中小企業診断士コラム

中小企業診断士を挫折。二次試験挫折で学んだもっと大切なこと

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日本版のMBAとも呼ばれる難関国家資格の中小企業診断士。
経営コンサルタントは勿論、経営を学びたい向上心あるサラリーマンにも人気の資格です。

中小企業診断士試験の特徴はとにかく出題範囲が広いこと。
経営、運営、財務、情報システム、経済学、法務、中小企業政策と経営に関する膨大な知識を学びます。
一次試験では択一問題で知識を問われ、二次試験では経営コンサルタントとして課題解決をする論述試験。

さらに驚かされるのはその合格率の低さです。
一次試験で20%。さらにその合格者の中で行われる二次試験も20%。
この難関試験。一次試験は本気で勉強すれば合格しやすいのですが、二次試験がとにかく難関です。
二次試験で挫折する人が多いようです。

当記事を書く私自身も中小企業診断士二次試験挫折組。
一次試験は二年で見事合格!順調だったものの・・・二次試験は二年連続不合格の末、挫折・・・

そんな私自身だから書いて残せること。
超難関資格の中小企業診断士を挫折して学んだこと。
実体験を基に書かせて頂きます。

私が中小企業診断士という超難関資格を志した理由

自分に自信がなかったからです。

どこかで自分自身にコンプレックスがありました。
医者の友人、弁護士の友人、大手企業役員の親戚。それに比べて「自分って何もない人間だなー」と思ったときに、中小企業診断士の資格を知りました。

中小企業診断士は難関資格ではありますが、医者や弁護士とは違い、大人になってからでも取れる専門性のない資格です。

頑張って中小企業診断士を取れば周りに自慢できる!

そんな一心で興味を持ちました。

中小企業診断士に興味を持った頃の私は不動産業の営業マンでした。
本社の憧れの先輩の名刺に「中小企業診断士」が記載されていました。
私も名刺に載せられる資格を持ちたい!と思い、熱意を持って受験を決心しました。

即行動!大金の現金を持って資格学校へ!

思い立ったらすぐに行動するタイプの私は資格学校で開催される中小企業診断士ガイダンスを受けまくりました。

今思えば人生初の資格学校。日商簿記を持ってはいましたがネット配信のスクールだけで資格学校に通ったことはありませんでした。

やはり資格学校のガイダンスの影響力は凄いです。
担当する先生も、勿論中小企業診断士。経営コンサルタントとして独立して中小企業診断士の仕事で年収1,000万円以上を稼ぐ先生、資格取得後に企業で大出世した先生、中小企業診断士資格を活かして地方再生や事業承継など社会貢献している先生など。
話を聞けば聞くほど、「絶対に資格を取得してやる!」と気持ちが高まります。
同時に、中小企業診断士レベルの難関資格は独学は厳しいと感じました。

最終的に入学することを決めた資格学校は受講料27万円と高額。
私の人生の買い物でもトップクラスの高額です。

カード払いや分割払いも出来ましたが、実際に現金を持って行った方が「大金を投資した感覚」を実感できると思い、銀行ATMで現金を下ろして資格学校へ向かいました。

こんな大金を払ったのだから、絶対挫折せずに中小企業診断士になるぞ!

そう心に強く誓ったのでした。

中小企業診断士取得にかけた総額費用は…

のちに挫折する中小企業診断士。
以下、私が資格取得の為にかけた費用を公開します。

・資格学校受講費:27万円
・資格学校への交通費:2万円
・参考書:1万円
・診断士関連セミナー受講:2万円
・中小企業診断士試験受験料:5万円

中小企業診断士受験に支払った総額:約37万円
凄い金額ですね…高級ブランド腕時計が買えます。軽の中古車が買えます。そんなレベルの大金です。

ちなみに、本気で勉強していた時期は資格学校以外のセミナーにも行っていました。
ネットで調べた先輩中小企業診断士が勉強法などを教えてくれる会です。
また、参考書は基本的には資格学校のものを使いますが、本屋で良いなと思った中小企業診断士関連の本は買っていました。

会社の昼休み・土日返上で勉強時間確保

中小企業診断士の勉強は苦ではありませんでした。
今まで知らなった知識や考え方が身に付き、仕事の資料や上層部の会話が今まで以上に分かるようになります。

社会人として働きながら難関資格を受験する上で課題となるのは勉強時間の確保。
先述したとおり、中小企業診断士の出題範囲は膨大です。やはり時間が必要です。
そんな社会人受験者の私が勉強時間確保の上で心掛けたのは以下の通り。

