。ちなみに日商簿記検定2級は持っています。財務会計と簿記2級の難易度はどちらが上でしょうか?...

どんな女性が中小企業診断士に向いている?

中小企業診断士は難関資格だけに、誰でも合格できる資格でないことはおわかりだと思います。
では、どんな女性が中小企業診断士に合格しやすいかをまとめます。

経理、総務、人事など管理部門経験がある女性。

中小企業診断士の勉強内容がスムーズに理解できるのは管理部門経験のある女性です。
管理部門は会社全体を見渡して仕事をするので、中小企業診断士のように経営を学ぶ資格は理解がスムーズです。

特に専門性が高い上、中小企業診断士の一次試験・二次試験ともに出題される「財務・会計」で強さを発揮できる経理経験のある女性は有利です。

論理性が高く、資料作成が得意な女性。

経営コンサルティングは論理性が重要です。
特に中小企業診断士の二次試験では企業の課題解決に向けた策が出題されます。
論理性を持った記述が求められます。

反対に営業職や接客業でコミュニケーション能力やマナースキルを強みに仕事をしている女性や、残念ながら中小企業診断士の試験合格には特に有利にはなりません。
また、商品企画など独創的なアイデアやひらめき力を武器に仕事をしている人も中小企業診断士試験合格には役立ちません。経営コンサルティングにはアイデア力も大事ですが、中小企業診断士試験では既存の知識や文章の読解により課題解決をする問題が出題される為、独創的なアイデアやひらめきは得点になりません。

コツコツと地道に勉強できる女性

中小企業診断士の試験範囲は膨大です。
とはいえ、浅く広く出題されるので時間をかけて勉強すれば合格することができます。(ただし、一次試験の話です)

あまりに膨大な試験範囲に嫌気がさし、中小企業診断士を挫折する人も多いです。
地道に毎日少しずつでも勉強できる女性は中小企業診断士に適しているでしょう。

時間管理がしっかり出来る女性

中小企業診断士合格への道はマラソンロードのようなロングランです。
2年以上かけて計画的に勉強していく必要があります。

膨大な試験範囲を学習するには、勉強時間確保が重要なポイントになります。

計画性がなくダラダラと平日夜や休日を過ごしていては中小企業診断士合格は不可能です。
とはいえ、「絶対に1年で中小企業診断士合格するぞ!」と意気込みすぎてすべての空き時間を勉強に充てては挫折してしまいます。マラソンロードをスタートからいきなり全力ダッシュするようなものです。完走するにはペース配分も水分補給も重要です。

中小企業診断士合格に向けた勉強時間を計算し、計画性を持てる女性が向いているでしょう。
難関資格に合格するには勉強中心の生活にシフトする覚悟は必要ですが、その中でも仕事、遊び時間、趣味の時間、休養時間などバランス良く時間管理していくことが大切です。

【さいごに】女性中小企業診断士は益々需要が高まるでしょう。

今でも女性中小企業診断士は価値が高く取得メリットが沢山ありますが、これから更にその価値は高まるでしょう。

企業で働くなら、女性管理職需要が益々高まり女性中小企業診断士が求められます。
また、会社員が減り、スモールビジネスで起業する人も増えるでしょう。
特に女性起業家が増えれば女性中小企業診断士の活躍の舞台も増えていきます。

もし中小企業診断士の受験を悩んでいて、「将来的に中小企業診断士になれればいいな」と考えているなら少しでも早くスタートしたほうが良いです。
女性中小企業診断士のバッジを付けられる期間が少しでも長ければ、それだけメリットを受けられる期間も長くなります。
さらにこれから女性中小企業診断士の需要が高まれば試験難易度も高まっていくことが予測されますので早めに受験がオススメです。
(ライター:Nakanishi Hajime)