経理の仕事Q&A

吸収合併された後の経理部はどうなる?リストラ?異動?

吸収合併された後の経理部はどうなる?リストラ?異動?

私は経理部で係長をしています。
会社が大手企業に吸収合併されることになりました。
会社からは「大手企業社員になるので良い話だ」と言われていますが、
不安でいっぱいです。

経理部は吸収合併されたら一つになるのは明らかです。もちろん、全員が経理部に残れる訳ではないでしょう。
私自身入社以来経理一筋で、今更営業など他の職種はできません。
でもこんなことを言えばリストラ対象になるのでしょうか?
吸収合併されたあとの経理部はどうなるのでしょうか?

今や企業はM&A戦略は必須。吸収合併は珍しい話ではない。
いきなりの話で驚きや不安があるのも無理はない。
特に社員にとって気になるのは吸収合併後の組織。
経理のような専門職は吸収合併後、どうなるのか。経理職専門キャリアカウンセラーが回答する。

大前提、経理部長はひとりになる。

経理部門のトップは二人も必要ない。

つまり経理部長はひとりしか必要ない。
勿論、経理課長や係長などの役職者も原則ひとりとなるだろう。

吸収合併後の経理部長は、合併する側の企業の部長になるのが当然の流れ。
合併される側の部長のほうがキャリアや実力があったとしても、これまでのやり方を知っている人を経理部長として置いたほうが間違いなく会社はスムーズに動くからだ。

合併される側の経理部長は降格、もしくは担当部長として部下を持たない役職者となるのが吸収合併後の流れ。
高い給料で部下のマネジメントをしない経理担当部長は会社にとっては正にお荷物的な存在であり、居にくくなるだろう。

吸収合併する側企業が経理部に残り続ける。

経理部長以外の経理人員も縮小されることとなる。

吸収合併によってたとえ会社規模が2倍になるとしても、経理部門も2倍の人員が必要になるわけではない。
必要最低限の経理メンバーに見直しとなる。

会社にとっては合併という絶好の機会に、不要な人材は切り捨てるだろう。

こうなってくれば、当然既存のやり方を知っている吸収合併する側の企業の経理部員が中心に経理に残る形となる。
これは総務や人事といった他の管理部門も同じだ。

吸収合併する側企業が欲しい人材は経理部に残される。

吸収合併される側も、優秀な人材は残る。

いくら吸収合併する側の経理手法が取られるとはいえ、優秀な経理部員は当然手放さない。
そもそも吸収合併のメリットは、優秀な人材を確保して新たな知見を入れて組織を強くすることにある。
優秀な経理部員を残すことは、中途採用で優秀な人材採用するのを無料でするようなものだ。やらない手はない。

経理部の役職は保証されないのが原則。

吸収合併される側の社員は、役職の保証はない。

先述のとおり、経理部がひとつになれば役職も集約される。
吸収合併する側の企業の社員がマネジメント側に回るのは当然だ。

勿論、降格になったとしても経理部に残れるのであれば有り難い話。
新会社の経理をしっかり学び直して昇進するケースも多くある。
経理はどこの会社でもそう大きな違いはないので、これまでしっかりと経理実務をやってきた人であれば吸収合併で会社が変わっても活躍できるはずだ。決して悲観することはない。

吸収合併後の経理メンバーの年収はどうなる?

吸収合併の相手先企業が大手なら、年収アップの可能性もある。

実際、吸収合併されるのは良い話であることも多い。
吸収合併する側の社員は、当然年収ダウンすることはない(ないように会社がする)

多くのケースは吸収合併する側の企業のほうが年収レンジが高いことが多い。
同じ会社になれは、年収レンジは統一に向かうので吸収合併される側の企業は年収レンジアップになる。

吸収合併後の経理メンバーがリストラされる可能性は?

いきなり社員がリストラされることはまずない。

とりあえず、生活できなくなることはないので安心して良い。
もちろん、これまでの仕事内容、ポジション、年収、勤務地、福利厚生などが保証されるわけではないので、実質は半転職のようなものだ。

大半のメンバーは営業などの他の職種に異動。

残念だが、こればかりは仕方のないこと。

売上を生まない経理などの管理部門は最少人数となり、営業や製造などの部門には人を回す動きとなる。
経理という専門職でさえ、居場所がなければ営業などに回される。人によっては、ずっと経理一筋でやってきたのに30代・40代になって吸収合併によって初めて営業を経験するなんてこともある。
名刺の渡し方すらもままならないケースがある。

酷にも思えるが、リストラせずに社員の生活を保証するための会社の配慮なのだ。
会社員である以上自分の好きな仕事・部署にいれるとは限らないもの。
給料がもらえるだけありがたいと思って、理解するしかない。

吸収合併に先立ち、事前ヒアリングが入るケースもある。

異動や降格など、動く場合にはヒアリングされることもある。

ヒアリングによって人事が変わる保証はないが、経理として働き続けたいなら必ず意志を伝えるべき。
その際は、新しい会社で自分の経理経験をどう活かせるかポジティブに回答しよう。転職活動面接と同じと思えば良い。

吸収合併後も経理部に残りたいなら、やるべきこと。

さいごに、吸収合併後も経理部に残りたい人は以下のことをやるべきである。

・吸収合併発表後も真剣に仕事に取り組む。
・会社が吸収合併されることを前向きに捉え、合併後に経理部員としてどんな仕事をしたいか明確なビジョンを語る
・合併相手企業のことを積極的に勉強する
・業務改善活動に務める
・不要な残業をしない
・ヒアリングされたら、経理に残りたい意志をしっかりと伝える

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それでも経理部から異動させられたら、「すぐに」転職活動をスタート

異動後の転職活動はスピードが命。

吸収合併後にやむを得ず経理から他職種に異動させられ、転職活動するのは合理的な理由であり、転職先も見つかりやすい。

ただし、異動して半年も経過してしまえば話は別。
経理職のキャリアから、「元経理職」キャリアになってしまう。
経理としてのブランク期間は転職先企業からも好ましくないので、吸収合併後に異動になった場合は早めに転職活動を開始し、内定と同時に退職願を出すことをオススメする。
心が痛むかもしれないが、これは仕方のないこと。