・会社の昼休みは予め買ってきた弁当を食べ、残り30分はカフェで勉強
・通勤電車の中はスマホの診断士アプリで集中して勉強
・仕事中でもトイレや移動時間などはスマホで勉強
・週休2日のうち1日は資格学校(講義と自習室)で朝から晩まで過ごす
・大型連休の半分は中小企業診断士の勉強DAY

かなり膨大な出題範囲と難しい試験内容ですが、勉強を進めるうちに簡単に思えてきます。
新しいことをどんどん知れることは面白く、むしろ勉強しない日は不安になります。

ただし、興味が持てる分野とそうでない分野がありました。
私の場合は企業経営理論、財務会計、運営管理は興味が持てましたが、経営情報システム、経済学はなかなか興味を持てませんでした。

中小企業診断士取得にかけた総勉強時間は…

タイムイズマネー。費やしたお金以上に大切なのは時間です。

私が中小企業診断士という資格の為に費やした時間は膨大です。
勉強開始から挫折までの約3年間。僕が中小企業診断士資格取得の為に費やした時間を概算で出してみました。

・資格学校授業時間:250時間
・自習時間:600時間
・中小企業診断士セミナー・懇親会:20時間

合計で約870時間を費やしました。
時給1,000円で換算すると、87万円となります。

ネット情報ですが、実際に中小企業診断士に合格した方は1,000時間以上は勉強するようです。

一次試験は順調に合格。二次試験は…

一次試験は繰り返し勉強することにより得点が上がってきます。
私の場合は1年目に企業経営理論、財務会計、経済学、運営管理、経営法務を1年目に合格。
2年目に残りの中小企業経営政策、経営情報システムを合格し、無事に一次試験突破しました。

ここまでは順調だったのですが・・・
二次試験。なかなか手応えあったのですが、全然ダメ。
そこから1年間努力して勉強したにも関わらず、翌年は点数が下がるという異常事態。

一次試験とは違い、中小企業診断士二次試験は、勉強時間と比例して点数が上がりません…

勉強しても点数が上がらないとなかなかモチベーションが上がりません。
ここで私は中小企業診断士を挫折しました。

大金と時間をかけたのに挫折した理由

中小企業診断士に37万円・870時間もかけたのに挫折・・・
悲しいですよね。勿体ないですよね。
資格学校に大金を持って行ったあの日のことを思い出すとときどきツラくなります。

最終的に私が挫折を決めた理由は以下の通りです。

・二次試験のゴールが見えない。(1次試験はツラくても努力に比例して点数が取れる)
・「今回は自信がある!」と思ったのに点数が取れない
・仕事の繁忙期と重なって試験が受けられなかった(決定打)

「せっかくここまで勉強してきたのに勿体ない…」と思いますが…
サンクコスト(これまでに費やしてきたコスト)を考えて判断してはいけない! ←コレ、中小企業診断士で学びます

色々考えた結果、中小企業診断士は挫折することとしました。

結論:中小企業診断士を挫折して後悔はしていない

中小企業診断士にチャレンジしたことも、挫折したことも後悔していません。
勿論、合格した方が良いに決まっていますが…

挫折を決めたときに私は思ったのです。
「自分に自信がなくて、中小企業診断士になって自慢したかっただけだったんだ」

中小企業診断士資格は取得できなくても、勉強したことは普段の仕事にも役立っています。
ロジカルシンキングが出来るようになったことは間違いありません。

経営に関する様々な知識がついたことは、多くのビジネスシーンで気付きます。
「あ、これ中小企業診断士で学んだことだ!」
「この単語聞いたことある!」
「あれ?これって法律違反していないかな?」など多くのことに気付けるようになりました。。

勿論、中小企業診断士は尊敬しますが、挫折した人も素晴らしい知識とスキルを持っていると思います。

経営企画部に異動が決まった

挫折はしましたが、中小企業診断士勉強をしていなければ起きなかった出来事です。
希望はしていなかったもの本社の経営企画部から呼ばれることとなりました。

勉強中、不動産営業マンだった私。
人事部に中小企業診断士の勉強をしていることを伝えていました。
その翌年、経営企画部に異動になりました。

勿論、経営企画部では中小企業診断士で勉強していることがダイレクトに役立ちました。
現在は財務経理部に異動になりましたが中小企業診断士は役立っています。
(ライター:Nakanishi Hajime)