ビジネスコラム

大企業は仕事がつまらない。高年収でも離職率が高い理由

大企業は仕事がつまらない。高年収でも離職率が高い理由

世間が憧れを持つ大企業。高年収、福利厚生もしっかりしていて、一生安泰なイメージも強いでしょう。
大企業で働くと自社製品を街中で見かけたり、ニュースで会社が取り上げられたり、テレビでCM広告を目にしたりと「こんな立派な大企業の一員として働けること」に誇りを持つシーンも沢山あります。

しかし、これだけ恵まれた環境にもかかわらず「大企業は仕事がつまらない」と高年収を捨てて退職する人も沢山います。
この悩みは実際に大企業で働いてみないとわかりません。

当記事を書く私自身、中小企業・ベンチャー企業を経て大企業で働いています。
両者の違いは身を持ってわかっています。大企業の仕事は、ハッキリ言ってつまらないです。
それでも「大企業を退職して後悔したくない」という気持ちだけで、休日を楽しみに仕事をしています。

何故、大企業は仕事がつまらないのか。高年収でも離職率が高いのか。リアルな真相を書き綴ります。

大企業は根回しだけが上手くなる

大企業ほど組織が多層化されています。課長以上の管理職が沢山います。
課長→次長→部長代理→部長→本部長→副社長→社長というように職位の階層が多いのです。

会社経営のトップである社長が営業現場の問題に気付いたとき、本部長に指示を出します。
営業現場のことまでは分からない本部長は部長に聞きます。
同じく部長も営業現場のことは深くは理解していないので課長に聞き、課長は係長、係長は主任、主任は平社員に聞きます。
そして平社員の報告を主任→係長→課長→…と伝言ゲームをします。

営業現場のことは現場の人間にしか分からないのだから、直接営業現場の人間が全社員に報告すれば話は早いのにも関わらず、大企業は役割分担がある為、そうもいきません。与えられた役職・部署を飛び越えて報告することすら許されないのです。
「○○部長」のスケジュールを押さえて報告する。そんなことが大企業サラリーマンの役割になります。

大企業で仕事がデキる人・出世する人は「根回しが上手い人」だと思います。
根回しが出来ると、自分の責任を逃れることが出来ます。
こんな能力が身に付いたところで何の意味があるのか疑問に思いながら働いている人も多いのではないでしょうか。

大企業は「ミスをしない」為の仕事

大企業になれば社内ルールが厳しく設定され、そのルールを覚えるだけでも大変です。
ルールを守り、ミスをしないことが大企業社員の評価となります。

ミスすることを恐れて仕事にチャレンジしなかったり、ミスに加担することを恐れて困っている人を助けられなかったりします。

いくら会社が「どんどんチャレンジできる!」という社風であっても、大企業である以上は中小企業やベンチャー企業ほどのチャレンジは難しいです。
もし素晴らしいビジネスアイデアが思い浮かびチャレンジしたいと思っても、大企業では弊害が沢山あります。
社内決裁を通すだけでも一苦労。なんだかんだ失敗すれば最低評価を受けてしまいます。
思い切りやりたい仕事にチャレンジ出来ない環境で働くことは、仕事がつまらないと感じられるでしょう。

上司のご機嫌を取るための仕事

大企業社員の役割は直属上司のご機嫌を取ることと言っても過言ではありません。
そして、上司の機嫌を取るには上司が評価されるように影で持ち上げることが必要です。
自分のやりたい仕事をすることでなく、あくまで上司の機嫌を取るために仕事をする毎日。

大企業社員の宿命です。出世して自分が上司の立場になっても、さらに上の上司が存在します。
社長にでもならない限りはこの立場は永遠に変わりません。
こんなご機嫌取りの仕事はつまらないと感じて当然です。
時々、「自分は何の為にこんな苦労して働いているのだろう…」と泣きたくなります。

そして上手く上司のご機嫌取りを出来る人間が出世していきます。
そんな無意味な出世争いにも疲れ果て、大企業を退職したくなります…

課長!次の仕事も全力で頑張ります!
あまり目立って目を付けられても困るよ。ほどほどで良い。ミスだけはしないように頑張りなさい。

同じ会社なのに知らない人だらけ

大企業には様々な部署があります。部署を覚えるだけでも大変で、他部署が何をしているのかはイマイチわかりません。
勤務形態も多様化し、派遣・パート・常駐のシステム会社社員など沢山の人が大企業で働いています。

同じフロアで働く人と話したことがない・名前も知らないなんてことも決して珍しいことではありません。
中小企業ではあり得ない話ですよね。実際、大企業はワンフロア100人以上の社員がいることも珍しくなく、仕事上の関わりがない人も大半です。

それだけ大企業の人間関係はドライで希薄です。
会社の人と深い関係になれば仕事も楽しいかもしれませんが、大企業は人数が多い分、浅く広くの関係性になります。
皆、一秒でも早く家に帰る為に仕事をしているのです。

どうせいつかは異動することが前提

日本の大企業は総合職としてジョブローテーションし様々な職種を経験するのが基本となります。
早ければ一年以内に部署異動も珍しくはありません。

どんなに頑張ってもまた異動すると思うと、なかなか腰を添えて仕事をする気にならないものです。

場合によってはキャリアを潰されることもあります。
たとえば、経理で専門知識を学び続けてきた人が営業にジョブローテーションされたら…
経理マンとしてのキャリアは潰され、転職市場でも中途半端な人材になります。
いつまた異動させられてしまうかわからないのに、日商簿記1級のような難関資格にチャレンジする気にはなりませんよね。

