30代男性経理職、役職なしです。
私は出世欲があります。
将来的に経理課長、経理部長に昇進したいです。
経理職として出世するのに簿記1級は必要でしょうか?
出世の為ならチャレンジしたいと思いますが、あまり意味ないのであれば勉強したくないです。簿記1級は結構大変と聞くので…
アドバイスください。
経理に携わるものなら誰もが気になる資格、簿記検定。
特に最難関の簿記1級は難易度が非常に高く、相当な覚悟を決めて臨む必要があることは間違いない。
今回の質問は、「経理部にとっての簿記1級と出世の関連性」にフォーカスして回答する。
Contents
簿記1級に合格すれば出世できるか?
そもそも、経理において資格取得が出世要因になることはまず無いだろう。
経理職は事務職の中では専門性の高い職種であるが、資格がないと絶対にできない職種ではないからだ。
昇進の為に資格を取るという考え方はやめたほうが良い。
たしかに簿記1級は凄い。でも、簿記1級を持っているから、どうした。
簿記1級で得た知見を活かして経理業務フローの効率化、会計テクニックによる節税、計上フロー改善などに貢献したか。
あるいは簿記1級の知識を活かして経理部員や全社に研修などを行うことができて、初めて出世対象になる。
簿記1級で得た知識は経理実務で役立つし、持っていれば周囲から一目置かれる。
要は、簿記1級の知識をどう活かすかが出世のカギとなる。
大手企業の経理部長は簿記1級を持っている?
持っていないほうが多い。
正直、会社によるとしか言えない。
ただ、大手企業の経理部長クラスは簿記1級レベルの知識は必要とされることは言うまでもない。
連結会計、税務、引当、国際会計、管理会計など多くの経理知識を必要とする。これらの大部分は簿記2級では学ばない内容であり、簿記1級の勉強内容となる。
「当社では工業簿記は必要ないから、簿記1級の商業簿記のみマスターしたという経理部長もいる。
つまり資格が欲しかった訳ではなく、経理実務で本当に必要な知識を簿記1級のテキストを通じて得たかっただけということだ。
簿記1級を持っている経理平社員はいる?
無限にいる。大手企業なら尚更だ。
中には、税理士や公認会計士の経理平社員もいる。
勿論、こういった優秀な人材は高年収なので平社員とはいえ年収400-500万円というわけではない。
エキスパート職などの専門職制となり、経理課長、経理部長並の年収を得るケースもある。
あくまでも経理実務を極めたい為、マネジメントには興味がなく経理部長を目指さないのが彼らだ。
そもそも経理部長は必ずしも部下よりも経理知識がなくてはいけないということはない。
簿記1級、税理士、公認会計士などの優秀な有資格者をマネジメント・コントロールする力さえあれば良いのだ。
自分より高い資格を持つ部下に気持ち良く仕事してもらう人間関係構築力が必要だ。
まさか!簿記1級取得が出世のデメリットになることも?
簿記1級を持っていることで期待値が高まりすぎるのがデメリットだ。
世間の目は、「簿記1級持っていれば経理のことは全てわかる。」と思われる。
でも、実際には実務と座学は別物。
実務における実力が伴っていれば良いのだが、そうでなければ「あの人、簿記1級もってるくせに大して仕事できない」と、むしろ簿記1級が評価の足を引っ張ることになりかねない。
逆に、経理未経験で簿記も持っていない人は期待値が低い。
そういう人は、周りがサポートしてくれるので伸びる。
少しでも仕事で結果を出せば「あの人、わからないなりに頑張っている。評価してあげたい。」と思うのが自然の流れ。
一方、簿記1級所有者には誰も教えようとしない。教える側も気を遣う。
一生懸命時間とお金をかけて簿記1級の勉強したのに、出世のデメリットとなるパターンだけは避けたいものだ。
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出世する為に簿記1級を目指すタイミングは?
経理実務に慣れ、出世候補になったタイミングがベスト。
経理実務にも慣れていない段階で、簿記1級の勉強をはじめ、実力はないのに知識だけある「頭でっかち」状態になるのは大抵周りから嫌われる。
実務経験を地道に積み、一定の評価を得る。会社からも出世候補として名前が上がるくらいの時期に簿記1級の勉強を開始しよう。
会社のほうから簿記資格取得の打診があれば尚良し。これは、簿記1級が取れれば出世チャンスにもなるというサインだ。
どんなに仕事が忙しくても、喜んで受験しよう。
会社によっては、簿記1級資格取得することで手当や表彰対象になることもある。
昇進条件ではなくとも、受賞したという経歴は間接的に昇進の判断材料になることは間違いない。
まずは簿記2級に合格することが大切
絶対必要と断言できるのが簿記2級だ。
もちろん、簿記2級レベルを持っていることで出世できるなんて甘い会社は中々ないだろう。
ただし、そこそこのレベルの企業の経理職であれば、最低限簿記2級レベルの知識がないと仕事についていけないのは明らかだ。
将来的に簿記1級を受ける・受けないに関わらず、まずは簿記2級を目指すべきだ。
簿記2級も合格できないような人間は、経理として昇進できるわけがない。
【結論】出世したいなら、簿記1級にチャレンジすべし
色々言ったが、経理として出世したいなら簿記1級にチャレンジしたほうが絶対に良い。
経理担当者レベルでは得られない高度な知識を体系的に学ぶことは決して無駄にならない。
ハイレベルな商業簿記、工業簿記、管理会計など簿記1級は会計学を通じて経営を学べる資格である。
「絶対に簿記1級を取る」と力みすぎることはない。
勉強をするだけでも十分に出世に近づくことができる。
「結果的には簿記1級は不合格で挫折したが、簿記1級で得た知識が経理実務に活かすことができて経理課長に昇進した」なんてケースもある。
色々悩んで受験をためらわずに、是非簿記1級のテキストを開いてみることをオススメする。
(ライター:Nakanishi Hajime)