中小企業診断士コラム

中小企業診断士二次試験に挫折。勉強時間と比例しない合格への道

中小企業診断士関連資格まとめ【出題範囲丸かぶり】

安易な気持ちで中小企業診断士を受験すると必ず挫折します。
とはいえ、いくらやる気があって勉強時間を費やしても、センスがなければ中小企業診断士は合格出来ません。
中小企業診断士は難関資格の中でも特殊な試験です。

ネット情報の多くは、中小企業診断士資格取得までの平均勉強時間は1,000時間と言います。
もちろん1,000時間の勉強時間を費やすだけのやる気のない人は受験すらしないでしょう。
確かに平均勉強時間は1,000時間くらいかもしれません。しかし、私の知り合いの中小企業診断士合格者の中には半分の500時間で合格した人もいれば、倍の2,000時間でも合格できない人もいます。
つまり、中小企業診断士は勉強時間だけでなくセンスが問われる試験なのです。

センスのない私は中小企業診断士一次試験は2年間で合格したものの、二次試験のセンス無さを痛感し挫折しました。
私だけではありません。殆どの中小企業診断士は一次試験は何とか合格したものの、二次試験で挫折します。

当記事は中小企業診断士をこれから目指す人に読んで頂きたい。
そして、本当に受験すべき資格なのかを充分に検討して頂きたいと思います。

意外にも一次試験はやる気で合格できる!

膨大なテキスト量のある中小企業診断士。
それもそのはず。中小企業診断士は経営コンサルティングの国家資格。
経済学、企業経営理論、財務会計、運営管理、経営法務、情報システム、中小企業政策と経営に関わるあらゆる知識が必要です。

膨大なテキスト量を見て挫折する人もいるでしょうが、実は一次試験はそこまで大したことはないのです。
試験範囲が広い分、求められる知識はとっても浅いです。やる気さえあれば丸暗記でも闘えます。
難関資格だけに資格学校に通うほうが合格への近道ですが、一次試験なら独学でも十分合格可能です。

たとえば、経理出身で日商簿記2級とFP2級を取得してから中小企業診断士に臨んだ私の場合。
財務会計は殆ど知っている論点であり、問題も簡単。50時間程度の勉強で90点を取れました。
「中小企業診断士の財務会計は難しい」と聞いていただけに拍子抜けするレベルでした。
つまり専門分野を持つ人からすればひとつひとつは簡単。苦手科目さえなくせば合格できます。

中小企業診断士一次試験の得点は勉強時間に比例します。
たとえすんなり合格できなくても、勉強すればするだけ合格点に近付けるのはモチベーションも保てる為、挫折しにくいのです。

本当の難関は二次試験!合格率の低さに注目!

中小企業診断士二次試験では新しいことを学びません。
一次試験で得た膨大な知識をフル活用し、論述形式で企業の課題解決に導くコンサルティング試験。
これがまた一次試験とは別世界なのです。

まずは合格率に注目。
中小企業診断士二次試験の合格率は約20%。難関資格の中ではそれ程高くはありません。
しかしこの20%にはからくりがあります。
それは一次試験(合格率約20%)合格者の中から二次試験合格率20%。
つまり実際の合格率は約4%ということになります。

二次試験受験者は一次試験合格者ですからお試し受験は存在しないと言っても良いでしょう。
中には既に経営コンサルタントとして活動している人や、公認会計士や社労士などの難関資格取得者がダブルライセンス目的で受験する人もいます。
ライバルのレベルはかなりハイレベルです。その中で4%ということに気付き、挫折する人も多いです。

挫折の原因は、勉強時間に比例しない得点…

どれだけ一生懸命勉強時間を割いて理解したつもりでも、得点がむしろ下がる?
そんなあり得ないことが起きるのが中小企業診断士二次試験です。

私の場合も、一年間飲み会や遊びの誘いを断って(すべてではありませんが)勉強時間確保して臨んだはずなのに得点が下がってしまい挫折しました。

既に知識は一次試験で習得している為、二次試験はセンスが問われます。
企業の課題に対して革新的なアイデアを求められる訳でもなく、試験問題作成者の意図を読み解くことがすべてとなります。

