中小企業の経理課長をしている50代男性です。
会社が吸収合併で買収されることになりました。正直、青ざめました。リストラ?給料はどうなる?など不安は盛り沢山。
特に気掛かりなのは、経理課長は二人もいらなくなるでしょう。
そうなると、買収する側の経理課長がそのまま役職に就くのは当然でしょう。しかも、買収する側の経理課長は私よりも一回り若いようです。
恥ずかしながらプライド高い私は、今更一回り下の上司の下で仕事できる自信もありません。この年齢で転職も厳しいでしょうし、妻子もいるので簡単にチャレンジもできません。
買収後の経理課長はどのような待遇になるのでしょうか?教えてください。
今の時代、どの会社にも起こり得る可能性のある買収(M&A)問題。
「うちの会社は大丈夫」と思っていても、突然にしてその瞬間は訪れるもの。
経理のような管理部門については、買収後は2倍の人数規模ではなくスリム化することになるだろう。
そうなれば、買収される側の経理課長のポジションはどうなるのか。
気になるのは当然である。
こちらの質問に対し経理専門キャリアカウンセラーが回答する。
Contents
買収されても、すぐにリストラはないので安心を!
大手が買収する以上、リストラ(解雇)するような手荒な真似はできない。
買収されたからといって、いきなり家族が露頭に迷うなんてことはないので、安心して良い。
ただ、経理課長のポジションが保証される訳では無い。
はっきり言って、ポジション的にはひとつ降格する可能性が高い。
【パターン1】会社の経理課が2つにわかれて経理課長のまま
これが買収後のベストパターンだ。
ポジションとしては経理課長のまま。
経理業務を2分化し、2つの課を作る。
経理1課、2課のような組織パターンもあれば、税務課、財務課などにわかれるパターンもある。
【パターン2】経理部門の担当課長としてポジションキープ
つまり、部下のいない課長職ということ。
表面上は経理課長ではあるが、マネジメントをしない為、今後のリストラ・降格対象となることも。
仕事内容としては経理部長の指示の下で業務を行うプレイヤーに過ぎない。
吸収合併により担当課長になるパターンは、長い目で見るとあまり良いパターンとは言えないだろう。
【パターン3】よくわからない名前の役職になる場合も…
たとえば、エキスパート●●、プロフェッショナル●●など。
経理課長ではないものの、一般社員とは違う位置付けとする為の配慮だ。
勿論一定の役職手当を貰える可能性はあるが、その後のキャリアとして経理課長復帰、経理部長など昇進できるのかは謎が多い。
こういったポジションになった場合は一度様子を見て合併後の企業文化に慣れた上で、しっかりと経理マンとしての実力を見せつければキャリアを積むことは可能だ。
【パターン4】事業部門の課長に異動し、キャリアチェンジ
経理ではなくなるが、課長ポジションをキープできるパターン。
事業部門の課長ポストに空きがあればこのパターンもあるが、経験上はレアケースだ。
課長職としての役職はキープされるので、決して悪い待遇ではないだろう。
営業、運用部門の課長などは経理知識があるに越したことがない。
経理経験を活かして買収先の事業部門の課長としてマネジメントを任されるケースもある。
こういったケースであれば、左遷ではなく評価されていると言える。事業部門でも課長として十分に活躍できることが期待される。
事業部門の課長職は採算状況の改善が最優先で要求される為、経理課長の経験は存分に活かされる。
結果が出れば部長、本部長とキャリアが開かれるだろう。
デメリットとしては、いわゆる経理業務はできなくなってしまうこと。
経理管理署としてのキャリアは積むことができず、将来的に転職することも不利になる。
経理係長など、ポジション降格
買収された側の企業としては、仕方のないこと。残念だが、確率の高いパターンだ。
係長であれば、責任も弱くしっかり会社について学ぶことができるので悪い話ではない。また、買収する側の企業が大手企業であれば年収アップに繋がる可能性も高い。責任権限が弱まって尚且つ年収アップするのであれば、冷静に考えれば良い話だ。
勿論、新会社の仕事をしっかりと覚えて実力をつけ、結果が出せれば昇進も有り得る。
買収された経理課長待遇は、悪くなるとは限らない。
今の会社よりも買収する側の企業の給与水準が高ければ、年収アップの可能性もある。
大手企業であれば、年収面だけでなく退職金、福利厚生、労働環境面でも今より改善されるケースはむしろ大きい。
買収されてむしろラッキーというパターンも存分にある。
買収してもすぐには動かず様子を見よう。
転職活動をする必要はないが、転職活動可能性に向けて自信を見つめ直すと良い。
しばらくは様子を見て、買収によって明らかにデメリットが大きければ転職活動するのも良い。
50代の経理管理職の転職活動は簡単ではないだろうが、スキルや知識があれば転職は不可能ではない。経理のスペシャリストを求める会社は無限にある。
オススメは転職活動準備をすること。
具体的には、自身のキャリア、功績、資格などを棚卸ししてまとめておくこと。
これは、たとえ転職活動しなくても無駄にはならない。
会社の吸収合併後に自己紹介の機会も増えるはずなので、自身を整理し直すことは役に立つ。
勿論、転職活動を開始する際にも事前準備をしておけばスムーズに活動開始ができる。
経理課長として沢山仕事をしてきたはずなのに、どんな仕事をしてきたか聞かれると答えられない人は意外と多い。
「主計を担当していまして…」とか「チームのマネジメントをしてきて…」など、経理課長なんだからやっていて当たり前の言わなくても良いような答えしか出てこなかったらアウト。
転職活動しなくても、合併後の自己紹介で痛い目を見るだろう。
日頃から自身の業務内容、実績を見直してパソコン内のメモに残すことが大切だ。
【結論】経理課長という肩書きに固執する必要はない
さいごに伝えたいことは、「肩書きなんて重要ではない」ということ。
中小企業の経理課長と大企業の経理係長のどちらが凄いと感じるかは人それぞれだ。
大企業経理係長のほうが年収も高く、ハイレベルな仕事をしていることも多い。
そもそも役職名なんて会社によって様々な訳だし、大きな意味はないのだ。
肩書きに縛られず、与えられた役職の仕事を前向きにきちんとこなすことが結果としては昇進に繋がり、新たな肩書きを手に入れることができるのだから。
(ライター:Kitagawa Maiko)