経理コラム

新型コロナウイルス感染拡大から学ぶ経理の在宅ワーク

新型コロナウイルス感染拡大から学ぶ経理の在宅ワーク

2020年2月から日本国内で新型コロナウイルスが感染拡大が発生。東京オリンピックまでも延期決定の異例事態です。
東京都小池百合子知事が外出自粛・在宅ワーク推奨を呼びかけ、多くの企業が自宅での勤務を実施し本来在宅ワークが難しいはずの営業職なども安全を優先して在宅ワークとなりました。

そんな状況下でも経理職で働く大半の人は在宅ワークができずに出勤しています。当記事では、この課題について深く掘り下げるとともに経理職の在宅ワークについて考えていきます。

新型コロナウイルスリスクと経理職の現状

多くの企業は3月末に年度決算を迎え激務となります。深夜残業や休日出勤も起こり得ます。

新型コロナウイルス感染拡大リスクを高める「密閉・密集・密接」の”3密”はもはや不可避。
オフィスという密閉された空間で朝から晩まで人が密集し、近距離で書類のやり取りをするなど密接しているのが経理職の現状です。クラスター発生リスクが非常に高い状態です。

ただでさえ寝る間もないくらい激務になる決算期の経理職。さらに新型コロナウイルス感染拡大により決算数値(収益)の大幅な下方修正が必要となり、資金繰り、クライアントへの返金対応、次年度予算の組み直しなどで通常決算以上の激務を強いられています。

マスクが無くとも、体調が悪かろうとも必死に出社して決算しているのが現状です。大企業の経理部門のある本社は都心部がほとんどです。東京本社の会社では、都心部に家を持つことは難しく、埼玉・千葉・神奈川などの他県から出勤している社員も大勢います。この状況はどう考えても県を跨いでコロナウイルスを運んでいる危険状態と言わざるを得ません。

もし社内の経理職に新型コロナウイルス発生したら…?

確実に決算は止まります。

新型コロナウイルス感染した本人は勿論、他の経理メンバーも濃厚接触者となり出勤停止となるでしょう。決算業務を伴う経理の仕事は専門性が高く、経理経験のない他部署の社員が代理を務めることはまず不可能です。
会計事務所等に外注しようとも、丸投げという訳にもいかないでしょう。

会社は決算確定ができず、税務申告ができず、株主総会ができず…こんなことは許されません。こんなリスクまで考えてマネジメントできている企業はどれ程存在するでしょうか。
もし経理メンバーで新型コロナウイルス感染疑惑者が発生すれば検査をせずに隠蔽するのではないでしょうか。

何故経理職は在宅ワークができない?

ペーパーレスが進んでいないことが最たる理由です。

内勤事務職でクライアントとの折衝もほとんどない経理職が在宅ワークできない理由のひとつはペーパーレス化できていないことです。パソコンを自宅に持ち帰ろうとも、伝票や請求書などは紙の原本がないと処理ができません。かといって大量の書類を自宅に持ち帰るのは難しく、書類紛失や情報漏えいリスクを考えると在宅ワークするメリットが見いだせないのです。
また、銀行印が持ち出せなかったり送金システムのあるパソコンは付与されなかったりとシステム上の問題も残ります。
さらには上司や役員に捺印を貰う為だけに出勤して折衝する…とんでもなくコロナウイルス感染リスクの高い行動をしなくてはならないのが経理職の現実です。

フルリモートが不可能でも半在宅ワークは?

現実的には半在宅ワークから取り入れることは可能かと思います。

半在宅ワークにより、オフィスで勤務する人数は減りコロナウイルス感染拡大リスクは軽減すると考えられます。
導入例としては以下のようなパターンがあります。

・週の半分は出社、半分は在宅ワークの交代勤務
・午前、午後で交代勤務
・管理職のみ出勤
・在宅ワークでは業務ができないと上司が判断した日のみ出勤

とにかく在宅ワーク優先で、やむを得ない場合のみ出社するスタイルへ切り替えていかなければなりません。

今すぐできる経理のコロナウイルス対策はある?

たとえ在宅ワークが不可能でもすぐにでもできる対策はあります。

・時差出勤(フレックス出社)
・朝礼、ミーティング廃止
・クライアント打合せ一時停止
・会話を控えメールや電話のやり取り

在宅ワーク切り替えはシステム問題や社内決裁問題などすぐには対応できないこともありますが、上記の対策であれば即日からできるはずです。

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感染拡大防止の為に日本国が経理職にすべき指示は?

要約決算もしくは決算遅延の許可・推奨だと考えます。

「年度末決算=期日内に完璧な決算をしなくてはならない」というのは経理マンとしては常識です。しかし、この緊急事態下においても同様でしょうか。
安倍首相から2019年度決算は要約決算(四半期決算のように簡易的なもの)で確定するような指示がなければ経理マンは動けません。会計は継続性原則があり、状況が変わろうと前年度決算と同じ会計ルールで行わなければなりません。一方、重要性原則もあり重要なもののみ正しく会計処理を行い、重要性の乏しいものは簡略的に行っても良いのです。
決算書にも「2019年度決算は国の方針に則り簡易的なものとする」と記載ができればどれ程助かるでしょうか。

また、遅延決算も効果的です。決算確定、税金申告、株主総会のスケジュールも延期しても良いはずです。
いずれにしても日本国が動かない限り経理の決算激務は変わらず、新型コロナウイルス感染リスクに脅かされながら仕事をすることになるのです。

新型コロナウイルスから学ぶ経理の働き方改革は?

その場しのぎではない対応をすべきです。働き方改革を進めるチャンスです。

在宅ワーク規定を定め、急なトラブルでも在宅ワークできるような環境整備を行う必要があります。
経理が在宅ワークできるようになればストレス軽減にもなるでしょうし、ワークライフバランス向上にも繋がります。

今回のコロナウイルス騒動をひとつの経験として、働きやすく・トラブルにも耐えられる強い経理部門を作るべきです。
その為には、行政からの強い指示が必要不可欠です。会社の決算と人命のどちらが大切か、見つめ直す良い機会なのではないでしょうか。
(ライター:Nakanishi Hajime)