経営企画コラム

ベンチャー企業の管理部立ち上げ責任者を任されたら?最初の100日でやるべきこと

ベンチャー企業の管理部立ち上げ責任者を任されたら?最初の100日でやるべきこと

スタートアップや急成長中のベンチャー企業では、「管理部門を立ち上げてほしい。責任者をお願いしたい」といったミッションを任されることがあります。
一見華やかですが、実態は混沌とした環境で、制度もルールもゼロから構築しなければなりません。 この記事では、実際にベンチャーの管理部立ち上げを経験した人の視点から、最初の100日でやるべきことを具体的に紹介します。

ベンチャーの管理部立ち上げは「ゼロからの会社づくり」

ベンチャー企業では、管理部=経理・総務・人事・法務・経営企画などのバックオフィス業務を全て少人数でカバーすることが多いです。
管理部立ち上げ責任者を任された瞬間から、あなたは「会社の土台のすべてを作る人」になります。

書類の保管ルールもなければ、経費精算のフォーマットもない…
入社手続きも経理処理も、全てが「属人的」に動いている状態が一般的です。
つまり、最初の100日で何を整えるかが、その会社の今後5年の効率性を決定づけると言っても過言ではありません。

【1〜30日目】現状把握と「何が最優先か」を見極める

立ち上げ初期に大事なのは、いきなり仕組みを作ることではなく、まず「現状把握」です。 社長・役員・各部署のリーダーにヒアリングし、課題を整理します。

優先順位をつけるポイントは次の3つ。
① お金に関わるもの(請求・支払い・給与計算)
② 契約・法務まわり(取引契約、秘密保持、押印フロー)
③ 採用・人事まわり(入退社、雇用契約、勤怠管理)

この3つを最初の30日で「どの程度整っているか」を洗い出すことで、次の行動が見えてきます。

【31〜60日目】最低限の業務フローを整備する

現状を把握したら、次は業務フローを整えます。 Excelやスプレッドシートで十分です。 「経費精算」「支払申請」「契約締結」「稟議」などのフォーマットを作り、社員にルールを浸透させます。

この時期にやりがちなのが、「完璧な制度を作ろうとすること」。
ベンチャーではスピードが最優先なので、まずは60点の仕組みで動かすことが重要です。

【61〜100日目】数字を“見える化”して社長の意思決定をサポート

管理部立ち上げの最終目標は「経営に数字で貢献すること」です。
100日以内にPL(月次損益)の簡易レポートを出せる体制を作るのが理想です。

たとえば次のような形です。

・毎月10営業日以内に月次試算表を作成 ・売上・原価・販管費を部門別に整理 ・資金繰り表を共有して、社長がキャッシュ残高を把握できるように

この段階まで来ると、管理部門は単なる「裏方」ではなく、会社の経営判断を支えるパートナーに変わります。

体験談:ベンチャーの管理部立ち上げを経験した担当者の声

実際にベンチャー企業で管理部立ち上げを担当したBさん(30代・経理出身)はこう語ります。

「最初の3ヶ月は本当にカオスでした。書類がどこにあるかわからない、社内ルールがない、請求書の発行も手作業…。 ただ、社長との距離が近い分、自分の提案がすぐ実行されて会社が変わっていくのが面白かったです。」

Bさんは入社から半年後には月次決算の自動化を達成し、結果的にCFO候補として昇進。 「管理部立ち上げはしんどいけど、キャリアとしてのリターンは大きい」と話しています。

ベンチャー管理部立ち上げで意識すべき3つのポイント

  • スピード重視: 完璧よりもスピーディーに暫定ルールを作る
  • 仕組み化: 人が変わっても回る仕組みを作る
  • 経営目線: 「管理」ではなく「経営サポート」として動く

この3つを意識できれば、ベンチャーの管理部立ち上げは必ず成果が出ます。

まとめ:最初の100日で会社の“基礎体力”を作る

ベンチャーの管理部立ち上げは、誰にでもできる仕事ではありません。
ただし、最初の100日で基礎を整えることができれば、会社の未来が大きく変わります。 そして、その経験は今後どんな企業に行っても通用する「経営基盤づくりのスキル」として、あなたのキャリアの武器になります。