果たして、企業の人事は職種未経験の男性を経理部として採用するでしょうか。
どこの会社も経理部員の人数は限られています。さらに、経理の単純な伝票処理等の仕事はシステム化、アウトソーシング化が進んでいます。それでも人手は必要なものの、単純業務はパートや派遣を利用した方がコストを下げられます。
実際に経理で転職サイトを見ても未経験者は派遣、パート、契約社員が多く正社員は少ないです。
そんな状況下、未経験男性が正社員として経理職として採用されるのはかなりの難関です。
あなたを採用するメリットが派遣、パート、一般職女性以上にあることをアピール出来なくてはなりません。
当記事を書く私自身は社内の人事異動で経理部で働いています。転職希望者の面接も担当しています。未経験の男性も応募してきますが、余程光るものがあれば選考を進めます。そんな経験を通じてお伝えしたい。職種未経験男性が正社員で経理に転職する方法をまとめます。
Contents
日商簿記2級はマスト。MOSはウォント
勿論、これらの資格を持っているだけで正社員経理に採用されるなんてそんな甘くはありません。
ただし、経験もない資格もないでは話になりません。中途採用は即戦力を期待します。
新卒ならまだしも、中途採用に経験の「け」の字から丁寧に教える程、経理部は暇ではありません。
未経験で経理で働きたいなら絶対に日商簿記2級は取得しましょう。
簿記2級もなければ面接にも辿り着けません。
また、経理は事務職です。基本的なPCスキルがあるかも重要です。
前職が営業職などではパソコン業務をしていたとしても、「本当にこの人はパソコン出来るのか?」と疑われます。
MOS(Microsoft Office Specialist)は最低限のパソコンスキルがある証明になります。
経理に採用されたいならMOSのエクセルは取得しておくことをオススメします。
資格は嘘を付きません。職歴や自己分析の長所などは取り繕うことが出来ますが、資格は誰が見ても同じ評価。
勿論、資格だけで採用には至りませんが、絶対に持っていて損しません。
どんなに悔しくても、年収ダウンは覚悟
経理職が他職種より年収が低いという意味ではありません。
未経験の職種に転職するのに、年収の高望みはよろしくないです。前職の年収より多少下がることを覚悟して転職活動しましょう。(前職の会社がよほどブラック企業なら話は別ですが…)
企業があえて経理未経験者を採用するのはコストが安く済むこと。勿論、せっかく転職するなら年収アップしたいと考える人も多いでしょう。ただし、初年度の年収アップは諦めましょう。
経理で着実に実力をつけて昇給した末、年後の年収アップを狙う方が現実的です。
そもそも、経理職は高年収?
事務職の中では高年収の傾向があります。
営業を中心とした会社であれば営業の方が評価されやすく、インセンティブや手当が出ることも多いでしょう。
ただし、経理部の方が営業職より残業代がしっかりつく傾向はあります。(事務職でオフィスにいる割合も高い為、見込み残業対象にしにくいのです)
また経理部は決算期では残業が多く発生します。深夜残業(残業代割増)もあります。
会社にもよりますが、残業代を含めると営業職より経理の方が年収アップすることもあります。
経理職の年収は一般的には「中の上」レベルでしょうが、昇進すれば高年収も期待できます。
未経験の最大のメリットを売ろう
税理士資格取得者やベテラン経理マンは確かに即戦力です。
でもどうでしょう?何か扱いにくそうだったり、独立されたりするんじゃないか…なんて思いませんか?
面接官は上司になる人というケースが多いです。自分の部下があまりに凄いのを毛嫌いする人も多いです。
経理未経験のあなたが税理士資格者に実力勝負を挑んでも結果は見えています。それなら、未経験のメリットを活かしましょう。
経理部未経験者のメリットとは何でしょう・・・
それは「何も知らない」ということ。
何でも吸収して一から勉強するという姿勢を見せることです。経理部の仕事はコツコツと積み重ねて力になります。
あなたが上司だったら変に経験とプライドを持った経理経験者よりも、従順な経理未経験者を部下にしたいと思いませんか?
前職と同業界の経理に転身しよう
業界未経験×職種未経験は最弱です。それなら業界は前職と同じはどうでしょうか。
こんな志望動機を言えば説得力があります。
経理職は中途採用で外部から経理経験者を採用しますが、本当は会社の事業の本質を理解している人にお金を握って欲しいもの。
まずは自分のキャリアと関連のある会社の経理にチャレンジしてみましょう。
気になる企業のHPをチェックしよう
転職サイトだけで応募企業を選んでいませんか?
企業が転職サイトに掲載するのには大きなコストをかけています。
また採用が決まれば初年度年収のうちの何割かを転職サイトの会社に支払う仕組みが多いです。
こうした事情から経理正社員を募集したくても転職サイトに載せていないケースもあります。そこで企業の自社HPを覗いてみましょう。
自社HPからの応募はこれらのコストが掛からない為、採用する側からすると美味しい案件なのです。
また、転職サイトに載せていないのにわざわざHPを見て応募するということ自体が印象に残ります。
ライバルが圧倒的に少ない上、志望熱意を感じさせることが出来ます。
気になる企業があれば思い切って…転職サイトを通さずに問合せしてみましょう。
思い切って株主になろう
あなたが行きたい企業が一部上場企業であれば…こんな思い切った策もアリなのはないでしょうか。
株主であればその会社のお金の動きを注意深く見ていますし、企業からしても高評価でしょう。
今はNISAで気軽に株主になれる時代。株をやることで初めてその会社の財務諸表や株価チャートを見て勉強することでしょう。
経理未経験でも、「株主」というトピックスは他とは違うアピールポイントとなります。
株主総会にも出席しておくことをオススメします。
【まとめ】ハンディキャップを乗り越えて未経験経理にチャレンジ!
現在経理部で活躍している人も、面接官の経理部上司も、この記事を書いている私自身も皆最初は経理未経験。
だから未経験だからといって悪い印象がある訳ではないのです。
あなたが本当に努力して一から経理の勉強をしたいという気持ちが伝われば未経験でも正社員としてデビュー出来るでしょう。
また、経理は女性が多いイメージがあるようです。しかし、それは経理事務の話。
経理部の中でも財務や税務に携わる人間は男性が多いのです。
つまり、ただ経理部として単純な仕訳伝票作成がしたいというだけでは未経験男性は採用されないですが、将来的に財務や税務に携わりたいというビジョンを語れる男性は採用されやすいでしょう。
経理未経験男性、諦めることなく多くの企業にチャレンジしてみましょう。
(ライター:Nakanishi Hajime)