経理の昇進Q&A

【相談】経理でマネジメント、エキスパートどっちに進む?年収やキャリアは?

経営企画職歴5年。次のキャリアを考えてみた【昇進、異動、資格】

社会人暦14年、うち経理職歴8年男性。
キャリアビジョンの見直しをしています。
これまでやってきた経理の仕事を活かしたい気持ちは固まっていますが、マネジメント路線かエキスパート路線で迷っています。

・マネジメント路線の場合
→現職で管理職昇進試験を受ける。
年収は600万円ほどになり、今後は成果次第でそこそこの安定した年収になる見込み。当然、残業代なし。転勤や異動もあり。
中小企業診断士の資格取得も検討中。

・エキスパート路線の場合
→スカウト案件で転職の話をいただいている。
年収は650万円程度、残業代全額支給。
職種採用の為、転勤や異動はなし。年俸制で退職金なし。
日商簿記1級、税理士科目合格も検討中。

双方メリット・デメリットがあり悩んでいます。
真剣に悩んでいます。アドバイスをお願いします。

30代はキャリアデザインにおいて非常に大切な年代。
マネジメント路線かエキスパート(スペシャリスト)路線で悩むのは経理職ならでは。
どちらも素晴らしい選択です。そして最も良くないのは、自分自身がどちらの路線か決められないままキャリアを積んでいくことです。
経理職専門キャリアアドバイザーが回答します。

経理のマネジメント路線を選んだ場合のキャリアパスは?

課長(マネージャー)→ 部長 → 本部長とマネジメントの幅を広げます。

経理プレイヤーとして自身で手を動かすことはどんどん少なくなり、部下のマネジメントがメインとなります。
管理職昇進後も学び続けることは必要になりますが、会計知識のみを習得するよりは中小企業診断士など幅広い知識を身につけることが必要です。

年収については「安定」といったところでしょうか。運良く部長昇進すれば年収1,000万円以上(会社により大きく異なります)も可能となります。しかし、自分自身の努力だけではどうにもなりません。
管理職なので残業代はつきませんから、上手く部下を使えなければサービス残業地獄になり、残業代がつく部下よりも年収が低いなんてことも有り得ます。

今後転職する際にはマネジメント経験を武器に好条件で転職できる可能性もあります。

経理のエキスパート路線を選んだ場合のキャリアパスは?

知識、経験、資格取得と比例してキャリアアップができます。

エキスパート職だからマネジメント職よりも下位ということもなく、路線の違いと捉えて良いでしょう。
公認会計士が企業経理のエキスパートとして勤務するケースも多いです。

こちらのエキスパート職は中途採用で多く、経理職(もしくは関連する職種)に限定して採用されます。
自身の得意分野を活かして業務に専念するので、マネジメントをする必要はありません。日商簿記1級、税理士、公認会計士などの資格取得をすることでより評価され活躍の場が広がります。

年収については、個人の活躍に応じて給与アップやボーナスアップを狙うことができ、スキルが高ければマネージャー以上の年収実現も可能となります。社内トップクラスのスキルがあれば年収1,000万以上も可能ですが、一般的には500万円〜700万円程度とマネージャークラスよりも少し低い年収になることが現実的です。

転職についてはエキスパート職も有利です。
実務経験の幅に応じて、年収アップが狙えます。近年はジョブ型採用が増え、エキスパート職の需要も増えています。中途採用で即戦力の経理エキスパートが欲しい企業は無限にあります。

年収面ではやはりマネジメント職のが有利?

経理部長クラスまで昇進できる見込みがあるのなら確実にマネジメント職が有利です。

マネジメントはシビアな世界。
いくら努力しても、会社が期待する成果を達成しなければ年収ダウンはおろか降格だって有り得ます。
自分自身がどれだけ頑張っても部下が動いてくれなければ上司であるマネージャーが責任を取ります。経理はお金に関するミスの許されない仕事なので、部下がミスをすれば上司も責任を負います。
経理部長になれるかは正に運次第です。
課長やマネージャークラスであれば評価次第ではエキスパートよりも低年収です。

つまり、経理マンとして自分の腕に自身があるのならエキスパート職を選ぶべきです。
人に指示を出して動かしていくのが得意ならマネジメント職を選ぶべきです。

マネジメント職を選ぶべきなのはどんな人?

これらを踏まえてマネジメント職を選んだほうが良いのはこんな人です。

・コミュニケーションスキルがある
・スケジュール管理能力がある
・指示出しが得意
・会社が好き
・サービス残業も苦ではない
・厳しい状況も乗り越える辛抱強さがある
・会社経営の全体像を見たい
・経理以外の分野にも興味がある

当てはまるのなら、経理としてマネジメント職を目指していくことをオススメします。
いわゆる従来型の会社員タイプとも言えるでしょう。

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エキスパート職を選ぶべきなのはどんな人?

次は、経理としてのエキスパート職を選ぶべきなのはこんな人です。

・1人でコツコツ仕事をしたい
・勉強し続けていきたい
・税務、財務等の難しい論点を任されたい
・努力に比例した年収が欲しい
・働いた分は残業代として欲しい
・経理の仕事は好きだが、会社のことが好きな訳ではない
・絶対に経理職から異動したくない
・条件の良い会社があれば転職したい

エキスパートは職人です。経理として腕っぷしひとつで勝負していきたい人には天職でしょう。
当然にして、経理以外の道へ行くことはありません。

【まとめ】今の経理は自分のキャリアを選べる時代!

これまで見てきたように、経理のマネジメント職・エキスパート職それぞれにメリット・デメリットがあります。
一昔前なら、経理もマネジメント職としてマネージャー、課長、部長と出世しない限りは年収アップの手段はありませんでした。

しかし、時代は変わりマネジメントスキルよりも個人のスキルが求められる時代になりました。経理のような専門職なら尚更のことです。中途採用もジョブ型採用に切り替わりつつあることや、マネジメントはAIに仕事を奪われていく可能性を考えるとエキスパート職のほうがこれからの時代にはマッチしているのかもしれません。

どちらのキャリアを歩むにしても、経理としてキャリアアップする為の勉強を怠ってしまえば取り残されることは間違いないでしょう。
経理職は昇進、転職、難関資格取得による独立などキャリアアップの道が沢山あります。自分自身のキャリアデザインについてしっかりと見直してみましょう。
(ライター:Kitagawa Mai)