近年人気や知名度も高まり、某ランキングでは「ビジネスマンに人気の資格ナンバーワン」にもなっている中小企業診断士。
資格学校の広告にも大きく宣伝され、中小企業診断士は世間的にもイメージ向上しています。
その裏側では、せっかく難関資格の中小企業診断士を取ったのに「使えない資格」とか「役に立たない資格」なんて哀しい声もあります。当記事では中小企業診断士が使えない資格と言われる背景にある哀しい現実についてお話します。
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「中小企業診断士は使えない」の世間の声
現実には「中小企業診断士は使えない」という声が多数…
実際に中小企業診断士を取った人からもこんな声があがっています。
苦労して取ったはずなのになかなかヒドイ意見もありますね…
浅すぎる知識しか得られない中小企業診断士
あんなに分厚いテキストなのに、中小企業診断士の知識は浅すぎるってどういうことでしょうか。
中小企業診断士は経営に必要な7科目で構成される試験です。当然、7科目のテキストを合わせるとかなりのボリュームになります。
実は中小企業診断士は1科目ずつはそれほど深い知識は求められない「広く・浅く」学ぶ試験なのです。
たとえば、会社の経営者が様々な知識を習得するにおいては中小企業診断士はピッタリです。
しかし、中小企業診断士になったからといって何かの専門分野のスペシャリストにはなれません。
お金に関することなら会計士や税理士のほうがスペシャリスト。
法務に関することなら弁護士や司法書士のほうがスペシャリストです。
ハッキリ言って中小企業診断士の財務や法務の知識は薄っぺらいものです。
膨大な量のテキストを浅く広く学ぶだけなので、試験が終われば大半の内容は忘れてしまいます。
それくらいに中小企業診断士で学ぶ知識は浅すぎるものです。
独占業務がない中小企業診断士
これだけの難関資格にも関わらず、独占業務が全くないのが中小企業診断士。
中小企業診断士は経営コンサルティングの唯一の国家資格ですが、別に資格があってもなくてもコンサルティング業務はできます。「サムライ業」と呼ばれる「~士」と呼ばれる資格の中でも珍しく独占業務が何もないのです。
つまり、中小企業診断士の資格がなければ出来ない仕事は何もないのです…
同等レベルの社会保険労務士や行政書士であれば書類作成・提出の代行が独占業務になります。
宅建士であれば不動産取引における重要事項説明や契約ができます。
独占業務のない中小企業診断士にわざわざ頼まなくてはならない仕事はないのです。
会社勤めであっても、「中小企業診断士を社内に●名以上置かなくてはいけない」などの法律も存在しません。
中小企業診断士で独立は難しい
弁護士、公認会計士、司法書士、税理士、一級建築士、弁理士、社労士…
難関資格取得すれば自分で事務所を構えて独立する夢を見ることができます。中には年収1,000万円以上を稼ぐ人もいます。
しかし、中小企業診断士で独立することは至難の業です。
資格を取っただけで中小企業診断士事務所を構えてコンサルタントとして独立して収入を得るのは極めて難しいです。
現実にはこういったコンサルタントは会計士や税理士が行うことが多いです。
正確に言うと中小企業診断士資格だけで独立することは難しく、他の独占業務がある資格とのダブルライセンスでの独立は可能です。つまり、中小企業診断士はダブルライセンス用のオマケ資格なのです。
資格学校などで「中小企業診断士で独立して年収1,000万円を稼ぐ」なんてセミナーもあります。
確かに中小企業診断士で稼ぐ人もいるのは事実ですが、かなり少数です。良い情報だけを信じてはいけません。
中小企業診断士は「足の裏の米粒」なのか
「足の裏の米粒」とは「取らなければ食べられないが、取っても食べられない」ということ。
特に税理士がこんな表現で揶揄されます。
中小企業診断士はこの「足の裏の米粒」とは少し違います。
何故なら独占業務がある訳でもなく、取らなくても経営コンサルタントとして独立することは自由な為、「取らなくても食べる」こと自体は可能です。
