一人ひとりが自身のキャリアデザインを明確にしなければ成功はない時代です。
会社に依存し、与えられた仕事だけをこなしていれば良かった時代は終わりました。
とりわけ経理職はキャリアアップを明確に実現できる職業です。
ビジネスと経理は引き離せないものであり、経理職を極めた先には様々な道があります。
現在経理職として働いている方、キャリアデザインは明確になっていますか?そして、目指すキャリアに向けた行動をしていますか?
当記事は現役経理マンやキャリアカウンセラーとして働く様々なキャリアを持ったライター集団によってまとめました。経理職として働くすべての人の参考になれば幸いです。
Contents
財務担当者へキャリアアップ
主計として日次業務や決算業務をひと通り覚えたら、借入、投資、収支計画などを行う財務担当者へのキャリアアップを狙うこともできます。
財務はベースの会計知識が必須なので経理としての経験がフル活用できます。
財務担当者へのキャリアアップは転職しなくても現職のままでも可能です。
経理部と財務部がわかれている会社では異動願いを出すことで実現ができます。特に区分けされていない場合は上司との面談で財務関係の仕事をしたい旨を伝えましょう。
年収相場は500万円〜700万円程度です。
一般的には会計のみを行う経理担当者よりは年収相場が高めになることが多いです。
日商簿記2級以上
ファイナンシャルプランナー2級以上
税務のプロフェッショナルへ転身
経理職の中でも専門性の高い税務関連職。法人税、固定資産税、消費税等の税計算や申告を行うプロフェッショナルへ転身することもできます。
税法のアップデートなど継続した勉強が必要となる職種です。
あくまでも企業内税務担当者なので、税理士や会計士へ相談しながら仕事を進めることが求められます。
こちらも転職しなくても社内異動や役割変更によりキャリアアップ可能です。
税務関連の仕事をしていきたい旨を上司に伝え、税務関連のセミナー参加など勉強を進めていきましょう。
税務担当者の年収相場は500万円から700万円程度です。
会計のみを行う経理担当者よりも年収相場は高くなります。
税理士(科目合格)
ファイナンシャルプランナー2級以上
CFP
AFP
経理から経営企画へキャリアアップ
会社の戦略立案を担当する経営企画へのキャリアアップも経理担当者は有利になります。実際にも経理職を経験して経営企画にキャリアアップする人は非常に多いです。
経営企画は経営戦略立案、予算案作成、組織分掌、M&A、経営会議運営などハイレベルな業務を担当します。
同じく、社内異動も十分に可能ですが、高い人事評価を受けていないと厳しいです。まずは現職の経理で高評価を貰えるよう努めると共に、異動希望を出し続けましょう。
経営企画職の年収相場は500万円から800万円程度です。
中小企業診断士
MBA
日商簿記2級以上
税理士(科目合格)
現職で経理マネージャーへの昇進
経理マネージャーや経理課長としてマネジメントの道へキャリアアップも目指せます。
まずは、現職の経理業務をしっかりと遂行し新たな業務習得を積極的に行うことです。そして何より、マネジメント職への適性をアピールしなくてはなりません。自らが経理のプロフェッショナルになるだけでなく、部署の業務改善や部下・後輩社員・パート・派遣社員へ的確な指示出しをするなど「マネージャーとしての仕事」を行うことで次期マネージャー候補となります。
経理マネージャー(課長)の年収相場は500万円から800万円程度。
会社の規模によって給与水準は大きく異なります。同じ経理マネージャーでも中小企業よりも大企業のほうが年収相場は高めの傾向にあります。
大企業の経理マンへ転職
経理実務経験3年以上を積んだら、他社へ転職してキャリアアップする道も開かれます。
今の職場が中小企業であれば、大企業の経理職に転職して年収アップする手があります。大企業とは一般的には社員数1,000人以上の企業を指します。中小企業から大企業へ転職なんて一見難しいようにも思えますが、中小企業のほうが業務の幅が広いという点を評価して採用してくれる大企業も多いです。
大企業でも採用したくなるような実務経験を積んでおくことがポイントになります。
また、グループ会社を持つような大企業では連結決算を行います。上場企業では開示資料作成も行います。経理マンとしての経験値が高まりキャリアアップに繋がります。
大企業経理職の年収相場は500万円から800万円程度です。
勿論、大企業経理に転職後に昇進して役職がつけば年収1,000万円以上も可能になります。
日商簿記2級以上
公認会計士
税理士
外資系企業の経理マンへ転職
日本企業から外資系企業の経理職に転職するキャリアアッププランもあります。
外資系企業の経理職であれば高年収を狙うこともできます。他にも、働き方が自由だったり社員一人ひとりの意見を尊重してくれたり、日本企業にはないメリットも沢山あります。
日本企業で経理実務経験を積んだのち、英語の勉強をして転職しましょう。
外資系企業経理職の年収相場は500万円から800万円程度です。
多くは年俸制が導入されています。年収相場は日本企業の経理職より高めです。
TOEIC
TOEFL
USCPA
BATIC
日商簿記2級以上
CFOのポジションにチャレンジ
最高財務責任者であるCFO。キャリアアップのハードルは高いことは言うまでもありません。
財務・会計・税務に関するプロフェッショナルとしての知識を有し、お金に関する経営判断をしていくポジションです。
CFOになる為には、まずは経理や財務といったポジションの実務経験が必要となります。その後、管理職を経てCFOになることが一般的な道筋です。
CFOの年収相場は1,000万円から1,500万円程度です。
優秀な経歴があればこれ以上の年収を狙うことも可能です。
USCPA
税理士
公認会計士
日商簿記1級
BATIC(コントローラー以上)
プロフェッショナルCFO
