中小企業診断士コラム

【経営企画】中小企業診断士は必要ない?MBAがオススメ!

【経営企画】中小企業診断士は必要ない?MBAがオススメ!

経営企画に役立つオススメ資格として名前が挙がる「中小企業診断士」と「MBA」。
どちらも難関資格であり、経営企画の仕事に必要な知識・スキルを習得することができる。
ライターの私自身、過去に中小企業診断士一次試験合格したが二次試験に合格できず挫折した身である。
現在は経営企画職として日々奮闘しているが、もう一度中小企業診断士二次試験にチャレンジしようとは到底思わない。

先日経営企画の仕事の繋がりで、中小企業診断士の方と出会うことができた。
とても仕事のできる素晴らしい方で、経営企画としての知識も高い尊敬できるビジネスマンだ。

「実は私も過去に中小企業診断士にチャレンジしましたが挫折したんです。」と話をした。
すると、「私は中小企業診断士という資格に意味はないと思っているんです。取るならMBAにすれば良かったですよ。」と話してくれた。

これは良い記事になりそうと思い、「経営企画に中小企業診断士が必要ない」と感じる理由について聞いてみた。
競合であるMBA資格と絡めて分析していく。

【理由1】中小企業診断士はメジャー資格にはならなかったという現実。

国家資格として一定の注目を集めたが、現時点ではそれほどメジャーになっていない。

誰もピンと来ないマイナー資格の中小企業診断士は、苦労して取る価値がない。
せっかく苦労して勉強するなら、誰もがわかるメジャー資格を取るべきである。
これが中小企業診断士は必要ないと言われる最大の理由だ。

【理由2】独占業務がないのは国家資格として「弱すぎる」。

経営企画の仕事は無資格でもできる。中小企業診断士しかできない仕事はない。

税理士、公認会計士と比べて資格魅力度が低いのは、中小企業診断士に独占業務がないから。
その証拠に、経営企画部員で中小企業診断士資格保有者は多くない。
独占業務のない国家資格なんて、魅力がない。

雇用する側の会社からしても、中小企業診断士を抱えておくメリットが特にないのだ。
むしろ、「なんでこんな資格を取ったの?」と思う人すらいるのが悲しい現実である。

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【理由3】中小企業診断士という資格名、とにかくイケてない。

よくわからないし、「大企業」には通用しないようなネーミングも不利要素。

確かに中小企業診断士は、中小企業向けの経営コンサル資格ではある。
ただ、実態としては大企業の経営にも役立つ知識・スキルは学べるし、中小企業診断士を志す人の多数は大企業社員だったりもする。

ネーミングを聞いても、経営に関するエキスパート的な資格に思えない。
一方、MBAは多くの人に認知されており、ビジネスを知らない専業主婦でさえ、何となく凄い資格ということはわかる。
「中小企業診断士」など、全く知らないだろう。

資格のネーミングは非常に重要だ。
中小企業診断士はMBAに比べてネームブランドが圧倒的に弱い。
世間の目は、中小企業診断士が凄い・難関資格というイメージはないだろう。

今回インタビューした中小企業診断士さんは、なんと名刺に「中小企業診断士」と書いていなかった。
聞くところによると、名刺に中小企業診断士を記載しない会社員は多いと言う。

あくまでも会社員の為、勝手に資格を記載できないからとのことだった。ただし会社にとってメリットであれば記載を命じられてもおかしくはない。宅建士は名刺に記載されても、中小企業診断士資格を名刺に記載するメリットはないのだ。
これもやはり中小企業診断士の資格のマイナーさ、独占業務のないところから来るのだろう。

【理由4】転職、昇進に直接役立たない。

中途採用の募集要項に中小企業診断士の記載はあまり見ることがない。

つまり、転職市場では中小企業診断士資格保有者を欲していないのが悲しい現実なのだ。
下手をすると「扱いにくい頭でっかちの資格マニア」と思われることもあるだろう。

経営企画では、むしろ簿記資格のほうが重宝されるケースも多い。
中小企業診断士の試験内容にも「財務会計」という科目があり、日商簿記2級レベルの会計知識は問われる。
でも、そんなことは世間は知らない。日商簿記2級のほうが断然わかりやすい。

昇進においても同様だ。
中小企業診断士資格を取ったからといってポジションが上がるわけではない。
手当、昇給にも影響がないことがほとんどだ。

【理由5】中小企業診断士だけでは”絶対に”独立できない。

難関国家資格という位置づけにも関わらず、独立が難しいのも中小企業診断士のデメリットだ。

税理士、司法書士、社会保険労務士などが独立できる可能性はあるが、中小企業診断士は独立できない。
勿論、経営コンサルとして実績・信頼を積んで独立する際に中小企業診断士という資格名で箔をつけるケースはある。
ただし、中小企業診断士だけでは独立するには足りない。MBAのほうが箔もつく。

特に資金に余裕がないことの多い「中小企業」は、わざわざ中小企業診断士に経営コンサルタントを委託なんてしない。
経営者の多くは、確定申告や社会保険手続きは外部に委託したいと思うが、経営をどこの誰だかわからない人間に委託したいとは思わない。
中小企業診断士に介入の余地はない。中小企業診断士資格で独立して成功している人なんてほんの一握りである。

中小企業診断士になって良かったこともあると言う。

これだけ中小企業診断士が役立たないことを言ったが、MBAではなくあえて中小企業診断士で良かったこともあると話してくれた。

土日が拘束されないこと

MBAは土日どちらかの拘束はあり、家庭のある身としては厳しい。
中小企業診断士も土日に勉強時間を確保することは必須ではあるが、自分の好きな時間で勉強しやすい。

費用が安くて済む

MBA取得には学校に通う必要がある。
費用は安くても100万円以上、高いと300万円以上かかることも。

一方、中小企業診断士も資格学校や通信講座を受ける必要はあるが、諸々合わせても30万円程度の見積もりだ。

MBAも中小企業診断士も取得すればそれなりのリターン(年収アップ)になるだろう。
一時的な出費も家庭のある人には厳しい問題だ。貯蓄で賄えると言っても、中々家庭の了承は得にくい。

結論としては中小企業診断士はオススメできない資格だ。
ただし、コスト面やプライベート面など、家庭持ちのビジネスマンにはオススメ資格だ。

中小企業診断士を取っても直接的なメリットは少ない。
それでも、勉強して得た知識・スキルは間接的には役立つ部分もある。
しっかりと検討してチャレンジすると良い。
(ライター:Nakanishi Hajime)