ただし、取らなくては名刺などの肩書きに「中小企業診断士」と語ることはできない為、裸で武器を持たずに営業することとなります。名前のある売れっ子コンダルタントなら良いですが、現実には何の肩書きもない経営コンサルタントに仕事をお願いすることは稀です。
中小企業診断士になれば繋がりで仕事を貰えることもあります。
そう考えると現実としては経営コンサルタントとして活動するには中小企業診断士くらいは取っておく必要があるでしょう。
かといって合格したから食べていけるという保証まではありません。つまり、結局は中小企業診断士も「足の裏の米粒」なのでしょう。
中小企業診断士の資格だけ転職は難しい
転職サイトの求人要項を見ても、応募要件に中小企業診断士を挙げる会社は殆どありません。
最も中小企業診断士と親和性の高い経営企画でもマスト要件にすることは殆どありません。
経理なら中小企業診断士より簿記のほうが評価されますし、法務なら行政書士のほうが評価されます。
とはいえ、コンサルティング会社への転職では中小企業診断士資格は一定の評価を受けるはずです。
一部の会社では中小企業診断士を評価されるものの、持っているだけで採用されるほどの資格ではないのが現実です。
2次試験は「合格する為だけ」の勉強になりがち
特に難関と言われるのが中小企業診断士の2次試験。
1次試験で得た膨大な出題範囲の知識を活用して企業の経営課題解決を筆記形式で回答します。
経営コンサルティング能力が養われそうなこの2次試験ですが、「合格する為だけ」の勉強になりがちなのです。
革新的なアイデアを回答する必要はなく、出題者の意図を読み取って回答するのがポイントです。
よって、合格できるか否かは2次試験特有のポイントを押さえらるかどうかがカギで、コンサルティング能力とは無縁です。
多くの受験者はこの2次試験の為にかなりの時間を費やし、多くの受験者が挫折します。
これだけ頑張ってもコンサルティング能力が養われない現実を考えると「中小企業診断士は使えない資格」と言われても無理はありません。
中小企業診断士資格だけで出世ができる訳ではない
独立はしなくても、企業内診断士として会社内で中小企業診断士の知識を活かそうとする人が圧倒的に多いのが現実です。
「中小企業診断士を取っただけで出世できる」と勘違いしますが、そこまで評価されるほどではありません。
向上心や頭脳は評価されるかもしれませんが、大切なのは中小企業診断士で学んだ知識を活かして仕事で結果を出すことです。
使えない中小企業診断士に、更新費用が掛かる現実
難関資格である中小企業診断士に合格しても、そのメリットを活かせないまま更新費用ばかり掛かるのが現実です。
中小企業診断士は5年に1度更新が必要です。
いくらメリットを感じていなくても、あれだけ努力した中小企業診断士を更新しない人はいないでしょう。
中小企業診断協会の年会費は5万円と高額。
さらに資格更新の為の実務に年間6,000円程度。ザックリと中小企業診断士の資格維持には年間6万円掛かります。
もちろん、資格取得までには資格学校受講、教材費、セミナー、受験費用、実務補修費、資格登録料と50万円程度かかっています。
これらのコストを総合すると、中小企業診断士資格取得によって年収20万円はアップしないと元が取れないと思いますが…現実はどうでしょうか?
デメリットを理解した上で中小企業診断士にチャレンジ!
「中小企業診断士は使えない」という側面をテーマに記事を書きましたが、もちろんメリットも沢山ある資格です。
資格学校のガイダンスや広告には良いことしか書きません。しっかりとデメリットも理解した上でチャレンジしましょう。
お金も時間も掛かる難関資格の受験を勢いだけで決めてはいけません。
自分の目指すべきキャリアデザインが明確であれば中小企業診断士のような「何でも屋資格」よりも得意分野が見えやすい日商簿記1級やTOEICなど専門分野のスキルを磨いたほうが得策に思えます。
(ライター:Nakanishi Hajime)