税理士資格取得でキャリアアップ
せっかく経理の仕事をしているのなら、専門知識を習得して手に職をつけていくことは賢明なキャリアアッププランです。
税理士資格取得は勉強時間が膨大です。約3,000時間は必要と言われる超難関資格ですが、毎年一科目ずつ合格していくこともできるので勉強時間の確保が難しい社会人にもオススメの資格です。経理マンとして実務レベルを高めながら資格勉強にもなり一石二鳥です。
晴れて税理士資格が取れれば、企業内税理士として年収アップをすることも独立開業することも可能です。
税理士の年収相場は600万円から1,500万円程度です。
企業内で勤務する税理士は一般的なサラリーマンより高年収で安定があります。一方で、独立開業税理士のほうが稼げるチャンスは多いですが、税理士自体が飽和状態にあり若い税理士や営業能力のない税理士は一般サラリーマンより低年収になったり廃業してしまったりと不安定な一面もあります。
内部監査職にキャリアチェンジ
上場企業、大企業を中心に一定の規模のある企業では内部監査部門を設けています。
内部監査職は、法令遵守、コンプライアンス、業務効率化、リスク管理等の視点を持って内部監査、統制を行い社内ルールを整備していく重要ポジションです。
しっかりとした知識とコミュニケーション能力を持って会社を引っ張る必要があります。監査には会計・財務・税務知識が必須となり、経理経験者は有利になります。
内部監査職の年収相場は500万円から800万円程度。
高年収な理由としては、内部監査職自体が大企業にしかないことも挙げられます。
将来的には役員昇進も狙えるポジションであり年収1,000万円以上も狙えます。
資格は必須ではないものの、監査での説得力を高める為には持っておきたいところです。
CIA(公認内部監査人)
QIA(内部監査士)
CCSA(内部統制評価指導士)
公認会計士
USCPA
ビジネス実務法務検定2級以上
金融業界に転職
銀行、証券会社、保険会社などの金融業界への転職は経理経験が役立ちます。
金融業界は年収相場が高く、福利厚生も良い企業が多いのが特徴です。
転職エージェントに登録し、経理職から金融業界に転職するノウハウを聞くと良いでしょう。
金融業界に転職した際の年収相場は500万円から800万円程度です。
ファイナンシャルプランナー2級以上
CFP
AFP
日商簿記2級以上
宅地建物取引士
中小企業診断士
ベンチャーキャピタルに転職
スタートアップ企業やベンチャー企業に投資し株式上場までサポートするベンチャーキャピタルへの転職も、経理職からのキャリアアップとして人気です。
財務知識が必須となる為、経理経験者は有利になります。また、英語力も必要となります。
ベンチャーキャピタルに転職した場合の年収相場は500万円から1,000万円程度です。
実力主義・成果主義の傾向が強く、投資先からのリターンによって年収が大きく変わります。投資先の選定センスや株式上場に導く為に必要なコミュニケーション能力が年収を左右します。
証券アナリスト
ファイナンシャルプランナー2級以上
公認会計士
中小企業診断士
TOEIC
会計システムベンダーに転職
経理マンであれば毎日のように会計システムを使用していると思います。
会計システムユーザーの経験を活かしてベンダーに転職する人もいます。
転職先の部署は、営業、企画、開発、システムなど様々です。会計システムベンダーであれば、どの部署でも経理経験者は優遇されます。
ユーザーならではの視点で課題を発見できたり、クライアントの要望に沿った提案ができたりします。ベースである経理知識も十分に活かせます。
どの部署で働くのにもシステムに強くなくてはなりません。やはり勉強は必要です。
会計システムベンダーに転職した場合の年収相場は350万円から600万円程度です。
経理職の経験を評価されての転職であれば、前職年収をベースに年収提示されるでしょう。
日商簿記2級以上
システムアーキテクト
応用情報技術者
基本情報技術者
ITパスポート
ベンチャー企業の立ち上げに貢献
IT発展により、ベンチャー企業の社会的存在価値は益々高くなります。
ビジネスアイデアとアントレプレナーシップを持ったベンチャー企業は、経理などのバッグオフィス関連に弱いことが多く、経理経験者の力を求めています。
経理部門の立ち上げ、経理ルールの設定、株式上場、資金繰りなど経営者のウィークポイントを補えるのは経理経験者です。
転職市場での需要は勿論、知り合いが起業する場合に立ち上げメンバーとして声を掛けられることも多々あります。
ベンチャー企業立ち上げの年収相場は400万円から600万円程度です。
大企業と比較すると年収相場は低いものの、将来的に企業が成長すれば高年収を狙えます。
また、大企業と比べても個人の裁量が多く成長できる環境に身を置ける為、キャリアアップと言えるでしょう。
日商簿記2級以上
中小企業診断士
経理知識を活かして独立、起業!
経理マンは独立、起業の夢も叶います。
会社のすべてのお金の取引を見てきた経理マンは、リアルな収支計画を立てられることから起業しても成功しやすいです。
現職のうちから様々な収支計画を見て、「自分が社長だったらどうするか」を常に考えていきましょう。
計画の結果が当てられるようになれば起業しても大丈夫です。
独立してから必要となる資金調達、事業計画作成、経理業務、節税対策、コスト削減などあらゆるシーンで経理経験が役立ちます。
【まとめ】経理からのキャリアアップで年収1,000万以上も!
様々なキャリアアッププランがあり、年収1,000万円以上を狙うことも可能です。
その為には、自分がどうなりたいかキャリアデザインをし、1年後・3年後・5年後どうなっていたいかイメージしましょう。イメージ実現の為に、今の仕事でどんな経験を積みたいか、どんな資格や勉強をしておきたいかを明確にしておきましょう。
(ライター:Nakanishi Hajime、Takahashi Shuta)