ある意味では、大企業は人の流れが激しいので色々な人と出会えるという意味では楽しいと言えるかもしれません。

大企業社員が出来る仕事は、ほんの一部

大企業で働くと「あの有名なヒット商品開発に携わった」「大きなイベントの仕事をした」など一見、スゴイと思える経験をすることもあります。

ただ、大企業は人数が多い為、仕事の分業がきちんとされています。
社員1人が担う仕事の役割などほんの小さなもの。

他の会社に務める友達から「あのヒット商品ってどうやって出来てるの?」なんて聞かれても「いや、私はそこは携わってないから全然知らない…」なんてこともしばしば。
友だちと同じように私自身もニュースで知ることもあります。知ったかぶりすることすらあります。
中小企業で少数精鋭で仕事をしている人と比べると、大企業はやりがいがなくつまらないと感じます。

ちなみに転職市場でも大企業出身は使えないと言われます。
これは、大企業は役割分担がしっかりしすぎている為、自分の仕事以外は全くわからない人が多いからです。

大企業は会社が大きすぎて把握しきれない

大企業の組織は大きすぎます。
様々な事業も展開している為、部署が違ったりフロアやビルが違う部署の仕事はまったくわかりません。
せいぜい社報でチラッと見るくらいです。

自分の会社のことなのに部署が違うだけで全くの他人。なんか冷たさを感じます。

大企業の飲み会はつまらない。苦痛…

大企業ならではの多くの懇親会・決起会などがあります。
タイミングを見計らいながらお偉いさんにお酒を注いで回ります。
大して共通点のない人とも仲良く話すのは結構苦痛です。

大企業はジョブローテーションが多く、人事異動が多いです。
異動が多いということは歓送迎会も多くなります。

また、懇親会等で少しだけ話したお偉いさんの情報もきちんと覚えておかないと失礼に当たります。
大企業の飲み会は苦痛です。本当に参加したくないです。仕事以上にストレスを感じる若手社員も多いでしょう。

未だに残る学歴至上主義

大企業ほど高学歴が多いのは事実です。
中には出身大学で採用のフィルターをかける大企業も存在するほど。

直接的に出身大学によりイジメや差別を受けることはなくとも、出世したり重要なプロジェクトメンバーに選ばれるのは高学歴の人だったり…大企業には未だに学歴至上主義の名残があります。
私は社内ではあまり良い大学出身ではないのでツライこともあります。

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自分の代わりなんていくらでもいる

何千人と社員のいる大企業において、代わりのいない社員など役員クラスでさえほぼ皆無です。
誰かが突然退職すれば一時的には困るでしょうが、その役割は他の誰かが補います。
もし社内に適任がいなければ中途採用すれば良いだけの話。大企業となれば募集に対して応募も沢山来ますから。

代わりなんていくらでもいるということは、自分自身の存在価値に疑問を覚えます。でも、それが大企業の現実です。
ましてや若手社員が会社を変えるなんて不可能です。そんな権限すらありません。
テレビドラマ半沢直樹バリの反骨精神があれば別ですが…
(ちなみにそんな半沢直樹でさえ大企業で出世して40代になってから会社を変える為の復讐をしています。若手社員ではありません。)

会社の売上なんて、正直どうでも良い

正直、会社が予算達成しようがしまいがどうでも良い。
大企業の予算達成は「自分のお陰だ」なんて思っている勘違いさんはなかなかレアです。
皆、会社の予算なんて他人事です。自分に任された数字だけ予算達成すれば良いのです。

強いて言えば会社の売上が悪いとボーナスが減るくらいでしょうか。
極論、「会社なんか燃えてしまえば良い」と思っている大企業社員なんて山程いるでしょう。
愛社精神を持って無償でも働く大企業社員は果たしてどれほどいるのでしょうか。
ベンチャー企業のように全社員がひとつの目標に向かって一丸となって頑張るようなことは大企業ではありません。

【さいごに】大企業の仕事はつまらないと割り切って入社することが大事

仕事が楽しいと感じられるのは人生においてとても幸せなことです。
しかしながら、仕事は仕事。
お金を貰っている以上、楽しさを求めるのはナンセンスなのでしょうか。

結論、大企業の仕事はつまらないです。
それでも高年収を貰い、土日だけを楽しみに稼いだお金で贅沢に暮らすと割り切ることが出来れば大企業で働く意味はあるでしょう。
もちろん大企業のメリットも沢山あります。

・給料が良い
・世間体が良い
・会社がつぶれる心配がない
・福利厚生が良い
・ブラック企業が少ない
・コンプライアンス対策がしっかりしている
・職場環境(設備)が良い

仕事がつまらないと感じながら毎日を過ごし、40代となると転職も厳しくなり大企業にしがみつくしかなくなります。
そして、定年までつまらない毎日を過ごすのです。

仕事の楽しさを求めるのならベンチャー企業に転職したり起業して自分のやりたいように仕事をするしかありません。
大企業では自分のやりたいように仕事なんて出来ませんから。
(ライター:Takahashi Shuta)