中小企業最大の特徴は膨大な試験範囲ではなかった。

一見、膨大な試験範囲が特徴で挫折者続出に見える中小企業診断士。
しかし、その最大の特徴は試験範囲ではなく、二次試験の「意味不明さ」です。

たとえ資格学校講師であろうときちんと採点することは難しいのです。
変な話、裏操作されていようがわかりません。
合格基準が曖昧で正式な模範回答例もない為、「なんで合格じゃないんだ!絶対におかしい!」なんて言えないのです…

「自信があったのに…」と嘆く不合格者が多数いる反面、「全然手応えなかったのに…」と合格する人もいます。
資格学校の出す模範解答を見ると、「そんな簡単な回答で良かったの?」とビックリすることも多々あります。

論述が得意な人が合格する訳でもなければ、経営コンサルティング力がある人が合格するとも言い切れない「意味不明さ」があります。

合格者続出のラッキー会は二次試験では存在しない!

試験問題も人が考えていますから、回によっては難しかったり簡単だったりします。

中小企業診断士一次試験は絶対評価なので、簡単な「ラッキー回」に巡り合えば合格者は続出です。
しかし、二次試験は相対評価。
試験問題が簡単だったとしても上位20%しか合格できません。つまり、ラッキー回は存在しないということです。

運に頼らず、他の受験生との勝負に勝ったものしか中小企業診断士にはなれないのです。

そして一次試験からやり直し。挫折もしたくなる。

そんな難関な二次試験を落ち続けると、待っているのは一次試験からのやり直し。
2回連続不合格を喰らうと一次試験から全教科受験し直しとなります。

2回連続といっても、合格率20%の試験ですから確率的には半分以上の人がやり直しを食らうことになります。

いくら二次試験の勉強をしていたとはいえ、2年間以上勉強してなかった一次試験をまた勉強し直すのは大変です。
情報システム、法務、経済学などは二次試験では出題されない為、また勉強し直しです。
これらの科目は詰め込みで勉強している人が多い為、ほとんどが忘れてしまっています。

中小企業診断士一次試験は年に一度しかありません。
理由もよくわからずに不合格。一次試験からやり直しとなり、また一年間の長い受験生活がはじまると思うと…そりゃ挫折したくなりますよね。

休みを取れる?二次試験合格後に待っている実技補修

難関二次試験を突破すると口述試験があります。
この口述試験は大抵合格できます。

そして最後の壁は実技補修。
なんと15日間も受けなくてはならないという難関。

中小企業診断士は弁護士や公認会計士のように資格浪人する人はいません。
受験者の大半は企業に雇われている一般のサラリーマンです。
さらにその多くは30代以降の中堅?ベテランで責任のある仕事を任されていることが多いはずです。

さて、中小企業診断士二次試験合格できたからといって15日も仕事を休むことが出来るでしょうか。
仮に休めたとしても、部署のメンバーは快く休みを取らせてくれるでしょうか。

会社が中小企業診断士資格取得を推奨しているのであれば実技補修の為の休みを取りやすいかもしれません。

しかし、中には中小企業診断士を取ることを良く思わない会社もあるでしょう。
難関資格を取ることで、独立や転職をされてしまうのでは?と考える会社もあるようです。

結局いつまで経っても休みが取れずに実技補修を受けることすらできず挫折…
そんなことにならない為にも事前に休みを取れるか会社に確認しておきましょう。

ゴールの見えない中小企業診断士二次試験…

私の場合、中小企業診断士という資格の為に32万円、勉強時間850時間という投資をした上で挫折しました。

挫折しても、得るものは大きかった為に後悔はしていません。ただ、もっときちんと計画してから受験を決めるべきだったと思います。

資格学校のガイダンスは受講生を集める為に中小企業診断士の良い部分しか言いません。
パンフレットには合格者のコメントがズラリと並びます。
でも、挫折者のコメントはありません。
合格者の裏にいる挫折者の意見にも耳を傾けるべきです。

中小企業診断士一次試験は頑張れば誰でも合格できます。
本当の難関は二次試験です。

中小企業診断士の受験を決める前に、二次試験の問題を解いてみることをオススメします。
知識がない状態での合格は難しいかもしれませんが、ある程度の適性はわかります。
そして、一次試験の財務会計だけ勉強し合格点を取れるようになってから、二次試験の事例Ⅳだけを解いてみることもオススメです。
※事例Ⅳは財務会計からの出題。

やる気もセンスもあり、なおかつ実技補修を受ける為に休みを取れそうなら中小企業診断士にチャレンジしてみると良いでしょう!
(ライター:Nakanishi Hajime)