経営コンサルティングのプロフェッショナル資格である中小企業診断士。
難関資格だけに1年でストレート合格するのはかなり厳しく、相当の勉強時間を要します。
試験は年に一度しかない為、長い人では5年以上受験し続けても中小企業診断士に合格できないという人もいます。
中小企業診断士は難関資格と言われますが、その理由は「出題範囲の膨大さ」です。
実は1科目毎の難易度はそれほど高くなく、浅く広く経営知識を学びます。
他のあらゆる専門資格の知識を総合すれば中小企業診断士は十分に合格できます。
どちらかと言えば苦手分野がない人が合格できる試験なのです。
出題範囲が広い分、中小企業診断士は関連資格が非常に多い資格です。
しかも、出題範囲が丸かぶりの関連資格だらけです。せっかく中小企業診断士を勉強するなら、ついでに他の関連資格も取っちゃったほうが良いに決まってます。
当記事では中小企業診断士の関連資格をまとめます。中小企業診断士合格に向けてダブルライセンスを目指しましょう。
Contents
中小企業診断士関連資格を取得するメリット
何故いきなり中小企業診断士一本狙いではなく関連資格を取るべきなのか。
そのメリットについて書きます。
・中小企業診断士の勉強と相乗効果で資格取得できる。
・合格までの間に資格を増やすことができる。
・中小企業診断士テキストだけでは得られない視点で勉強できる。
・保有資格が増え、転職に有利になる。
・資格試験のウォーミングアップになる。
・得意科目が増え、全体の点数を押し上げる得点源になる。
・たとえ中小企業診断士に不合格が続いてもモチベーションが保てる。
・中小企業診断士合格者の中でも自分の強みとなる部分がアピールできる。
・独立して経営コンサルタントになったときに強みがつくれる。
どんな天才でも中小企業診断士は簡単には合格できません。
どれだけ勉強して努力しても二次試験は運も味方につけなくては合格できない試験です。
長期間の受験生活を乗り越えるためにも、最低でも1つ以上は関連資格を取ると良いでしょう。
たとえ中小企業診断士を挫折しても後悔しない…
考えたくないでしょうが難関資格だけあって挫折する人も後を立ちません。
当記事を書く私自身、恥ずかしながら中小企業診断士挫折組。一次試験は合格しましたが難関の二次試験に挫折しました。
私の中小企業診断士二次試験の挫折した体験談は以下の記事をご覧ください。
中小企業診断士の資格は取れていないものの、勉強中にいくつもの関連資格を取得することができたので本当に良かったと思っています。
一度は挫折したものの、また中小企業診断士合格に向けて少しずつ勉強をしています。
独立して経営コンサルタントになるにはダブルライセンスが必須!?
難関資格の中小企業診断士を取得したからと言って独立して経営コンサルタントとしてお金を稼ぐのは難しいです。
何故なら、中小企業診断士だけではただの「何でも屋コンサルタント」になってしまうからです。
専門性のない何でもコンサルタントは強みがハッキリわからない為、仕事の依頼を受けにくいです。
中小企業診断士の関連資格を取得することで経営コンサルタントの中でも特に強みとなる部分を見つけることができます。
それではここからは中小企業診断士関連資格を紹介します。
ダブルライセンスで信頼アップ!経営士・経営士補(企業経営理論他)
経営コンサルティング資格として中小企業診断士の次に有名な経営士。
古くからある資格ですが、知名度は中小企業診断士に劣っています。
当然、中小企業診断士との関連性は非常に高いです。
企業経営理論、運営管理、経営情報システム、財務会計の関連資格です。
受験資格:経営管理の実務経験5年以上(経営士補は3年以上)
出題分野:経営、生産、販売マーケティング、人事、財務、情報
合格率:約70%
必要勉強時間:1,000時間以上
試験回数:年2回
中小企業診断士関連度:☆☆☆☆☆
難易度:☆☆☆
合格率は高いので中小企業診断士よりは資格取得しやすいと思われますが、注意すべきは受験資格です。
受験資格を満たす人であれば、中小企業診断士と経営士のダブルライセンスはオススメです。
まさに経営コンサルティングのプロ中のプロとしてより信頼が高まるでしょう。
中小企業診断士の超頻出論点!日商簿記2級(財務・会計)
中小企業診断士一次試験、二次試験のいずれも出題される財務・会計は特に強くなっておきたい分野です。
数ある会計資格の中でも特に理解を深めたいのは簿記です。
財務・会計の基本である簿記の仕訳がわからないと中小企業診断士は苦戦するでしょう。
日商簿記検定は初級から1級までレベルが分かれていますが、中小企業診断士であれば簿記2級を取りたいです。(簿記1級までの知識は不要です。)
受験資格:なし
出題分野:商業簿記、工業簿記
合格率:約30%
必要勉強時間:約200時間
試験回数:年3回
中小企業診断士関連度:☆☆☆☆
難易度:☆☆☆
簿記2級は決して簡単な資格ではありませんがきちんと勉強すれば独学でも合格できます。
言い方は良くないですが簿記2級の資格も取れないようでは中小企業診断士のような難関資格に合格は厳しいでしょう。
中小企業診断士の財務・会計を勉強する前に簿記2級を取得しておくと良いでしょう。
実務面においても簿記の知識なくして経営コンサルティングは難しいです。
財務諸表を読み解くチカラは企業の未来を読み解くチカラです。
中小企業診断士の簿記知識だけでは少々物足りないくらいです。
簿記は中小企業診断士以上に知名度の高い資格。転職やキャリアアップにも有利な簿記2級は取得しておいて絶対に損はありません。
販売士資格とダブルライセンスで店舗経営に特化した経営コンサルタントに!(運営管理)
中小企業診断士一次試験の運営管理に出題範囲丸かぶりなのが販売士。
店舗経営に関する様々な知識を習得できる資格で、店舗ビジネスを展開する会社では重宝されます。
受験資格:なし
出題分野:小売業の類型、マーチャンダイジング、ストアオペレーション、マーケティング、販売・経営管理
合格率:約50%
必要勉強時間:約100時間
試験回数:年2回
中小企業診断士関連度:☆☆☆
難易度:☆☆
中小企業診断士の関連資格として考えると販売士2級で充分です。
しかし、ダブルライセンスを取得して転職や経営コンサルタントとして独立するなら販売士1級が欲しいところ。
販売士1級は難関資格ですが独学でも取得可能です。他検定資格の1級より難易度は易し目です。
中小企業診断士受験のウォーミングアップとしては適切なレベルでしょう。
名前がカッコイイ!ビジネス法務エキスパート(経営法務)
ビジネス実務法務検定2級合格者が名乗ることの出来る称号。
中小企業診断士一次試験の中でも難関と言われる経営法務と出題範囲が丸かぶりです。かなり関連性の高い資格です。
受験資格:なし
出題分野:ビジネス法務の実務、取引を行う主体、会社取引の法務、会社財産の管理と法律、債権の管理と回収、企業活動に関する法規制、会社と従業員の関係、ビジネスと個人のかかわり、紛争の解決方法、国際法務(渉外法務)
合格率:約25%
必要勉強時間:約100時間
試験回数:年2回
中小企業診断士関連度:☆☆☆
難易度:☆☆
ビジネス法務エキスパートも独学で充分合格可能です。中小企業診断士一次試験より前にビジネス法務エキスパートを取得すれば、診断士はいきなり過去問から解き始めても問題ないかと思います。企業経営における法務知識の重要性は高まりつつあるので狙い目の資格です。
IT関連の苦手意識克服に!ITパスポート(経営情報システム)
社会人歴が長い人でもITが苦手という人も多いのではないでしょうか。
中小企業診断士一次試験科目の中でも専門性が高く、馴染みのないIT用語が頻出します。
独学でも一ヶ月で合格可能なITパスポートから勉強してみるのがオススメです。経営情報システムとの関連性も高いです。
受験資格:なし
出題分野:ストラテジ系(企業と法務、経営戦略、システム戦略)、マネジメント系(開発技術、プロジェクトマネジメント、サービスマネジメント)、テクノロジ系(基礎理論、コンピュータシステム、技術要素)
合格率:約50%
必要勉強時間:約100時間
試験回数:週1回程度 ※都道府県によって異なる
中小企業診断士関連度:☆☆☆
難易度:☆
ただし、中小企業診断士とのダブルライセンスでアピールできるほどの資格ではありません。
履歴書や名刺にも書かないほうが良いでしょう。むしろ評価ダウンです。
あくまで中小企業診断士の経営情報システムの苦手克服の為のウォーミングアップとして勉強するくらいのスタンスが良いでしょう。
取っ付きにくい経済学の入門資格として!経済学検定(経済学)
大学で経済学を学んでいない人にとっては最も取っ付きにくい分野だと思います。
経済学はビジネス界の常識が通用しない理論上の世界です。
出題論点は中小企業診断士と丸かぶりなので経済学検定で腕試ししてみると良いでしょう。
受験資格:なし
出題分野:ミクロ経済学、マクロ経済学、財政学、金融論、国際経済、「統計学、ミクロ・マクロ、ミクロ経済学、マクロ経済学
合格率:上位15~30%
試験回数:年2回
中小企業診断士関連度:☆☆☆
難易度:☆☆
偏差値により7段階で評価をされます。
上記のB+は偏差値55から60、経済学部卒業レベル。中小企業診断士ではB+以上の知識があると良いでしょう。
こちらも検定資格なので残念ながら名刺には載せられません。あくまで中小企業診断士資格へのウォームアップです。
お金に強い中小企業診断士を目指すなら!FP2級(財務・会計)
ビジネスに役立つ資格として人気の高いFP(ファイナンシャルプランナー)
簿記検定同様、財務・会計の関連資格です。
受験資格:FP3級合格者、AFP認定研修修了者、FP実務年数2年以上、金融渉外技能審査3級合格者(いずれか1つ以上に該当すればオッケー)
出題分野:ライフプランニングと資金計画、リスク管理、金融資産運用、タックスプランニング、不動産、相続・事業承継
合格率:約35%
必要勉強時間:約200時間
試験回数:年3回
中小企業診断士関連度:☆☆
難易度:☆☆☆
最低でもFP2級は欲しいところです。
FP3級では易しすぎるし、1級は専門性が高すぎてややオーバースペック。
正直、FPは論点の大半は中小企業診断士の財務会計に役立ちません。役立つのはわずか一部だけです。
とにかく中小企業診断士合格だけを目指すのならFPの勉強は遠回りになるでしょう。
ただ、財務会計に強い中小企業診断士になりたいならダブルライセンスでFP取得は有効です。
個人事業主向けのコンサルティングにはFP需要はあるでしょう。
同じ財務会計資格でも、簿記は名刺に載せられませんが、FPは載せられます。併せて世界的にも通用するAFP資格も取得しておくとなお良いでしょう。
中小企業政策だけは良い関連資格が見当たらない。
中小企業診断士一次試験7科目のうち中小企業政策だけは残念ながら関連資格を見つけることが出来ませんでした。
その名のとおり、中小企業診断士は中小企業に対する経営コンサルティング資格。
資金調達方法、補助金申請、後継者問題など中小企業ならではの課題解決をする為のマニアックな知識を学びます。
この出題範囲だけは診断士特有のものです。
統計データや独特な関連法の暗記が必要となりますが、覚えてしまえばそう難しくはありません。
他の科目の関連資格を固めて診断士一次試験直前に中小企業政策の知識を丸暗記しちゃうのが合格への近道です。
【まとめ】中小企業診断士の関連資格はこんなにある!
当記事で紹介した中小企業診断士関連資格は全部で7資格。
中小企業政策以外のすべての科目に関連資格があります。
勿論、すべての関連資格を取るのが診断士合格に向けて効率的とは思いません。
中小企業診断士合格を前提に、さらに自分自身が強みにして得点源にしたい科目の関連資格を取ると良いでしょう。
自身のキャリアデザインにマッチする資格取得をオススメします。
(ライター:Nakanishi Hajime)